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2018年112日放送 午後1000分~NHK-FM

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番外編『愛の避雷針』

原案:小林由依、織田奈那、尾関梨香

脚本:北阪昌人

★参考:ミッシェル、ミチヒロ

出演

小林由依、織田奈那、尾関梨香、山寺宏一

あらすじ

ここはケヤキザーカという村。最近、村の住人たちは、カミナリによる山火事に困っていた。そんなケヤキザーカの小高い丘にある1軒の小さな家に住むナナは、科学者のパパに教わり、避雷針を作る。そして、ある夜、丘にカミナリが落ちる。様子を見に行くと、ひとりの青年が倒れていた。「カミナリのユイタ」と名乗るその青年を家に招くナナ。二人はすっかり仲良くなるが、次の日の夜、村にとんでもないことが起こる…。

人物相関図

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物語が読める ♪


ナレーション:ここは、ケヤキザーカという村。最近、村の住人たちは、困っていました。それは・・・。


ナレーション:カミナリが、落ちて、山火事が絶えないのです。


ナレーション:そんなケヤキザーカの小高い丘に、一軒の小さな家がありました。住んでいるのは、ナナという女の子と、そのお母さんです。


お母さん:さあ、ナナ、そろそろ夕飯の時間ですよ。今夜は、チーズフォンデュに、チーズオムレツに、チーズピザだよ。

ナナ:ええ? またチーズばっかり?

お母さん:ゼイタクいうんじゃありません! チーズはねえ、栄養たっぷり、しかも、美味しい。寒い季節は、身体もあったまるスグレモノ。チーズを笑うものは、チーズに泣くわよ!

ナナ:って別に笑ってないけど・・・。

お母さん:で、ナナはさっきから、何をやってるの?


ナレーション:ナナは、長い金属の棒を必死に磨いていました。


ナナ:これはねえ、避雷針っていうの。

お母さん:ヒライシン? それは、どんなチーズ?

ナナ:いや、チーズじゃないし。前にね、パパにね、作り方を教わったんだよ。

お母さん:何に使うの?

ナナ:ここにカミナリを落として、地面に逃がすの。

お母さん:まあ怖い!

ナナ:地面に逃がすことで、山の木や教会には、落ちないの。

お母さん:まあすごい!


ナレーション:そうして、ナナは、丘のイチバン高い場所に、避雷針を立てました。そしてある夜・・・。


ナナ:ああ、カミナリだ!

お母さん:きゃあ! 近くに落ちたんじゃない?

ナナ:私、みてくる!!

お母さん:ナナ!!


ナレーション:ナナが丘の避雷針の様子を見に行くと・・・。


ユイタ:痛って・・・。


ナレーション:丘に、ひとりの青年が、倒れていました。


ナナ:あの、だいじょうぶ、ですか?

ユイタ:ん? あ、ああ、なんとか・・・。

ナナ:お洋服が焦げて、ボロボロ・・・。

ユイタ:ったく誰だよ、こんなところに避雷針を立てやがって。

ナナ:私、

ユイタ:え?

ナナ:私、ですけど、

ユイタ:君が・・・避雷針を、

ナナ:はい。さあ、起き上がって、

ユイタ:ボクに触っちゃ、ダメだ!!

ナナ:え?

ユイタ:ボクの体は、電気でできている。まだ、放電中だ。

ナナ:え?

ユイタ:ボクは、カミナリのユイタ。


ナレーション:こうして出会った人間の少女と、カミナリの青年。二人の運命はいかに!


ナレーション:カミナリのユイタは、ナナが作った避雷針に落ちてしまい、地面に叩きつけられました。お母さんは、放電が終わったユイタを家に招きました。


お母さん:さあさあ、チーズをお食べ。

ユイタ:あ、ごめんなさい、ボク、チーズは食べないんで。

お母さん:あら、そうなの? でも、食わず嫌いは、ダメよ。まあ、食べてごらんなさい。元気、でるわよ。

ナナ:お母さん、無理にすすめないでよ。

お母さん:ああ、そうかい? それにしても、ユイタ君が家に来てくれたら、家の中がパーーっと明るくなったわねえ。

ユイタ:電気、ですから。

お母さん:あははははは、あらやだ、元気と、電気をかけたのね。ユイタくんは、ユーモアのセンスがあるのねえ。

ナナ:ユイタ、私の部屋に来て。

ユイタ:ん? ああ。


ナレーション:二人は、トントンと階段をあがり、二階のナナの部屋に行きました。


ナナ:地面に叩きつけられて、痛かった?

ユイタ:まあね。あ、でも、実は、慣れっこなんだ。

ナナ:慣れっこ?

ユイタ:ボクはね、なんていうか、ドジでさあ、よく転ぶし、倒れるし。おまけにね、まわりのカミナリ仲間とうまくやっていけないっていうか・・・ダメなんだ。うまく自分の思いを伝えられなくて。

ナナ:私と一緒。

ユイタ:え?

