2009年9月19日放送
川人 光男ATR国際電気通信基礎技術研究所 脳情報研究所所長
鈴木 真二東京大学大学院教授
イメージするだけで機械や装置を動かす新技術「BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)」が、今注目を集めている。その背景には、脳科学の急激な進歩により、脳波計やfMRI(機能的磁気共鳴画像化装置)を使って、脳の活動の様子を容易に詳しくとらえられるようになったことがある。BMI技術は日常生活のサポートだけでなく、リハビリテーションに至るまで、幅広い応用が期待されている。BMI研究の最前線を伝える。
めぐみの一歩
BMIを体験
慶應義塾大学の医学部と理工学部が連携して「BMI」の研究を行っている。ここでは、頭でイメージするだけで、コンピューター上のバーチャル空間にいるキャラクターを動かすことができる。動かそうとする微弱な脳波を頭皮に触れた電極から読み取り、コンピューターにつなげて操作するという仕組みだ。これうした試みは、手足が不自由な人などの新しいコミュニケーション手段になると期待されている。
脳の活動をとらえろ
脳の中で、数百億の神経細胞がどのように活動しているのか、その仕組みに迫る実験がある。ラットに課題を与え、脳内の神経細胞が発生させる電気信号を精密に測定。初めはバラバラだった神経細胞の信号が、課題を解決する時には、近接する神経細胞の信号が同じタイミング(同調)になった。神経細胞が集団で働くという特徴の解明につながる実験で、BMI技術の高精度化に貢献する成果といえる。
BMI技術 福祉への応用
「BMI」技術を使うことで、障がいのある人でも不自由なく暮らせるシステムが、国立障害者リハビリテーションセンターで開発されている。そのひとつが、家電製品の操作。テレビやエアコンなどのアイコンが表示されている操作パネルをじっと見つめるだけで、家電を操作することができる。アイコンの点滅を見ることによって発生する脳波のパターンを解析することで、機械を操作するという仕組みだ。
BMI技術 医療への応用
慶應義塾大学のBMI研究グループは、「BMI」をリハビリテーションにどこまで応用できるのか研究している。実験には、左腕が麻痺した患者さんが協力。手を広げる動作をイメージするときの脳波の信号で、作動する装置を使う。始めは、うまくイメージできず、装置も動かせなかったが、訓練を繰り返すことで、動かせるようになり、さらには筋電図にも反応が表れるようになった。
ZEROブレイク
昆虫の脳でロボットを制御
昆虫にも小さな脳があり、カイコガの脳の仕組みを使った昆虫サイボーグが開発されている。オスの脳から生殖行動にかかわる電気信号を直接取り出し、メスのフェロモンに反応させると、フェロモンに向かって動く。

