サウジアラビアはこれまで、政府が海外の報道機関に取材の許可を認めなかったため、その国内事情を知ることが極めて難しかった。今回、ギリシャの取材班が初めてサウジ社会の素顔を撮影することに成功した。
サウジアラビアの建国は1932年。アラビア半島の一豪族サウド家が、イスラムの一宗派であるワッハーブ派の援助を得て国土を統一、王国とした。ワッハーブ派は、イスラム教の中でも特に戒律が厳しい宗派で、それを国教とするサウジ国民は、1日5回の祈りを欠かさず、宗教警察ムタワが町中を巡回。公開処刑も行われる。しかしちゃっかりと抜け道もあり、男女の自由交際はご法度ながら、車のリアウインドウには携帯電話の番号。女性が車を運転することは禁止されているが、あるキャリア女性は「警察に3度止められたけど目的地まで言ったわよ」と堂々と語り、最近では、女性パイロットまで誕生した。
世界の石油埋蔵量の4分の1を誇るこの国では、サウド王家にその富が集中している。世界第4位の個人資産を持つワリード王子。民衆一人一人の声を聞くことも王室の重要な役目とされ、砂漠の真ん中の集落に出かけ、大宴会が朝まで続く。集まってきた遊牧民の訴えに耳を傾け、その場でお金や車を分け与える。王子は「一晩で900人に施し物をしたこともあるが、貧しい者に施すことが富める者の義務。」と語る。同時に、そこでも衛星電話を片時も離さず、世界各国の市場動向をつかみ、投資の機会を逃さない。
西洋化の傾向を強めるサウド王家に反対し、原点回帰を求める若者たちも生まれている。
9.11の世界同時多発テロでは、15人の実行犯がサウジ出身だった。番組には、オサマ・ビンラディンの幼馴染が出演し、正義感の強かった幼少時代を語るとともに、テロについて心情的には理解できるが、道義的には許されざる行為だと非難する。
国際社会でのイスラム諸国に対する風当たりが強くなる中で、中東の大国が、伝統と近代化のバランスをどう舵取りしながら国を運営していこうとしているのか、垣間見える番組となっている。
原題: Saudi Arabia:Under the Veil
制作:
Small Planet(ギリシャ)
2006年