はしか流行の懸念! ワクチン接種どうする?

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日本・世界で相次ぐはしかの感染

2024年、はしか(麻しん)の感染例が、奈良県、大阪府、東京都で次々に報告されています。WHO世界保健機関によると、2023年の世界の感染者数は32万人と前年の1.8倍に増加。特にヨーロッパ(ロシア・中央アジアを含む)では前年の60倍にも上っています。

はしかの感染者報告数

はしかは怖い病気

はしかの原因は「麻しんウイルス」。このウイルスに感染すると10日前後の潜伏期間を経て、発熱や咳、鼻水など、風邪のような症状がまず現れます。
数日で熱はいったん下がりますが、まもなく39度以上の高熱が出て、その後、全身に赤い発疹が現れます。

赤い発疹があらわれている写真

1週間から10日ほどで多くは回復しますが、肺炎や中耳炎などの合併症を起こしやすく、1000人に1人は脳炎をおこしたり亡くなったりします。
また、この麻しんウイルスは脳内に潜伏することがあり、症状が収まってから4?8年ほどたってから突然、運動障害などを生じ、次第に意識障害も進行し、やがて植物状態になる亜急性硬化性全脳炎という合併症もあります。
麻しんウイルスは感染力が非常に強く、空気感染します。すれ違っただけでも感染するといわれ、基本再生産数(1人の感染者が免疫を持ってない何人に感染を広げるか)を比べると、インフルエンザ1~2、新型コロナ2~3に対して、はしかは12以上と、感染力がけた違いに強いことが分かります。
はしかの治療についてですが、はしかのウイルス(麻しんウイルス)に効く薬は現在のところありません。はしかの免疫を持つ人の血液中の抗体を注射するガンマグロブリンを使うことがあります。

ワクチン接種率に変化!その原因は?

はしかに感染しないためには、ワクチンを接種して免疫を獲得する必要があります。現在、子どもには、麻しん・風しん混合のMRワクチンが、1歳の時と小学校にあがる前の年の2回にわたって定期接種が行われています。
しかし、その接種率に変化が現れています。小学校に上がる前の第2期の接種率が2022年には目標接種率を下回る92.4%と、ここ10年で最も低くなったのです。
これには新型コロナによる受診控えが影響していると考えられています。

麻しん・風しん混合ワクチンの定期接種率の推移

ワクチン接種 こんなときどうすれば?

子どもの定期接種の時期や効果について質問

ワクチン接種は受けられますが、定期接種の年齢でなければ費用は自己負担となり、1回およそ1~1万5千円程度かかります。それでも、かかったときのリスクを考えると受けた方がよいでしょう。小学生や大人が受けても効果はあります。
ただし、MRワクチンは出生数を中心に生産数が決められており、定期接種年齢以外の人が、突然いっせいに接種を求めると、定期接種用が足りなくなるおそれがあります。
そこで、定期接種以外で心配な人は、まず抗体検査(血液検査)を受けましょう。1回5千円~8千円程度で受けることができます。十分な抗体を持っていたら、ワクチンを接種する必要はありません。抗体がなかったり少なかったりした場合は、医師とワクチン接種の相談をしてください。

はしかワクチン接種したかどうかの質問

はしかの場合、1972年9月30日までに生まれた人は、ワクチン定期接種の対象外で、一度もワクチンを受けていないと考えられます。しかし、この年代の人はほとんど、はしかにかかっていて、免疫を持っている世代です。自然にはしかにかかった人は生涯続く強い免疫を持っているので、ワクチン接種を受ける必要はありません。
その世代より若く、2000年4月1日までに生まれた人は、1回だけワクチン接種している可能性が高いと考えられます。この方々は、まずははしかの抗体検査を受け、抗体がなかったり少なかったりしたら、医師とワクチンの相談をしてください。
子どもの頃、はしかにかかったかどうか、ワクチンを受けていたかどうか、覚えていない場合、母子手帳に記されていることが多いので、母子手帳を探して確認するとよいでしょう。

妊娠中のワクチン接種について

麻しん・風しん混合のMRワクチンは生ワクチンなので、妊娠している場合は接種することができません。胎児に影響が出る可能性があるからです。しかし、妊娠中にはしかにかかると早産や流産の可能性があります。感染リスクのある場所には行かないようにするなどの注意が必要です。特に海外旅行には注意してください。
妊婦の周りにいる家族などは、子どもも大人もワクチン接種を受けておいた方がよいでしょう。それが妊婦とおなかの赤ちゃんを守ることにつながります。

感染者と接触したら

はしかの感染者と接触した場合、72時間以内にワクチン接種を受けると、発病しない可能性があります。また、ガンマグロブリンを発症予防に使用する場合もあります。

症状が出たら

症状が出たら、まず、医療機関に事前に電話で相談してください。そうすることで、交通機関や医療機関での二次感染を防ぐことができます。医療機関のアドバイスを受けて受診してください。

この記事は以下の番組から作成しています

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