シリーズ ヒトの謎に迫る (6) 人間は文化的か動物的か?
生命科学
2009年3月22日放送
長谷川 眞理子総合研究大学院大学教授
黒崎 政男東京女子大学教授
私たちの性格や行動には、性淘汰などの進化の原理に強く影響されている生物的側面がある一方、文化を作り、その中で対応する文化的側面もある。また文化と遺伝子の密接な関係も明らかになりつつある。新奇探求性と呼ばれる性格は遺伝子の塩基配列との相関が指摘され、一方、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素があるかどうかは、文化が遺伝子変異を左右した例となっている。文化と動物という二面性をもつ人間の本質に迫る。
放送内容
ヒトを探る2つの視点
同じ種の争いで最も激しいのは繁殖期にメスをめぐるオスの争い。人間特有の行為である殺人にも同じメカニズムが働いてるのではないかと考えると、対人関係の葛藤は男性に多く、繁殖を開始しようという時期の20歳前後の男性に多いと予測できる。
遺伝子 VS 文化
人の感情や意識は、遺伝子が文化に強く影響を与える場合と文化が遺伝子を左右する場合の2つがあるという。子どものころから変わらない性格は、遺伝子の影響を強く受ける先天的な性格といえる。一方、文化が遺伝子に影響を及ぼした例もあり、農耕誕生とともに大人でも栄養価の高い牛乳が飲める遺伝子の変異が広まった。
文化がもたらしたもの
人の営みによる環境破壊が文明を滅ぼした例としてイースター島があげられる。モアイ像を作るためなどで森を伐採し尽くして、農業はダメージを受け島民が犠牲になったことで文明は崩壊したと考えられている。