あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.258 楽器リペアマン

インタビュー
インタビュー
「よみがえれ、麗しの音色♪」 大切な楽器を落とした!ソの音が鳴らない!最近調子が悪い〜
そんな壊れた楽器を修理をするのが、「楽器リペアマン」。
演奏家たちの強い味方です。

静岡県浜松市の管楽器修理専門会社に勤める高井恵実 ※1)さん(22歳)が今回の主人公。入社2年目です。楽器修理を専門とする会社は全国に少なく、日本各地から月300件もの修理依頼が舞い込みます。
修理には楽器の知識はもちろん、正しい音を聞き分けたり、弾き心地を調整するなど、音楽的素養も必要です。会社では楽器ごとに担当が分かれており、高井さんは入社以来「クラリネット」を担当しています。1つの楽器に精通することが、あらゆる楽器を修理できるようになるための第一歩なのです。
また、リペアマンは、会社で修理をするだけではありません。中学や高校の吹奏楽部を自ら回り、楽器の相談に乗り、修理依頼を請け負う営業にも出向きます。この秋、先輩とともに初めて営業に出ることになった高井さん。ある高校で、「バスクラリネット」の修理を依頼されました。これまで手がけてきた一般のクラリネットに比べ、部品も多く、作りも複雑。新たな楽器に挑戦する難しさを乗り越え、生徒を満足させることができるでしょうか?!
楽器と向き合い奮闘する高井さんの姿を通して、楽器リペアマンの仕事の魅力を伝えます。
※1)高井さんの「高」の字は旧字体です。(以下同様)

楽器修理の専門家「楽器リペアマン」。美しい音色を取り戻します!

■楽器リペアマンとは? ■楽器リペアマンになるには?■ 収入・待遇は? ■ 仕事の味

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◇楽器リペアマンとは?  さまざまな楽器の不具合や傷を、特殊な技術で直してくれるのが、「楽器リペアマン」。修理する楽器は、管楽器や弦楽器、打楽器などさまざま。それぞれ専門のリペアマンがいます。
 また、壊れた楽器だけでなく、弾き心地などの調整なども行ってくれます。
 管楽器で言えば、二ヶ月に一回は調整した方が、万全の状態で演奏を楽しめるそうです。 ◇全国の状況・今の状況  今回紹介した、高井さんのような管楽器の修理に携わっているリペアマンは、全国でおよそ500人と言われています。ただ、会社単位ではなく個人で営業をしていたり、必須の資格もないため、正確な数は把握できていません。修理を専門にした会社は少なく、楽器販売店で楽器を売りながら、修理も行うという形や、楽器メーカーに入り、修理担当の部署で働く人もいます。

 最近は、漫画や映画などの影響からか?吹奏楽がブーム。いま日本の吹奏楽人口は、500万人とも言われていて、アマチュアバンドの数も増えています。
 楽器を楽しむ人が増えれば、もちろん修理が必要になります。そういった状況を踏まえると、楽器リペアマンの需要も高まるといえるのではないでしょうか。
 また、大手メーカーの販売店では、店頭で修理を請け負う「リペアルーム」などを常設するお店も増えています。 ◇どんな人が向いているの?  楽器演奏が出来ない人は無理?そんなことはないのです!もちろん演奏経験があればそれに越したことはありません。
 しかし、今回の主人公・高井さんもクラリネットの演奏経験はありませんでした。楽器修理の専門学校で、演奏の授業を受け、基礎を学び現在に至っています。

 ベテラン職人の方曰く、「楽器リペアマンは『想像力』が頼りの仕事だ」。同じ楽器でも、種類も症状も違うことがたくさんあります。そんなとき、何が原因なのか?様々な可能性を推定する“想像力”が大切なのだそうです。
 思うように修理が進まなくても、前向きに楽器と向き合う気持ちも大事です。

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■楽器リペアマンになるには? ■楽器リペアマンとは?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇どうすれば楽器リペアマンに?  楽器リペアマンになるために、特別な資格は必要ありません。
 まず、お家の近くにある楽器関連の専門学校を探してみて下さい。“楽器修理”や“楽器リペア科”を設置している学校があるはずです。1年制もしくは2年制がほとんどです。
 専門学校に通い、楽器に関する細かい知識や、修理の基礎を学び就職するのが一般的です。また、場合によっては、修理会社に入ってから下積みを重ねて一人前になっていく人もいます。 ◇ステップアップの道すじ  今回取材した高井さんの場合、入社当時は先輩の修理を手伝い、“楽器の分解”や“楽器のクリーニング”をひたすら行って、半年経ってようやく担当を任されるようになりました。修理するのは、当然お客さんの大切な楽器。本人の実力を考慮しながら徐々に仕事が任されていきます。

 楽器リペアマンは、ひとつの楽器だけ修理できても一人前ではありません。まずは1つ担当楽器の修理を完璧に行えるようになり、次第にどんな楽器でも直せるようになるべく経験を重ねていきます。 ◇窓口・相談先 採用に関しては、各社様々です。具体的な情報は、楽器メーカーや、各修理専門会社にお問い合わせ下さい。

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■ 収入・待遇は? ■楽器リペアマンとは?■楽器リペアマンになるには?■ 仕事の味

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◇収入  会社によって様々ですが、高井さんの勤める工房の場合、初任給は専門学校卒で約16万円です。 ◇楽器リペアマンのある一日

◆ 高井さんの1日(10月)
ある一日

◇生活サイクルと休日  楽器修理の依頼の多くは、学校の吹奏学部のものです。依頼が最も多いのは“夏”。吹奏学部の大会直前、学生たちの依頼が一気に集中し、1年で最も忙しい時期となります。ほかにも、学校のテスト期間中は吹奏楽部も活動が休みで、その間に楽器を修理してテスト開けに部活で使うという学生も多いといいます。
 高井さんの場合は、毎週日曜日が定休日。さらに交代で土曜日や月曜日に休みをとっています。

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■ 仕事の味 ■楽器リペアマンとは?■楽器リペアマンになるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  楽器や音楽が好きな人にとって、大好きな楽器と常にふれあえる仕事です。 学生時代吹奏学部に所属していた高井さんは「吹奏楽部としての活動は一生の想い出だ」と話していました。楽器リペアマンは、そんな誰かが音楽を楽しむ手助けが出来るという喜びがあります。

 また、使う人あっての楽器修理。修理を依頼してくれた人に「前よりもずっと吹きやすくなった」と言ってもらえたときの喜びは格別です。 ◇苦さ  楽器の不具合の原因がわからないとき、納期に間に合わずお客さんを待たせてしまったとき。この仕事の難しさを感じるかもしれません。
楽器の数も故障の原因も千差万別。プロとして納期を守りながら、より良い修理を行うことは簡単ではありません。経験を積んで、様々なケースを学びながら成長していくしかないのです。まだ2年目の高井さんも、いつも答えの見えないプレッシャーと戦っています。

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NHK日本放送協会