2008年07月14日 (月)7月8日放送 【いっと6けん】                      「眠るコレクションを生かせ」 船本 由佳


船本由佳大雨が降ったり、暑かったり、外で遊ぶには適さないお天気が続いています。こんな天気の時こそ、ひんやり涼しい美術館でアート鑑賞はいかがですか?

橫浜美術館で、ユニークな企画展が開かれています。
美術館のコレクションだけで構成された展覧会。
その名も「私の美術館」展。

通常、コレクション展というと、作品のことをよく知る学芸員が担当するものですが、この企画展は違うのです。

ゲストキュレーター(学芸員)に四人の人を迎えました。
◆脳科学者の茂木健一郎さん
◆マルチタレントのはなさん
◆作家の角田光代さん
◆写真家の荒木経惟さん

この四人の視点が光る美術展なんです。

 

横浜美術館学芸員の八柳サエさんと企画したのは、橫浜美術館学芸員の八柳サエさん(展覧会の入り口で私と写っているのが八柳さんです)。
橫浜美術館およそ1万点のコレクションをなんとか魅力的に紹介したいと知恵を絞った結果、各分野で活躍している四人に頼むことにしました。
四人にはまず全作品が掲載されている図録に目を通してもらって、候補を挙げてもらった上で、作品収蔵庫で実際に作品を見せ、どれを出品するかを考えてもらったそうです。

会場にはいると作品の鑑賞ができるのはもちろん、
「茂木さんは意外とこういう作品が好きなんだ」とか
「さずが、はなさんの選んだ作品はセンスがあるな」とか
選んだ四人の視点や意外な一面も楽しめる展覧会になっています。 

***********
四人がどんな思いでこの企画展に参加したのか、気になった私は、オープニングセレモニーの後に四人にインタビューを申し込みました。放送では紹介しきれなかった四人のインタビューをここでご紹介しますね。

 6月20日 展覧会初日のインタビューより

【脳科学者・茂木健一郎さん】 
「今回は顔というのに焦点を当てて選んだんですけど。ほんとにこれは財産ですよ。橫浜にこういう財産があるということを気づいて欲しいですね。
収蔵庫の絵ってこうしてぴたぴたってくっついて入っているんですね。
それをこうしてギャラリーに出してあげることで、絵も喜ぶし、見る人も喜ぶ。
そこに幸福な出会いがあるんです。
美術館は人と絵が出会うところだと思うんで、その出会いのためのストックが橫浜美術館にはいっぱいあるんでね、それをみんなに、日の元に出してあげたいと思います。」

茂木さんは、いまをときめく現代の若手作家の作品から、この作品ひとつで展覧会が開催できるような有名画家の作品まで、幅広く、作品をチョイスしました。 


【マルチタレント はなさん】
「相当迷いました。図録を眺めている時点から結構迷ったんですけれど、気がつくと自分の好みというか、仏像だったり、食べ物の画とか写真だったり、なんとなく心をくすぐられるような作品が多く残って、それを集めてみたらしっくりくる空間になったのでよかったとおもいます。」

「テーマを決めずに、作品と向き合った」と語るマルチタレントはなさんのコーナーは、まるで、はなさんのプライベートルームかおしゃれな雑貨屋さんを見ているようなイメージ。他人の評価にしばられず、自分の感性を大切に作品を選びました。


【作家 角田光代さん】
「絵画と小説を書くのは、対局の行為だと思います。
ただ、その、言葉って普通に使ってますけど、言葉以前のことがあって、そのあと人間が言葉を当てはめるんだと思うんですね。
絵画も一緒で、人間の手の届かない何かが最初にあって、それを捕まえようとして絵筆を使うんだと思うんです。
そういう意味では、遙かずっと遠くにある自然物とか日の光とか風とか空とかそういうものを、人間が自分の持っている道具で捕まえようとしているというところでは絵画と言葉というのは非常に近いのかなと思いました。」

角田さんは13点の油彩画などを展示。なかでも4つの作品には、角田さん自身の新作小説がついています。
絵画鑑賞をするときは、鑑賞者が自由に想像をしていいんだって、語りかけてくれているようです。 


【写真家 荒木経惟さん写真家 荒木経惟さん
「日の目を見ないのを見せて欲しいと(美術館に頼んだ)。
そうしたらでてきたんだよね、ちょっとした口絵みたいなものが。
ぱっとみたら塗り絵みたいなでっかい画とかさ。
やっぱり日の目を見ないんだけどね、その中になんかあるんだね、ちっちゃなひかるものが、私はそのちっちゃな光るものをブローアップしようとひっぱりだそうとおもってね、作品と一緒に時を過ごすということを重点にして、すごく俗っぽく美術とつきあう空間を今回作ったの」

荒木さんは、いままで展示の機会が少なかった日本画の作品に注目。顔をくりぬき大きなパネル(写真)にして来館者に撮影をうながしたり、作品の前に来ると音楽が流れる仕掛けを作ったりと、荒木さんらしさがあふれる空間を展開していました。

***********

学芸員ですと、ある作家の画業を紹介しようとか、ある一定の時代や地域がわかるように作品を並べようとか、描く技術の変遷を見せていこうとか、作品を紹介する専門家であるからこその考えで展覧会を構成します。
すると、代表作など説明がしやすい作品の登場回数が増え、どうしても、展示する機会に恵まれない作品がでてしまうんですって。
四人は、「自分の琴線に触れたから」という直感的なセンスで作品を選びました。
収蔵品のなかで眠っていたコレクションたちにも光があたる展覧会になりました。
この展覧会「私の美術館」展は橫浜美術館で8月17日まで開かれています。

 

投稿時間:18:05

コメント

※コメントはありません

コメントの投稿

ページの一番上へ▲