優良な肉牛や乳量の多い牛を大量に生産しようという「体細胞クローン牛」について、厚生労働省の研究班は4月、「安全性に基本的に問題はない」とする報告書をまとめた。
98年以来、全国40施設で330頭以上が誕生してきたが、死産や生まれて間もなく死亡する牛の割合が通常の数倍になることから、実際の流通をめぐっては、現場で大きく意見が分かれている。中でも日本有数のブランド牛松阪牛を持つ三重県では、生産効率があがると期待する農家がいる一方、これまで培ってきたブランドイメージや市場の秩序が乱れると不安視する農家が出てきた。消費者の理解をどのように得るのか、厚労省の「安全宣言」を受け、農水省は出荷解禁に向けた議論を始めるが、それを前に各地の自治体や農家、そして消費者の反応を追う。
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