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2019年29日放送 午後900分~NHK-FM

放送一覧

『先輩、大好き!』

原案:荒井優希、太田彩夏、野島樺乃

脚本:北阪昌人

★参考:チョコミント、クミ

出演

荒井優希、太田彩夏、野島樺乃、山寺宏一

あらすじ

休み時間、教室で話しているのは優希、彩夏、樺乃の3人。2月に入り、バレンタインデーが迫るなか、彩夏は同じ学校に通う兄の卒業が近づいていることに喜ぶ。彩夏の兄は、SKE高校馬術部のキャプテンを務めながらも、遅刻の常習犯、勝手に早退、他校の生徒とケンカなど評判は良くない。しかし、優希はそんな彩夏の兄・太田先輩にひそかに恋をしていた…。果たして、優希はバレンタインデーにチョコレートを渡すことができるのか!?

人物相関図

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ナレーション:ここは、名古屋、栄にある、SKE高校。一年K組の教室では、休み時間に、優希と彩夏と樺乃が、話しています。


彩夏:ねえねえ、どうする?

樺乃:え? 今日は、お弁当持ってきたから、

彩夏:ランチの話じゃないよ、

優希:バレンタインよね。

彩夏:そう、優希、もしかして、誰かいるの? チョコを渡したい相手。

優希:いや、

樺乃:優希は、ないよね。真面目で奥手だし、

彩夏:そうそう、ないね、優希は、

優希:ま、まあね。

彩夏:それより、はあ、やっと、2月だよ、あと一か月の辛抱だぁ!

樺乃:彩夏、何が?

彩夏:兄貴よ、兄貴、

優希:お兄さん?!

樺乃:ちょっと、大丈夫、優希、どうした?

優希:ううん、なんでもない。

彩夏:3月で卒業してくれて、ほんと、めっちゃせいせいする。

優希:そう。

彩夏:だってさあ、同じ学校に兄貴がいるなんて、ほんとサイアク。しかもさあ、あんな兄貴だからさあ、もう、マイッタよ。

優希:いい、お兄さんじゃない。

樺乃:優希、評判は、良くないみたいだよ。

彩夏:そう、そのとおり。遅刻の常習犯だし、勝手に早退するし、隣の高校の悪いやつらと喧嘩しちゃうし、

優希:あ、それは、

樺乃:え? なに?

優希:なんでもない。

彩夏:まあ、学校も馬に乗りにきてるようなもんだしね。

樺乃:我がSKE高校馬術部のキャプテン、だよね。

彩夏:将来は競馬の騎手になりたいんだってさ。卒業したら、競馬の学校に入るんだって。

優希:そうなんだ。

樺乃:・・・なんだか、カッコいいね。

彩夏:ああ、卒業してくれて、ほんとni、うれしい。やっと私の学園生活が始まる!

優希:卒業なんて・・・さみしい、私、優希は思っていた。愛しい、太田先輩・・・あなたに、チョコレートを、渡したい・・・最後のチャンスだから・・・。受け取って、くれますか? 私の、気持ち。私は、彩夏のお兄さん、太田先輩が、大好き・・・。

優希:私、優希は、その日、部活で遅くなった。テニス部の練習。家に早く帰りたくて、いつもとは違う道を通っていたら・・・。

不良学生A:あれれ? SKE高校のかわい子ちゃんじゃね?

不良学生B:ほんとだ、ほんとだ、

不良学生A:ねえねえ、おれたちとさあ、ちょこっと遊ぼね?

不良学生B:遊ばね?

優希:いえ、遊びません。

不良学生A:あちゃあ、ハッキリ言いますねえ、

不良学生B:ちょこっとでいいんだけどあなあ、一緒に、味噌煮込みうどん、食べにいこうぜ、な?

優希:いえ、失礼します。

不良学生A:いいじゃねえかよ、

優希:放してください!

不良学生B:いいじゃねえかよ、

優希:やめて!

太田先輩:やめろ!!

不良学生B:な、なんだ、この声は!

不良学生A:ええ? う、馬?

太田先輩:おめえら! その汚い手を放せ! いやがってるだろ!

優希:いきなり現れたのは、馬に乗った、太田先輩!

