毎週土曜 午後10:00〜10:35 NHK教育
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放送予定
#250
255 シリーズ 人の謎に迫るF 死と向き合う心

シリーズ「ヒトの謎に迫る」第7回のテーマは「死」。
活性酸素や紫外線で傷ついた細胞は、ダメージが小さければ修復して生き続けることができるが、ダメージが大きくなると死を選択、自らを粒状に分解して死んでいく。これはアポトーシスと呼ばれる現象で、遺伝子にあらかじめプログラムされた「細胞の自殺」といえる。その仕組みは巧妙で、細胞自身がダメージの程度を判定し、修復できないと判断すれば「死の酵素」を働かせ、核の中のDNAを細かく切断。DNAの断片を小さな袋に封じ込めて、最後は免疫細胞に食べられて消滅する。つまり、アポトーシスはダメージを個々の細胞レベルで食い止め、私たち個体を守る危機管理システムといえる。
生化学者の田沼靖一さんは、「アポトーシスは15億年前、有性生殖とともに生まれた」と考えている。遺伝子をランダムに組み換えて子孫を残そうとする有性生殖では、よくない遺伝子の組み合わせを消去する必要があった。その方法がアポトーシスであり、さらには老化とともに遺伝子に傷を蓄積した個体を消去するため、死が生まれたというのだ。
このアポトーシスの研究は、「進化の大きな流れの中で死の積極的な意味をとらえ直そう」という示唆を含み、私たちに死生観の見直しを迫るものでもある。
誰もが避けては通れない死。死の視点から生の仕組みを読み解き、「自分の死を予見する唯一の生物」としてのヒトに迫る。


【出演】 キャスター 安めぐみ
    山田賢治アナウンサー
     
  コメンテーター 佐倉統
(東京大学大学院情報学環教授)
     
  プレゼンテンター 田沼靖一
(東京理科大学薬学部教授)

細胞死の仕組み
細胞は、紫外線などのダメージを毎日受けている。従来はそのダメージが小さければ細胞は自ら傷を修復して生き続け、大きければ壊死すると考えられていた。しかし、細胞には生まれたときからプログラムされた死の遺伝子があることがわかった。これにより細胞が自発的に分解して死んでいく「アポトーシス」という現象が起こると考えられている。
死は進化の産物
生命の歴史を辿ると、死が生まれたのはおよそ15億年くらい前だという。死の誕生については、オスとメスが遺伝子を組み合わせて子孫を残す有性生殖に大きな理由があると考えられている。精子と卵子がつくられるときに、あまりよくない遺伝子の組み合わせを消去する方法として死が生まれたのではないかという説がある。
問われる死生観
アポトーシスの発見は、生と死の問題を扱ってきた倫理学にも影響を及ぼしているという。現代生活のなかでは、昔に比べて死を実感することが少なくなっており、どうしても死を遠いものとしてとらえがちである。いま自らの問題として死と向き合って死生観を養うことは重要であり、アポートシス研究はそうした死生観再構築の契機にもなり得る。
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