2010年7月31日放送

坂井 信之神戸松蔭女子学院大学准教授

コウケンテツ料理研究家
至福をもたらす味覚。他の感覚と比べて極めて変化しやすいという特徴がある。例えば、嗅覚や視覚など他の感覚によって味の感じ方はたやすく変化する。これは生存戦略のひとつだと考えられている。また経験により味の感じ方が変化したり、味を感じる味細胞自身で味の信号を増強・減少させることでも味の感じ方が変わることがわかってきた。絶えず味覚を変化させることで体を守ったり、整えたりしていたのだ。味覚の不思議に迫る。
変化しやすい!?味覚
山田賢治アナウンサーは、神戸松蔭女子学院大学で3つのコップそれぞれの味を当てる実験に参加した。山田アナウンサーは、ふたの裏側につけた香料の香りに味覚をだまされ、同じ水をそれぞれ違う味だと感じた。次に、カキ氷のシロップを試飲。赤のシロップを飲んだときはストロベリー味に、緑はメロン味だと感じた。どちらも本当はメロン味だが、色がつくと味の全般的なイメージが変わってしまう。
経験で味覚が変化!?
日本女子大学・宮本武典教授は、味覚が経験や記憶とどのような関係があるか研究をしている。マウスに水と人工甘味料のサッカリン溶液を与えると、サッカリンをよく飲むことがわかった。次に、マウスに塩化リチウムを注射し、活発に動けないようにした。そして再び水とサッカリンを与えると、マウスはサッカリンを飲まなくなった。サッカリンを飲んだ後に体の具合が悪くなったというたった一度の経験で、マウスはそれを飲まなくなることが判明した。
味細胞の驚くべき機能
味覚の研究者・二ノ宮裕三教授は、太ったマウスの方が普通のマウスよりも甘味を強く感じていていることを発見した。そこで、味細胞が集まる味蕾(みらい)を取り出し、食欲を抑えることで知られるレプチンの効果を調べた。その結果、レプチンが甘さの感じ方を抑えていることが明らかになった。味細胞にはレプチンの受容体があり、そこにレプチンがつくと甘さを感じる信号が小さくなる。その反対に、エンドカンナビノイドという物質は甘味を強める働きがあることがわかった。