太田先輩:手を放さねえなら、この太田が相手だ。

不良学生A:え? 太田って、まさか、栄の暴れん坊将軍と呼ばれた、あの太田か!

不良学生B:関係ねえ、負けてたまるかよ! こっちは二人だ、やっちまおうぜ!

不良学生A:お、おう!

優希:馬から降りた太田先輩は、私にこう言った。

太田先輩:お嬢ちゃんは帰りな! ここはオレにまかせろ! いいか、今日のこと、誰にも話すんじゃねえぞ。こいつらをやっつけるのは、オレの問題だ、おまえには関係ねえ。いいな?

優希:え?

太田先輩:いいな!

優希:は、はい。

太田先輩:おりゃああ、てめえら、許さねえ!

優希:翌日、学校では大問題になっていた・・・。太田先輩が、他校の生徒と喧嘩して怪我をさせてしまった、と。

優希:放課後、学校の馬場に行くと・・・太田先輩が、ひとりで馬に乗っていた。

太田先輩:それ! はい! やあ! いいぞ、その調子だ、いいぞ、

優希:カッコ、よかった。馬と会話しながら馬を走らせる先輩、綺麗だった・・・私は・・・恋に落ちた。

太田先輩:なんだ、お嬢ちゃん、オレになんか用か?

優希:ああ、あの、私のせいで、

太田先輩:明日から二週間の停学で済んだよ。大丈夫、もともと学校に用はねえんだ。

優希:私、言いましょうか、先生に、私をかばうために、

太田先輩:やめとけ、あんたが損するだけだ。いいんだよ、オレがいいって言ってんだから。

優希:でも、

太田先輩:オレと口きいてると、仲間だと思われちまうぜ。とっとと帰んな。あ、あの道は、ぜったい、通っちゃダメだ。

優希:・・・はい。

太田先輩:あ、お嬢ちゃん、

優希:はい。

太田先輩:妹がいつも世話になってすまねえな。

優希:え?

太田先輩:彩夏は、まあ、口は悪いけど、いいやつだ。仲良くしてやってくれ。

優希:はい。私、大好きです、彩夏のこと。

太田先輩:そうか。うれしいよ。こんな兄貴で、苦労かけてると思う。あいつ、第一志望に落ちて、オレと同じ高校に来ちまって。でもまあ、もうすぐ、卒業だ。

優希:・・・はい。

太田先輩:じゃあな。

優希:はい、失礼します。

優希:その日以来、私は、寝ても覚めても、太田先輩のことばかり考えるようになった。でも、その思いを、彩夏には言えず・・・。


ナレーション:休み時間、いつものように、優希と彩夏と樺乃が、話しています。


樺乃:太田先輩、マジ、やばくない? いつも馬で通学してるんだって?

彩夏:そうなんだよ、ありえないよね。っていうか、ダメでしょ。

樺乃:だよね~ウケる~馬で通学!

優希:いいと、思うけどなあ・・・

彩夏・樺乃:え?

優希:ううん、なんでもない。

彩夏:でもさあ、ああ見えてさあ、兄貴って、モテんのよ、私にさあ、チョコ渡してっていう女子、多くて、バレンタインデー、めっちゃ、ウザイんですけど。

優希:そうなんだ・・・お兄さん、モテるんだ。だよね、馬に乗る姿、カッコいいしね。

樺乃:え? 見たことあんの?優希、

優希:え、えーと、あ、偶然ね、い、一回だけ。

彩夏:実際は、ガサツで、無神経で、どうしようもないよ。

樺乃:でも、喧嘩、強そうだよね。顔、イケメンだし。

優希:お兄さんは、その、な、何が好きなのかな?

彩夏:え?

優希:食べ物、とか。

彩夏:え?そうだなあ、ラーメンとか。

優希:甘いものは?

彩夏:好きなんじゃない。私が大事にとっておいたスイーツ、勝手に食べちゃうから。

優希:そう。嫌いなものは?

彩夏:え? そうだなあ・・・マンゴーかな。って、優希、そんなこと聞いて、どーすんの?

樺乃:え? ま、まさか、優希、彩夏のお兄さんに?

