不良債権処理に目途がつき、格付けも金融危機前のレベルに回復してきた日本のメガバンク。そのメガバンクが、収益アップと国際競争力の強化を狙って「メインバンク制」の見直しに着手し始めた。柱の一つが、「シンジケート・ローン」という融資。「シンジケート・ローン」は、企業買収や企業再生などリスクが見込まれる案件に、複数の銀行が組織的に融資を行う手法で、携帯電話会社ウイルコムの巨額買収等もこの方法で資金調達がなされた。複数の金融機関でリスクが分散できるため、金利を低く抑えることができる等、企業側にもメリットがある一方、貸し手側の都合で、ローンが自由に転売できる等、借入先の企業にとって厳しい契約条件も迫られる。これまでの、融資を仲立ちとした「メインバンク制」で結び付けられていた銀行と企業の関係が、市場原理が支配するドライな関係に変わりつつある現状を明らかにする。
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