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シリーズ「ヒトの謎に迫る」第7回のテーマは「死」。 活性酸素や紫外線で傷ついた細胞は、ダメージが小さければ修復して生き続けることができるが、ダメージが大きくなると死を選択、自らを粒状に分解して死んでいく。これはアポトーシスと呼ばれる現象で、遺伝子にあらかじめプログラムされた「細胞の自殺」といえる。その仕組みは巧妙で、細胞自身がダメージの程度を判定し、修復できないと判断すれば「死の酵素」を働かせ、核の中のDNAを細かく切断。DNAの断片を小さな袋に封じ込めて、最後は免疫細胞に食べられて消滅する。つまり、アポトーシスはダメージを個々の細胞レベルで食い止め、私たち個体を守る危機管理システムといえる。 生化学者の田沼靖一さんは、「アポトーシスは15億年前、有性生殖とともに生まれた」と考えている。遺伝子をランダムに組み換えて子孫を残そうとする有性生殖では、よくない遺伝子の組み合わせを消去する必要があった。その方法がアポトーシスであり、さらには老化とともに遺伝子に傷を蓄積した個体を消去するため、死が生まれたというのだ。 このアポトーシスの研究は、「進化の大きな流れの中で死の積極的な意味をとらえ直そう」という示唆を含み、私たちに死生観の見直しを迫るものでもある。 誰もが避けては通れない死。死の視点から生の仕組みを読み解き、「自分の死を予見する唯一の生物」としてのヒトに迫る。
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