優希:え? ええ? なに? 違うよ、全然違う、チョコなんて渡す気ないし、

樺乃:めっちゃ、動揺してるけど。

優希:あ、いや、別に、えーと、その、ただ、聞いただけ。

彩夏:樺乃は、誰かにあげる気ないの? バレンタインデー、

樺乃:ウチの高校の男子はみんなダッサイし、友チョコがイチバンだよね。

彩夏:そうだね。ね、優希、

優希:そ、そうだね。

優希:彩夏、樺乃、ごめんね、嘘、ついて。私、なんとしても、太田先輩に渡したいんだ。チョコレート。


ナレーション:いよいよ、バレンタインデー当日がやってきました。放課後、優希、彩夏、樺乃が、帰りじたくをしています。


樺乃:ねえねえ、帰りにさあ、カフェ寄って、チョコレートパフェでも食べない?

彩夏:いいね! 賛成!

優希:あ、今日の放課後は、ちょっと、

樺乃:え? なに?

彩夏:え?まさか、優希、

優希:いや、あの、ちょっと、

樺乃:まさか、まさか、優希、誰かにコクるとか、

優希:え?

樺乃:ええ? そうなの?

彩夏:そうなの?

優希:・・・ごめんなさい!

彩夏・樺乃:え?

優希:私、渡したいひとがいて、

樺乃:チョコ、渡すの? ええ? 誰? 誰? 誰に渡すの?

優希:それは・・・

彩夏:それは?

優希:・・・太田先輩、

樺乃:え? 聴こえない、誰?

優希:太田先輩、

彩夏:え? いま、なんて言った?

優希:太田先輩!

彩夏:ええ? 兄貴? 私の、兄貴? うそでしょ?

優希:嘘じゃない。黙っててごめんなさい!!

優希:私は、からまれているのを助けてもらったことを正直に話した。

樺乃:そっか、

優希:そうだったの。

彩夏:優希が私の妹になるんだ・・・。

優希:ええ?

樺乃:って、気が早くない? まだ告白もしてないのに。

彩夏:何がいいんだか、妹の私には一ミリもわかんないけど、兄貴がねえ・・・。

樺乃:って、彩夏、どこいくの?

彩夏:え? 決まってるでしょ、馬場。

優希:え?

彩夏:兄貴は、今日も、馬に乗ってるから。

優希:え?

彩夏:話、つけてあげるよ。

樺乃:彩夏、いいとこあんね。

彩夏:セッティングだけしてあげる。あとは、しっかりね。

優希:ありがとう、彩夏。

優希:馬場に行って、驚いた。チョコを持った女子たちが、たくさん群がっていて・・・。

樺乃:すごいね、人気。

彩夏:ほんと、なんでモテるんだが、わかんないけど。って、優希、どこいくの?

優希:帰る。

樺乃:え?

優希:勝ち目ないよ、

樺乃:あんたもメンドクサイ女だなあ、コクるだけコクってみればいいじゃん。

優希:でも、

彩夏:好きなんでしょ? 兄貴のこと。

優希:好きだよ。

彩夏:だったら、いきなよ! ちょっと待ってて!

優希:って、彩夏!


ナレーション:彩夏は、馬に乗る自分の兄のもとに駆け寄り、なにやら話すと、彼は、馬から降りて、優希のほうに歩いてきます。


優希:来る、近づいてくる、太田先輩が、こっちに、来る。

太田先輩:よう!

優希:どうも。すみません、練習の邪魔、してしまって。

太田先輩:話があるって?

優希:・・・はい。

太田先輩:なに?

優希:・・・私、

太田先輩:なに?


ナレーション:優希はそこで、コートのポケットから、チョコが入った紙包みを取り出しました。


優希:これ、

太田先輩:なに?

優希:チョコです。私、先輩のことが・・・好きです。

太田先輩:乗ってみる?

優希:え?

太田先輩:馬、一緒に、乗ってみる?

優希:えええ?

太田先輩:来な

優希:太田先輩が、私を後ろから包み込むようにして、手綱を持った。

太田先輩:馬は・・・いいよ。嘘がない。いつも、真っすぐ、前を向いてる。

優希:夢のような時間だった。まるで空を飛んでいるように、私は、幸せに包まれた。

太田先輩:チョコ、ありがとう。うれしいよ。

優希:人生で最高のバレンタインデー、私は、このときを、一生忘れないでいようと、思った。

収録後のワンショット

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