2009年2月1日放送
岩坪 威東京大学医学部教授
大島 まり東京大学教授
アルツハイマー病は、「アミロイドβ」という物質が脳に異常にたまることが原因と考えられている。最近、アミロイドβを分解する酵素が発見され、それを増やす方法もわかってきた。また私たちの体にもともとある免疫の仕組みを利用して、アミロイドβを減らす新技術も開発されている。さらに今年、全国の医療機関が参加して早期発見を可能にしようとする大プロジェクトも始まった。アルツハイマー病の原因解明と治療の研究最前線に迫る。
めぐみの一歩
不思議「認知」の世界
脳は無意識のうちに外から入ってきた情報を分析している。これが認知の働きだ。認知能力が衰えると見ているものが何なのか分かりにくくなったり、道に迷ったりするなど、日常生活に大きな支障をきたすことになる。
発見!病気を防ぐ脳内酵素
脳内でアミロイドβを分解する“ネプリライシン”という酵素の減少が、アルツハイマー病を引き起こす原因のひとつとしてわかってきた。60歳を過ぎたころから急激に減少することも明らかになっている。
「脳内酵素」を増やす物質
ネプリライシンを増加させる可能性をもつ物質“ソマトスタチン”は、体内に存在するホルモンの一種。体の中にあることから、副作用が少ないとして注目を集めている。
新技術 DNAワクチン
DNAワクチンとは、体内の免疫の仕組みを活性化させ、アミロイドβを分解するという画期的な薬だ。簡単に大量に作ることが出来るため、値段が安いという利点もあり、早くて3年後に人への使用を予定している。
始動!早期発見プロジェクト
アルツハイマー病予備軍の人に、半年から1年間隔で画像検査を行いデータを収集したり、全国の医療機関が参加して情報を共有するなど、アルツハイマー病の早期発見を目指したプロジェクトが始まっている。
ZEROのつぼ
アルツハイマーに効く漢方薬
70歳を過ぎても現役だったという徳川家康は、健康法の1つとして漢方薬を使っていたことが伝えられている。実際に愛用していたものが“八味地黄丸”だ。アルツハイマー病の患者が、この漢方薬を飲み続け認知能力が向上したという研究報告もある。450年ほど前中国の明で生まれた“抑肝散”は、現在多くの病院で使われている。抑肝散にはアルツハイマー病患者に見られる興奮や幻覚を抑える効果をもたらすことが、3年前に発見されている。
八味地黄丸と抑肝散
科学∞
新型ハイビジョン3D内視鏡
横浜で9月、世界内視鏡外科学会が行われた。ここで新型のハイビジョン3D内視鏡が注目を集めた。参加者全員が専用のメガネをかけ、自然で奥行感のあるリアルな立体映像を観ることが可能になった。実際にこの内視鏡を使用した胃がんの手術も行われており、1年後の実用化を目指している。
新型の内視鏡を使った手術


