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DNAの塩基配列を解読するシークエンス技術が急速に進歩している。1985年当時は、電気泳動という方法で1日に1000塩基を解読するのがやっとだった。この方法で仮に30億対あるというDNAの配列を全部解読しようとすると、8000年以上かかることになる。その後「シークエンサー」という解読装置が開発され、ヒトゲノム計画で活躍したシークエンサー1台の解読能力は1日92万塩基、単純計算で全解読はおよそ9年でできるほどに進歩した。そして現在、全解読は数日で可能な能力になり、今後数年ではさらに高速化が進むと考えられている。 技術の進歩に伴い、短時間での解読精度も格段に高まっている。その結果、個人のDNA配列の比較検討から、病気のなりやすさや、薬の効きやすさなどの違いがわかるようになってきた。例えば肺がんの治療に「イレッサ」という抗がん剤が使われるが、人によって劇的に効果が現れる人と逆に副作用が出る人がいる。その差異はDNAの塩基配列のわずかな違いによる。こうした研究が進むと、個人にあわせた正確で早期の診断や治療が可能になることが期待されている。その一方、DNAという「究極の個人情報」をどのように扱うかという、倫理上の問題も避けて通ることができなくなる。急速に進歩するDNAの全塩基配列の解読最新技術、そしてそれがもたらす未来社会を考える。
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