あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.245 陶工

インタビュー
インタビュー
「土と炎と真剣勝負!」 シンプルなデザインと地元産の土や釉薬(ゆうやく)にこだわった手作りの風合いで、
若者にウケている陶器があります。
それは島根県斐川町(ひかわちょう)の出西焼(しゅっさいやき)

土の塊から器を形作り、焼き上げるのが「陶工」の仕事です。
河村徹さん(24歳)は、1年の研修期間を経て今年から従業員として働いています。湯呑みなど単純な形の物を担当していますが、終業後は毎日、自主練習を行い、スキルアップに努めています。現在挑戦しているのはティーポット作り。作ったものが上司に認められれば、製品作りを任されます。美しいフォルムはもちろん、持ちやすい取っ手や滴が垂れない注ぎ口など、使いやすく仕上げるのが目標です。
6月中旬。3ヶ月に一度の登り窯での窯焚きが行なわれました。陶工たちは交代で、迫り来る炎と闘いながら薪(まき)をくべ続けました。炎の跡が残る登り窯ならではの作品を目指す河村さん。思いどおりの作品は焼き上がったのでしょうか?

あなたの生活を彩る陶器は、私が作る!手作業だけで、多彩な作品を生み出します。

■陶工とは? ■陶工になるには?■ 収入・待遇は? ■ 仕事の味

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 粘土のかたまりから、湯呑みや皿、ティーポットなど多彩な形を作り出し、焼き上げ、陶磁器を作るのが仕事です。

 作業は、まず粘土をこねることから始まります。
 土に含まれる空気を抜き、柔らかくコシのある状態にするのが目的。うどんの生地作りにも似たこの作業、「土こね3年」といわれるほどコツをつかむのが難しい仕事です。

 土をこね終えたら、ろくろへ。土を回転させながら、器の形を作っていきます。
 延ばす部分によって使う指を変えたり、木の棒を使ったりします。また、たくさん作る陶器のサイズを同じにするため、竹のものさし「トンボ」をあてて、寸法を計りながら作業を進めていきます。

 形を作ったら、一度700〜800度で焼き固め、水分を抜きます(素焼き)
 その後、木の灰などでできた釉薬(ゆうやく)を器にかけます。これをかけることで、焼き上げたときにガラス質の膜ができ、陶器に強度が加わるのです。

 二度目は約1300度の高温で長時間焼き上げます(本焼き)。焼き上げる窯は、電気窯・灯油窯・まきを使う登り窯など様々。陶器の種類に合わせて窯を使い分けます。本焼きのあと、数日かけて冷ませば、陶器の完成です。
 繊細な作業の多い仕事ですが、手間ひまかけることで美しい器が生まれるのです。 ◇全国の状況・今の状況  陶磁器の製造に携わる陶工は、全国に約3万7千人(平成17年、国勢調査)います。
 不況や安価な輸入品の台頭・ライフスタイルの変化(洋食化など)で、陶磁器の売り上げはここ20年、減少しています。特に輸入品との価格競争にさらされています。 しかし一方で、手作りのよさを評価する人も増えていて、人気の窯もあります。実用性とデザイン性を両立させたものが求められているようです。 ◇どんな人が向いているの?  奥深い職人の世界、5〜10年は多様な修業をし、腕を磨かなければ一人前にはなれないと言われています。どれだけ早く一人前になれるかは、その人の努力次第です。
 長期間の下積みにも耐えられる辛抱強さを持つ人が向いています。

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■陶工になるには? ■陶工とは?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇どうすれば陶工に?  陶工の仕事に就くために、特別な資格は必要ありません。
 陶工の仕事に就きたい人は、直接窯元に入門し、働きながら修業を積むのが一般的です。また、工業高校や専門学校、美術系の大学などで基本的な技術を身につけることもできます。
古い窯の場合、一子相伝(自分の子供など一人だけに伝えること)で運営している所が多くあります。 ◇ステップアップの道すじ  とにかくたくさん陶器を作って、失敗しながら作業のコツを覚えることが重要です。
 また、使いやすい陶器はどんな物なのか、実際に使ってみて研究したり、名作といわれる陶器にふれて審美眼を鍛えることも必要です。 ◇窓口・相談先  陶工になるための、専門の相談窓口はありません。自分で窯元を調べ、相談するのが近道でしょう。

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■ 収入・待遇は? ■陶工とは?■陶工になるには?■ 仕事の味

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◇収入  窯によって様々ですが、河村さんの勤める工房の場合、 初任給は高卒で約16万円です。 ◇陶工のある一日

◆ 河村さんの一日(6月)
ある一日

◇生活サイクルと休日  河村さんの場合、朝から晩まで土と向き合う一日。毎週日曜日は休みですが、それ以外はひたすら土をこね、ろくろを回しています。
 職人の世界では、とにかく努力を怠らないことが求められます。河村さんは終業後も自主練習をして腕を磨いています。いま作っているのはティーポット。試作したものを上司に見せ、評価されれば仕事でティーポット作りを任されるのです。

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■ 仕事の味 ■陶工とは?■陶工になるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  使う人あっての陶器。お客さんに品物を買ってもらえたり、「使い勝手がよい」と褒められたりしたときの喜びは格別です。
 また、登り窯を使った窯焚きは、まきを使って24時間炎を守る、陶工たちの共同作業。熱い炎との格闘ですが、無事終わった後の打ち上げは解放感でいっぱい。お酒をくみ交わしながら成功を分かち合います。 ◇苦さ  河村さんが自主練習の時間に取り組んでいるティーポット作り。半年前から取り組み始めましたが、最初は失敗続き。フタと口が合わない、取っ手の位置がおかしい、きれいな形の本体が作れない、などたくさんの壁にぶつかりました。
 しかし、失敗を繰り返しながら、徐々にいいものを作れるようになってきた河村さん。お客さんへ自信を持って品物を出せるようになるまで、努力の日々です。

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NHK日本放送協会