あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.237 刑事

インタビュー
インタビュー
「“逮捕”までの長き道のり」 ドラマや映画でも大人気!
でも実際の姿をなかなか見ることができない「刑事」の仕事を紹介します。
香川県警・高松南警察署の冨士原隆道さん(25歳)は、刑事課・盗犯係に所属し、空き巣や店舗の盗難、車上荒らしなどの事件を担当する3年目の若手イケメン刑事。平穏そうに見える地域でも、1日に何件もの事件が起きています。110番が入るとすぐさま現場に急行!被害者を気遣いながら話を聞き、迅速に被害届の作成を手伝います。また、現場に残されたどんな些細な証拠にも目を光らせ、犯人特定の鍵を探します。
「99%無駄だとわかっていても、1%の可能性があればやるのが刑事の仕事」と語る冨士原さん。地道な聞き込みや張り込みを重ね、犯人逮捕に至るまでの刑事の日常に迫ります。

110番通報を受けたら、ただちに現場へ!
事件発生から逮捕、取調べまで、あらゆる場面にかかわります

■刑事とは? ■刑事になるには?■ 収入・待遇は? ■ 仕事の味

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◇刑事とは?  警察の組織は、交番に勤務する地域警察官や、交通指導の取締りを行う白バイ隊員など、さまざまな仕事に分かれています。なかでも事件発生から、逮捕・取調べまで、一貫して捜査にかかわるのが、「刑事」と呼ばれる人たちです。

 刑事の仕事は、基本的に法律(刑法)に基づいて行われます。法律に違反した人を取り締まり、犯した罪に対して償わせるよう手続きを請け負うのです。
 暴力、殺人、窃盗、詐欺…日常社会にはさまざまな犯罪が起こっています。事件が発生すると、いち早く現場に駆けつけ、被害者への「聞き取り」や「証拠収集」をします。被害者のほかにも、近所の住民や商店など、証拠を知っている可能性のあるあらゆる人に会い、話を聞きながら、犯行当時の状況や犯人像を「推理」します。ある程度証拠や証言が集まったら、仲間の刑事たちと「捜査会議」を開き、犯人像を特定します。

 綿密な捜査の末に、疑わしい人物を割り出したら、裁判所に逮捕状を請求し、認められたら「逮捕」。事件に関与があるかどうか、容疑者と一対一でじっくり話しながら真偽を確かめるのが「取り調べ」です。その後、供述をもとに「裏付け捜査」。全ての捜査の結果を書類にまとめて検察庁に送ります。
 その後は書類をもとに検察官が「起訴」か「不起訴」にするかを決めます。 ◇全国の状況・今の状況  全国にいる警察官の数は、約26万人。そのうち事件捜査に携わる、いわゆる「刑事」にあたる人は約44,400人います(平成21年4月1日現在)

 管内に16万人が住んでいる、香川県警高松南署には、35人の刑事が在籍。そのうち冨士原さんの所属する盗犯係では、9人の刑事が空き巣やひったくり事件の捜査にあたっています。南所管内では、平成21年の1年間に、1819件の事件が発生しましたが、そのうち1388件が盗みに関する事件でした。全国で一般的に、窃盗事件は、犯罪件数のおよそ8割をしめています。

 盗犯係のほかにも刑事課は、事件によってさまざまな係に分かれています。
  • 強行係(暴力・殺人事件などを主に担当)
  • 知能犯係(詐欺や選挙違反などを担当)
  • 組織犯罪対策係(暴力団や覚せい剤の取締りを担当)
  • 鑑識係(指紋や足跡、DNAなど科学的な捜査を担当)
◇どんな人が向いているの?  警察の使命は、一般市民の安全で平和な生活を守ることです。「人のための役に立ちたい」という思いが、仕事の原動力になります。
 また、体力も必要です。さまざまな事件現場にかけつけ、時には暴れる人を取り押さえる必要もあるからです。警察に入ると、柔道か剣道のどちらかを全員が習い、日々の体力づくりをしています。経験がなくても、警察学校で専門の教官に基礎から指導してもらうことが出来ます。

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■刑事になるには? ■刑事とは?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇どうすれば刑事に?  刑事になるには、都道府県警察の試験を受けて、警察学校に入ります。
 警察学校を卒業後、まずは地域の警察官として交番勤務からスタートします。
→【No.49 警察官】も参照)

 刑事を希望しても、全員がなれるとは限りません。将来的に刑事を希望する人はこのころから、通常勤務のほかに、休日や勤務終了後の時間を使って、地域の刑事課に顔を出し、先輩刑事の手伝いをしながら刑事の仕事を覚えていくなどの努力が必要になります。

やがてその仕事ぶりが認められれば、警察署の推薦をもらうことができます。推薦がもらえれば、刑事になるための書類審査と面接試験を受けることができ、合格すれば、2か月間の研修(刑事任用課程)を積んだのち、現場に配属されます。 ◇ステップアップの道すじ  毎日のように起こる事件、しかし同じものはありません。いろんな種類の事件にかかわり、経験を重ねていくことで、刑事のノウハウを積んでいくことが重要です。一人前になるまでには、何年もかかるといわれています。

 刑事になるとまず、班長と呼ばれる先輩刑事とペアを組み、捜査や取調べの補助をしながら少しずつ仕事を学びます。やがて班長になると、取調べを担当したり、後輩に指導していったりする役割も担うことになります。

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■ 収入・待遇は? ■刑事とは?■刑事になるには?■ 仕事の味

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◇収入 香川県警の場合 初任給(高卒) 159,885円
1年後     164,934円
ボーナス    477,394円
◇刑事のある一日

◆ 冨士原さんの一日(3月)
ある一日

◇生活サイクルと休日  始業は朝8時半、就業は午後5時15分ですが、定時に帰ることはあまりありません。複数の事件の捜査を同時並行で抱えることも多いため、仕事が深夜に及ぶこともしばしばあります。
 およそ1週間に1度ほどのペースで、当直勤務もあります。当直の日の朝8時半から、翌日の朝8時半まで、24時間の勤務です。(2時から7時まで仮眠時間)
 当直担当者は、事件が起こればどんな事件でも対応するように決められています。

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■ 仕事の味 ■刑事とは?■刑事になるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  被害者に、犯人逮捕の報告をした時、安心してもらえることが一番の喜びだと冨士原さんは言います。銀行帰りにひったくりに遭った老人に、容疑者を逮捕したことを伝えたとき、「これで安心して、銀行に行くことが出来る」と言われました。刑事になってよかったと心底思ったそうです。
◇苦さ  事件が立て込んでいるときは、48時間も眠れず、家に帰れないこともありました。
 現場の捜査で少しでもミスをすると、事件を解決するのが遅れたり、証拠を見つけられなくなったりする可能性があります。そんな事にならないように、1人のミスは、大勢の仲間がカバーすることになります。それでも冨士原さんは多忙な同僚たちに迷惑をかけてしまうことがあると申し訳ない気持ちになるそうです。

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NHK日本放送協会