2012年8月15日(水)

ブラジル リオ五輪へ 期待と課題は

3日前に幕を閉じたロンドンオリンピックの興奮さめやらぬ中、次のバトンを渡されたのが、南米ブラジルのリオデジャネイロです。

世界有数の観光地として知られるブラジル第2の都市、リオデジャネイロ。


昨日(8月14日)、この街にオリンピックの旗が到着しました。
悲願だった南米初のオリンピック。
地元の期待は高まっています。


市民
「オリンピックを開催できることを、とても誇りに思っています。」


会場の建設は24時間態勢。
大会の準備は急ピッチで進められています。

しかし、インフラ整備の遅れや渋滞など、課題も浮き彫りに。


市民
「このままでは大変なことになる。」


オリンピックの成功で大国入りを狙うブラジル。
期待を膨らます地元の人々の思いと、開催に向けての課題について、現地からの最新報告です。
 

鎌倉
「オリンピックの閉会式で行われたブラジルのプレゼンテーション、サンバを踊ったりと、情熱的で『勢い』を感じさせましたよね。」


傍田
「一瞬ロンドンが、もうリオになったと思うくらいでしたよね。
ブラジルは今、世界経済を牽引する新興国の1つとして注目されていますので、オリンピックの開催を国の経済発展を世界に
アピールする恰好の舞台にしようとしているような感じですよね。」


鎌倉
「南米初のオリンピック開催に、地元の期待、高まっています。
しかし、その一方で、様々な課題も浮かんできました。
現地の最新事情を取材しました。」

Welcome to 五輪前に英語特訓

リオデジャネイロの公立の小学校です。
4年後のオリンピックに向けて、新たな取り組みを始めています。

「グッドアフタヌーン。」


行われているのは、英語の授業。

ポルトガル語が公用語のブラジル。
英語を学ぶことで、世界中からやってくる人たちとコミュニケーションをとれるようにするのが狙いです。

生徒
「外国の人と英語で話せたらうれしい。」

生徒
「ウェルカムブラジル!」

“新種目で五輪に” ラグビーが人気

そして、サッカー王国のブラジルで、今、オリンピックに向け人気急上昇中なのが、
「ラグビー」です。

リオデジャネイロオリンピックで新たに競技種目に加わる、7人制ラグビー。

 

「ラグビーは大好き。
興奮してアドレナリンが出るよ。」



 

特に、貧しい地域に住む子どもたちの間で人気です。

お金をかけずに始めることができる上、サッカーに比べて、まだ競技人口が少ないため、オリンピック代表の座をつかみやすいからです。

サンパウロにあるスラム街でも、子供向けのラグビー教室が盛んに行われています。
この教室には、18歳までの若者70人が参加しています。



 

5年前にラグビーを始めたジウマール・アルメイダさん、16歳。
4年後、地元ブラジルで開かれるオリンピック出場を目指しています。

大柄で足腰の強さが持ち味のアルメイダさん。
オリンピック種目に加わることが決まってからは、ますます練習に力が入るようになりました。

アルメイダさん
「この教室がなければ、貧しい私たちは、ラグビーを知らないままでした。
私たちに大きなチャンスを与えてくれたのです。」


 

教えているのは、ラグビーのワールドカップなどにも出場しているジエゴ・ロペス選手です。
オリンピック選手を育てるだけではなく、ラグビーを通じて、貧しい家庭の子供たちに規律やマナーを教え、夢も与えたいと考えています。

ジエゴ・ロペスさん
「ラグビーで子どもたちの人生がよりよいものになれば、私も最高の幸せな気持ちになります。」

リオ五輪 課題は 受け入れ態勢

オリンピックの開催がインフラ整備のきっかけとなり、街の発展につながるという期待も高まっています。

佐々記者
「開会式が行われる、こちらのスタジアムは、およそ550人が24時間態勢で工事を行っています。」


 

一方で様々な課題も浮かび上がっています。

リオデジャネイロでは、宿泊施設の慢性的な混雑が続いています。
市内の宿泊施設は、ホテルや民宿などを合わせると3万室余り。
しかし、オリンピック期間中には、海外から40万人近い観光客が訪れると見られています。

ホテルの建設も急ピッチで進められていますが、それでも到底足りません。

渋滞の緩和へ インフラ整備に必死

そして最も頭が痛いのが、慢性的な交通渋滞。

世界第4位の自動車市場にまで成長を遂げたブラジルでは、道路の整備が追いついていないのです。


山がちで平地が少なく、住宅も密集していて道路を拡張しようにも、土地の確保が難しい状況です。 

ドライバー
「この渋滞はまるで地獄だね。
オリンピックまでに何か手を打たないと、大混乱になるよ。」


 

今、渋滞対策としてリオデジャネイロ市が進めているのが、地下鉄の建設です。
市街地と郊外にある競技会場を結ぶ全長およそ16キロの区間で工事が進められています。


 

また、バス専用レーンの開設も進めています。

地元では、4年後に向けて、こうしたインフラ整備に、必死に取り組んでいるのです。


 

リオデジャネイロ パエス市長
「開催までの道のりは平たんではありませんが、オリンピックに向け、これから街は変化していきます。」

あと4年 間に合うのか インフラ整備

傍田
「取材にあたった佐々記者に聞きます。
インフラの整備、時間も費用もかなりかかりそうですよね、4年後のオリンピックまでに本当に間に合うんですか?」

 

佐々記者
「楽観的な人が多いブラジルでは、何事も計画通りに進まず、予定が大幅に遅れることが日常茶飯事ですので、正直、本当に間に合うのか、私自身、心配になってしまいます。
今年6月に現場を視察したIOC・国際オリンピック委員会も『日程はきつくなってきている』と準備を急ぐよう要請するなど、全体的な準備状況はかなり遅れていると言えそうです。」

五輪とW杯 二重の負担

傍田
「ブラジルは2年後にサッカーのワールドカップも控えてますよね。
ワールドカップ、そしてオリンピックと、この2つの大きな大会を抱えて、負担はかなり重いと言わざるを得ないんじゃないですか?」

佐々記者
「立て続けの大型イベントの開催で、準備のための資金が十分に確保できるのか、不安視する声も挙がっています。
専門家らはリオデジャネイロオリンピックの総事業費は、当初の計画のおよそ1兆1300億円を大幅に上回る可能性があると指摘しています。
特に、今、ブラジルでは人件費や資材など、物価の高騰が続いていまして、経済が成長しているブラジルとはいっても、世界的に景気が減速する中、2つの大型イベントに向けて、海外から投資を呼び込み、十分な資金を確保できるのかどうかが不安視されています。」

大きな課題は 治安の改善

鎌倉
「ロンドンオリンピックでもテロ対策が重要な課題となっていて、リオデジャネイロの治安対策も気になりますが、その点は怠りなく準備は進みそうですか?」

佐々記者
「オリンピックを前にリオデジャネイロでもテロリストの立てこもりを想定した訓練などが行われています。
また、リオデジャネイロ市内では、強盗や殺人といった凶悪事件が後をたたず、その件数は去年(2011年)、合わせて6万件余りに達しています。
特に、市内におよそ600か所あるスラム街は麻薬密売組織の拠点になっていまして、警察が掃討作戦に乗り出しているんですけれども、取り組みは始まったばかりで、治安が大幅に改善しているとは言えない状況です。
海外から訪れる人たちも安心して競技を観戦できる状況を整えられるかも、リオデジャネイロオリンピックの大きな課題となりそうです。」

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