福島原発事故から3年。避難住民は、ふるさとへの帰還か、町外への移住かの大きな決断の正念場を迎えている。背景にあるのは、昨年末に国が打ち出した避難者支援と賠償の方針だ。これまで前提としてきた「全員帰還」を転換し、帰還困難で別の土地への移住を選ぶ人たちに賠償を行う。それに表裏して除染の完了目標時期も数年単位で遅らせる計画が発表された。否応なしに避難住民の「帰還しない」という選択に拍車がかかると見られ、自治体は町作りの計画を根本から見直さなければならない事態に直面している。避難自治体中最大の人口を抱える浪江町。帰還を前提に、職員34人だけの「現地庁舎」を稼働、インフラ復旧の準備などを進めてきた。しかし、賠償の多寡で人の繋がりが裁ち切られ、帰還を諦める人が増えれば、何のための復興か。苦悩を深める原発の避難住民と自治体を見つめる。
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