【記者企画】〇〇にも"外国人技能実習生"きたる!


最近、山形県内のスーパーや街なかでも外国人を見かけることが多くなったなぁ…」と感じている方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

 

今回はそんな外国人の中でも、日本で働きながら知識や技術を身につける「外国人技能実習生」についてです。

 

これまで技能実習生は、製造業や建設業などを中心に受け入れが行われてきましたが、おととし(平成29年)11月に新しい法律が施行され“対人サービス”としては初めて「介護」の分野で受け入れが可能となりました。

 

それから2年近くがたち、県内の介護施設でも、技能実習生の受け入れがようやく始まりました。

現場はどうなっているのか取材しました。

 

 

県などによりますと、県内の介護施設で技能実習生を受け入れたのは、川西町の施設が初めてと見られるということです。また、山形市の施設でも9月27日までに4人の実習生が全員そろうということで、2つの施設では今後、継続的に実習生を受け入れていく予定です。

 

20190924_01.png

 

介護を支えてきた外国人材

 

「介護の分野で初めてと見られる」というコメントに、「あれ?そうだっけ?」と思った方もいるかもしれません。

 

介護の現場を支える外国人材のニュース、実はこれまでもたびたびお伝えしてきました。

 

ただし、それは「介護福祉士」の国家資格をとるため、EPA=経済連携協定を利用して来日し、県内の介護施設で働きながら勉強を続けるという外国人のかたがたでした。実はEPAを活用したこの制度は、これまで、原則、4年以内に介護福祉士の資格を取らなければ帰国しなければならないという厳しいものでした。

 

20190924_02.png

 

その後ことし5月に「特定技能」に関する運用が一部改められ、EPAで来日した人も、4年間日本で就労していることや、介護福祉士の試験で合格基準点の半分以上を取得したことなどを条件に、「特定技能」のうち1号に移行するための試験が免除されることになりました。

 

それでも技能実習生の方が、滞在するためのハードルが低い上、

山形市の施設の担当者が話していたように、「特定技能」とあわせると、滞在期間は最大で10年に延長することもできます。

 

これが今「技能実習生」に注目が集まっている理由だと思います。

 

なぜ進まなかった?実習生受け入れ

 

介護でも技能実習生の受け入れが可能になったおととし、私は介護事業所が参加して開かれた合同説明会で、外国人の採用を考えている事業所がどれだけあるのか調査したことがありました。そのときは、回答した62の事業所のうち6割近くが外国人の採用を考えていると答えました。

 

しかし、フタを開けてみると、県内で受け入れが始まったのは、新しい法律が施行されてから1年10か月後。どうしてこれまで受け入れは進まなかったんでしょうか?

 

理由は2つあります。

1つ目は、実習生が入国するまでに時間がかかってしまったためです。今回取材した川西町の施設に話を聞いたところ、本当は去年、受け入れを行う予定だったものの、ベトナム側の手続きが遅れて実習生が入国できるまでに時間がかかってしまったということです。
2つ目は、事業所の中に、実習生の受け入れに二の足を踏んでいるところがあると見られることです。

 

20190924_03.png

 

ことし5月に、介護現場での外国人材の受け入れについて話し合う県の会議が開かれました。人手確保に困っている事業所は多いのに、「受け入れ方法がわからない」とか、「職員が忙しくて受け入れた外国人材のサポートに手が回らない」などという意見が相次いでいることが紹介されました。また私がおととし(2017年)取材したときには、外国人に世話してもらうことに抵抗を感じる利用者もいるのではないかと心配する声もありました。

 

教えて、教えられて

 

しかし、今回取材してみて、外国人は介護施設にとって貴重な戦力になるし、逆に日本人の職員やスタッフが学んだりはっとさせられたりすることはたくさんあるのではないかと感じました。

 

20190924_04.png

 

川西町の施設の実習生、チャンさんとトゥイさんは、とても明るくて、利用者の方に話しかけるときも姿勢を低くして目線をあわせて、ゆっくり丁寧に話しかけているのが印象的でした。ベトナムなど東南アジアの国々では、高齢者を大切にするという国民性もあって、自然とそのような対応が身についているのだと思います。

しかも、チャンさんは4人きょうだいの長女として、トゥイさんは1人の母親として、家族を背負って来日しています。“介護の知識や技術をしっかり覚えて祖国に帰りたい”という2人。施設の担当者は、日本人の若者よりも熱心で、覚えも早いと話していました。

 

20190924_05.png

 

頑張り屋で優しい2人。川西町の施設では、利用者が実習生の2人に日本語や折り紙を教えるなど、楽しそうに接しているということでした。

 

介護の外国人材・奪い合いの中で

 

県内だけでなく、全国の介護を支える外国人材は、ほかの国や自治体との間で激しい奪い合いになっています。

“まなびの場”として“働く場所”として、外国人技能実習生に選んでもらう。そのために、川西町や山形市の施設では、VTRでご紹介した以外にもさまざまな取り組みを進めています。

 

20190924_06.png

 

例えば、川西町の施設では、外国人にわかりやすい日本語の話し方をまとめた冊子(「公益財団法人 国際研究協力機構」発行)を職員に配布しました。

 

日本人どうしの会話だと、簡単に説明することを忘れてしまいがちですが、冊子には、例えば、「鈴木さんは頭が痛いとか言ってもう帰りましたよ」を「鈴木さんは頭が痛いです。帰りました」というように、できるだけ短い文に区切るということ。そして、「集合」や「休憩」などと言った漢字のことばは難しいので、

「集まってください」や「休んで」というように簡単な日本語に置き換えるといったポイントが書かれています。

 

20190924_07.png

 

また、山形市の施設では今後、アプリだけでなく、介護福祉士の養成コースがある東北文教大学から、日本語などの指導を行う先生を派遣してもらったり、実習生たちが施設の職員に自国のことばや文化を教える機会を提供したりすることで、異文化交流を進めるといったことも検討しているということです。

今後、先行して受け入れを行っている事業所がどのような取り組みを行っているのか、そして、実際に受け入れてみて浮かび上がった課題は何なのか、情報を共有することも大切になってくると思います。私も県内での外国人材の受け入れについて、引き続き取材していきたいと思います。

 



記者特集    

山形局記者 | 投稿時間:16:03