2010年1月16日放送
河野 孝太郎東京大学天文学教育研究センター教授
鈴木 真二東京大学教授
南米チリ・アタカマ高地。標高5000mを超えるこの地で、天文台の建設が相次いでいる。国立天文台が欧米の研究機関と共同で開発した、66台ものアンテナが並ぶALMA望遠鏡の建設が開始。また、世界で最も標高の高い東京大学の赤外線望遠鏡も完成。これらによって、銀河の進化や惑星誕生の謎、地球外生命の可能性など、未知なる宇宙の姿が次々と明らかになると期待される。宇宙観測の新たな拠点を、現地からリポートする。
標高5000m!ALMA建設現場
南米チリ・アタカマの標高5000mの高原でALMA望遠鏡が建設されている。3000mの山ろく施設では、ALMA望遠鏡に使うアンテナの組み立てとテストを実施。昨年9月18日、最初に組み立てられた日本のアンテナが標高5000mの建設地まで運ばれた。2010年1月現在、3台のアンテナが設置されているが、3年後には66台のアンテナからなる電波望遠鏡が完成する予定だという。
めぐみの一歩
なぜたくさんのアンテナが?
国立天文台野辺山宇宙電波観測所を訪れた安さん。ここでは、大小さまざまのパラボラアンテナを使って、宇宙から来る電波を観測している。直径10mのアンテナを組み合わせた「干渉計」は、その配置したサイズに相当する能力を発揮する巨大な望遠鏡だ。これと同じ方法で、ALMAでは66台のアンテナを直径18.5kmに配置し、巨大な望遠鏡で宇宙を見つめようとしている。
世界最高を競う ALMAの性能
ALMAに使うアンテナは、日米欧それぞれのチームで独自に開発。そのため、どのチームの性能が高いか競い合いになっている。性能を決めるポイントの一つが、アンテナ表面の精度。特殊な工具を使って微妙な調整が行われている。また、66台のアンテナを素早く天体に向けるため、30秒で180度動く性能も求められる。このような性能テストをクリアしたアンテナだけが、標高5000mの地に設置されることが許されるという。
世界一!標高の高い天文台
アンデスの山頂に、東京大学アタカマ天文台(TAO)が誕生した。標高5640mにあるこの天文台は、世界一標高の高い天文台だ。空気が薄いため、研究者たちは酸素ボンベをつけて天文台に通い、宇宙の観測を行っている。2009年11月、目に見えない中間赤外線での初観測に成功した。
ZEROブレイク
絶景!乾燥した大地
年間で雨が降るのはわずか数日という乾燥したアタカマ高地。そんな場所ならではの絶景がある。月面のような岩と砂の世界が広がる“月の谷”。塩分の濃度が高く、人の体が浮いてしまう不思議な湖”アタカマ塩湖”。こうした景色を生み出す気候こそ、宇宙観測に適した条件なのだ。

