シリアの内戦が始まって5年-。先月、政府軍と反政府勢力の間で暫定的な停戦が発効したが、過激派組織「IS=イスラミックステート」との戦闘は今なお続いている。深刻な人道危機が叫ばれる中、国連がとりわけ危機感を抱いているのが、戦時下で女性たちが受けている性暴力だ。ISの兵士などによって女性が奴隷のように扱われ、性暴力が横行しているにもかかわらず、被害の実態はほとんど明らかになっていない。こうした中、深刻な性暴力から逃れてきた女性たちが、ひっそりと身を寄せている場所がある。ドイツ南西部のバーデン・ビュルテンベルク州。一人の医師が中心となって、性暴力被害にあった1000人以上の女性をドイツに避難させ、隠れ家にかくまってトラウマ治療を行っているのだ。今回、NHKは、治療の現場にカメラを入れることが許された。9人の男に奴隷として扱われ、望まない妊娠をした19歳の女性…。レイプを逃れるためにガソリンをかぶって全身に大やけどをした18歳の女性…。番組では、これまで知られることのなかった、シリアやその周辺での性暴力被害の実態を描き、国際社会に何ができるのか考える。
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