【記者特集】山形新幹線30周年 ~これまでの恩恵とこれからの展望~

 

ことし7月1日に開業から30年を迎えた山形新幹線。

これまでに運んだ人数はおよそ9500万人を数えます。山形県民にとっても、山形の経済にとってもなくてはならない存在です。これまでもたらした恩恵と、これからの展望を見ていきます。

 

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山形新幹線の開通で、県内各地の観光地に大きな変化や経済効果をもたらしました。その代表例が銀山温泉です。

 

新幹線が開業する前は、雪深い上に交通アクセスもよいとは言えず、冬場に観光客の人数が大きく減る傾向にあったといいます。

しかし、平成11年に新幹線が新庄駅まで延伸すると、東京から温泉の最寄り駅である大石田駅まで3時間あまりで行けるようになり、県外からの観光客や、冬の間の観光客が増加。観光客は新幹線開業前(平成3年度)は18万6000人でしたが、コロナ禍前の令和元年度には44万2500人とおよそ2.4倍になりました。

 

尾花沢市は、

「リモートワークの発達で、移動時間に関する人々の感覚が変わってきているので、さらなる時間短縮や、車内での感染対策を継続することで、コロナ禍前のように観光客が訪れてくれることを期待したい」

としています。

 

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一方、これからの課題で注目されるのが、米沢駅ー福島駅間のトンネル整備計画です。

県によりますと、山形新幹線は大雪や動物との衝突などによるダイヤの乱れが多く、昨年度(令和3年度)はこうした理由であわせて126本に運休や遅れが出ました。米沢駅ー福島駅間は山形新幹線の中で特に雪深い区間で、ダイヤの乱れの原因となっているため、これを解消しようというのが建設の大きなねらいです。

全長は23キロメートル。トンネルが完成すると山形駅ー東京駅の所要時間の短縮にもつながり、およそ10分早くなります。

この計画に向けて、現在、県とJRは共同で、トンネル建設予定地の地権者調査を行っています。費用はおよそ1500億円で、完成までにかかる期間は着工から15年ほどと見込まれています。この費用負担について県は「JRと協議を進めるとともに、政府にも財政的な支援を働きかけ、検討していきたい」としています。

 

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さらに県は、このトンネル整備に加えて、現在の山形新幹線のルートに沿った「フル規格新幹線」の整備を求めてきました。

 

これが実現すれば、山形ー東京間の所要時間がさらに短縮され、2時間を切ると見込まれています。フル規格新幹線に対応した形でトンネルを整備すると、費用はさらに120億円増えると見込まれていますが、県は「仮に、奥羽新幹線の整備時に、このスケールのトンネルをもう一度掘り直すこととなれば、その費用や工事期間が二重にかかるため、とても非効率だ」としています。

 

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しかし、鉄道各社は新型コロナによる移動自粛などで経営面で大きな影響を受けていて、JR東日本もコロナ禍で2期連続の赤字決算となっています。そうした中で、多額の費用が見込まれるこのビッグプロジェクトが順調に進んでいくのか、先行きにもやがかかっている状況と言えるかもしれません。JRを取り巻く経営環境は大きく変化していますが、交通事業者として最優先で求められるのは何よりも安全です。所要時間の短縮とともに、災害リスクを減らすという側面もあるこのトンネル整備計画も含め、何を優先すべきかということを考え、県や市町村などとも連携し、安全で快適な新幹線を運行するという責務を、JRには果たしてほしいと思います。

 



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山形局記者 | 投稿時間:18:20