ナナ:私のお父さん、科学者なの。いつも研究所に泊まりこんでいる変わり者で。私もね、お父さんに似ていて・・・。誰かといるより、ひとりで実験してたほうが好きなの。

ユイタ:そっか・・・それで避雷針を・・・。

ナナ:ごめんなさい、あなたに痛い思いをさせてしまって・・・。

ユイタ:いいんだよ、ボクがいけないんだ。それにしても、素晴らしい避雷針だったよ。あれなら、どんなカミナリも吸い寄せられる。

ナナ:ほんと? なんだか、ほめられて、うれしい。

ユイタ:君、名前は?

ナナ:ナナ。

ユイタ:ナナちゃんか。いい名前だね。

ナナ:ありがとう。


ナレーション:こうして、ユイタとナナは仲良しになりました。ナナが、夜遅くまで本を読んでいても、


ユイタ:さあ、これでどう?

ナナ:わああ! 明るい!


ナレーション:ユイタが、光を照らしてくれました。二人は、すっかり仲良くなったのです。


お母さん:さあさあ、朝ご飯の時間よ。ナナには、サンドイッチ、もちろんチーズサンド。ユイタ君には・・・。

ユイタ:ボクは、風でいいんだ。木枯らしは乾いていて、何かとこすれてくれるだけで、美味しい電気ができる。ああああ、美味しい、この家の窓に立つと新鮮な電気がやってくる。

お母さん:まあ、安上がりな子だねえ。私のチーズサンドのほうが美味しいと思うけど。


ナレーション:しかし、その夜、とんでもないことが起こりました。


ナレーション:ケヤキザーカ村を猛烈な雷が襲ったのです。


ユイタ:もしかしたら、パパがボクを探しているのかもしれない。

ナナ:パパ? カミナリのパパ?

ユイタ:ああ。そろそろ、帰らなくちゃ。

ナナ:ええ? そんな、ダメよ、そんなのダメ。

ユイタ:ダメって言われても、ボクは、カミナリだから。

ナナ:せっかくお友達になれたのに。

お母さん:そうよ、もっとゆっくりしていってほしいわ。正直、あなたがいると、電気代も助かるし。

ナナ:ちょっとお母さん、何いってるの?

お母さん:あら、ごめんなさい。チーズは、いかが?

お母さん:きゃあ!

ナナ:いや、どこにも行かないで。

ユイタ:ナナちゃん・・・。

ナナ:いいじゃない、ここで一緒に暮らせば。ね? いいでしょ? お母さん。

お母さん:そうねえ、私たちはいいけど、でもねえ、ユイタ君のお父さんは、さみしいんじゃないかなあ。もし、私も、ナナがカミナリ様のところで暮らすっていったら、そんなこといったら・・・泣いちゃう・・・ぜったい、泣いちゃう。

村長:ちょっと! ねえちょっと! 開けてくださいよ! ケヤキザーカ村の村長です。あのね、ちょっとある筋から情報が入ってねえ、お宅が、カミナリの子供をかくまってるってねえ、そのせいで、とんでもないカミナリがきてるんじゃないのかって。ねえ、開けてください、このドアを!

ユイタ:行くよ、ボク。

ナナ:ダメ、行っちゃ、やだ!

ユイタ:ナナちゃん、大丈夫。離れていたって、ボクたちが仲良くなれたという思い出は、永遠に生きる。そして、カミナリのボクと仲良くなれたんだよ、人間の友達をつくるのなんて、わけないさ。

ナナ:やだ、私は、ユイタがいい!

お母さん:ナナ、ユイタ君を困らせちゃ、いけないよ。さあ、ユイタ君、この煙突からおいきなさい。

ユイタ:ありがとう、お母さん。

村長:開けないんだったら、このドア、壊しますよ? いいですか?

お母さん:今、開けますよ、村長さん。

ユイタ:ナナちゃん、いろいろありがとう。優しくしてくれたこと、パパに話すよ。この村にはもう、カミナリを落とさないように、頼んでみる。

ナナ:ユイタ・・・。

ユイタ:自信を持って。君は、ほんとうに素敵な女の子だ。

ナナ:・・・ありがとう・・・さよなら。

ユイタ:さよなら。

村長:あれ? どこにも、いませんなあ、

お母さん:カミナリさんが、いるわけないでしょう。この家に。


ナレーション:ユイタはナナのもとから、去って行ったのでした。


ナナ:ユイタ・・・。


ナレーション:それからしばらく経った、ある夜。


ユイタ:痛った~。

ナナ:え? えええ? もしかして、ユイタ?

ユイタ:やあ、ナナ、ボク・・・またつかまっちゃったよ、君の、避雷針に。

収録後のワンショット

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