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2018年112日放送 午後1000分~NHK-FM

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番外編『どんな風に吹かれても』

原案:小林由依、織田奈那、尾関梨香

脚本:北阪昌人

★参考:ぽんた、けやきサイコーです!

出演

織田奈那、尾関梨香、小林由依、山寺宏一

あらすじ

欅坂高校に通う奈那は、私服がダサい。休みの日に声をかけてきた男子には、「ペリー来航」と笑われ、また、別の男子からはドンビキされる。すっかり自信をなくし、木枯らしが吹く街を歩いていると、ふいに現れた占い師に声をかけられる。「欅坂をゆっくりのぼりなさい、そうすれば人生を変える風が吹く」という占い師の言葉通りに、奈那は欅坂をゆっくりとのぼる。すると、坂の上から憧れのファッションモデルがやってきて…!?

人物相関図

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奈那:私は、どうやら・・・私服が、ダサいらしい。

奈那:欅坂高校の制服は、可愛らしいから、通学の行き帰りや、同じクラスの男子には、けっこう、声をかけられる。でも、休みの日、声をかけてきた男子に私服で会うと・・・。

男子A:え?あ、あのさ、ほんとに、奈那ちゃん?

奈那:そうだけど。

男子A:いや、俺さあ、向こうから奈那ちゃんが歩いてくるのを見たとき、あれ?ペリー来航かなあって、思ったんだよね。だってその服、その帽子、マジ、ペリーじゃん、開国じゃん、幕末じゃん、ニッポンの夜明けじゃん!・・・そんな服、どこで売ってたの?

奈那:えええ?!

男子B:あれ?え?あれれ?えええ?あのさ、君、あれだよね、欅坂高校の奈那ちゃん、だよね。

奈那:そうだけど、

男子B:いや、うわ、そのコートの下のシャツに書いてある文字、

奈那:ああ、これ?いいでしょ。

男子B:『因果応報』って、四字熟語、書いてあるんですけど。

奈那:私の、好きな言葉なの。

男子B:って、なんか、ひくわ~。ヤベ、俺、ドンビキだわ~。

奈那:えええ?! どうして??

奈那:私の2018年の目標は、彼氏をつくることなのに・・・。木枯らしが吹く、寒い夕暮れ時、街を歩いていたら、

占い師:アータ、ちょっと、そこのアータ!

奈那:え?私、ですか?

奈那:全身黒づくめの占い師が、私を手招きした。

占い師:アータね、いくら特技が前屈だからって、そんなに前かがみで歩いていたら、女性は素敵に見えないわよ。大事なのは、姿勢。ほら、胸を張って!ほら!

奈那:はあ。

占い師:アータ、

奈那:はい。

占い師:アータに、これからとんでもないことが起こるわよ。

奈那:え?とんでもないこと?

占い師:あそこに見える坂、あるでしょ、

奈那:はい。欅坂。

占い師:ゆっくりのぼりなさい。そうすれば、アータに、風が吹く。人生を変える、風が・・・。

奈那:占い師さんが言ったとおり、欅坂をゆっくりのぼった。風が、さっと私の隣を通り抜けていく。風景が、ちょっとずつ変わっていって・・・。ダメな自分が、思い出されていく・・・。ダサくて、どんくさくて、情けない自分・・・。

奈那:え?あ、あれは?

奈那:坂の上から、こっちにやってくるのは・・・。とんでもない美女。キラキラ光るオーラをまとっているのは、私が憧れる、ファッションモデルの、小林由依!カッコいい!

由依:あ、あなた、

奈那:はい?

由依:ちょっと、いいかしら。

奈那:え?

奈那:こ、声をかけられた。

由依:あなたのそのファッション、いいわね。

奈那:え?あ、いや、その、そんなわけないです。さっきも、なんでパジャマ着てるの?って友達にバカにされて・・・。

由依:いい! とってもいい! ね、そう、思わない?

奈那:由依さんは、隣にいた、いかにもキャリアウーマン風な女性に声をかけた。

尾関:ええ、素敵です。なんか・・・斬新(ざんしん)っていうか、攻めてるっていうか。

由依:そう、それ、彼女は攻めてる。尾関さん、私ね、彼女のファッション見て、ああ、ダメダメ、私、守りに入ってたなぁって気づかされた。

尾関:いやあ、由依さんも、十分、攻めてると、私は思いますよ、思いますがっ! 正直、彼女、ほどじゃない。

由依:そうなの、そこなの。あなた、名前は?

奈那:え?えっと、奈那、ですけど。

由依:奈那。いい、名前がいい。名前が攻めてる。私は自分を責めてる。ダメな自分。

尾関:ねえ、奈那さん、もしよかったらなんですけど、今から、一緒にスタジオに行ってもらえませんか?あ、私は、ファッション雑誌の編集者なんですが・・・。小林由依さんの撮影があるんですが、よかったら、一緒に。

由依:さすが、尾関さん、よく誘ってくれた。ね、どう?奈那さん、一緒に、スタジオ。

奈那:まさか! む、無理です、っていうか、スタジオ?

由依:いいじゃない、見学だけなら。

尾関:そう、見学だけなら。

奈那:はい・・・。

奈那:なに?これって、なに?いったい私に何が起きたっていうの?

カメラマン:いいね! ああ、いいよ、その感じ、君、名前は?

奈那:奈那、です。

奈那:スタジオに着くなり、カメラマンにカメラを向けられた。

カメラマン:奈那ちゃん、いい名前だ、自然でいい感じ、ナチュラルがいちばんなんだよ、今は。つくっちゃダメなんだよ、今は。俺たちカメラマンも、自然体でいなくちゃねえ、いいもんは、いい、わるいもんは、悪い。君は・・・いいぜ。はい、笑って、はい、泣いて、はい、怒って、はい、今度は・・・変顔して!! はい、風! 風ください!! 彼女にありったけの風を送って!!

奈那:不思議だった。カメラを向けられるたびに、私は胸を張っていた。

由依:奈那さん、あなた、いい顔してるわ。

尾関:ほんと、なんか、さっき欅坂で会ったときとは、違います。

奈那:そんな・・・私は・・・。

由依:私ねいつも思ってるの。モデルの仕事って、ひとからどう思われるかどう見えるかが大事だって思うかもしれないけど、違うんだよね。大事なのは、自分が生き生きしてるかってことだけ。

奈那:自分が生き生きしてるか・・・。

由依:鳥を観察しようと思って、双眼鏡を片手に追い回しても、結局、鳥は逃げてしまう。それなら、いっそ、鳥が向こうから寄ってくるような、そんな人間になれば、いいんじゃないかなってね。

尾関:出ましたね、由依語録(ゆいごろく)。由依さんの言葉は、深いです。

由依:違うの、教えられたのよ、奈那さんに。

奈那:私は何も・・・。

由依:あなた、綺麗よ。

尾関:そう、奈那さん、ファッションモデルになってみない?

由依:あなたのセンスを雑誌にぶつけましょう!

奈那:・・・いえ・・・もう十分です。

尾関:え?

奈那:私・・・いいんです。モデルになるんじゃなく、その前に、胸を張って生きられるような女性に、なります!

奈那:私はスタジオを出て、欅坂に行った。そこにはもう、占い師さんはいなかった。

奈那:さっと、風が吹き抜けていった。私は、今度こそ、胸を張って、坂をのぼった。遠く、占い師さんの言葉が聴こえた。

占い師:アータ、いくら特技が前屈だからって、そんなに前かがみで歩いていたら、女性は素敵に見えないわよ。大事なのは、姿勢。ほら、胸を張って! ほら!

収録後のワンショット

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