あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.232 イルカトレーナー

インタビュー
インタビュー
「宙高く ジャンプ!」 利口で愛くるしい姿が大人気のイルカ。
そのイルカたちに技を教え、一緒にショーをつくりあげるエンターテイナーがイルカトレーナーです。
和歌山県白浜町にある動物公園で働く鹿島詩乃さん(22)はトレーナー歴2年目の新人。華やかに見えるのは表の顔、裏側では、大量のエサ作り、巨大水槽の掃除に加えて、イルカたちの「命」を守るための健康管理が欠かせません。
人と通じ合っているように見えるイルカですが、実は信頼関係を築くには、愛情を注ぐのはもちろん「時間をかけた付き合い」「観察力」が重要な鍵を握っています。
ときにイルカに舐められてしまうのが悩みの鹿島さん、イルカと心を通わせ、ともに宙を舞う大技を成功させることができるのか、その奮闘ぶりを紹介します。

好みや予算に応じて、ピッタリのテレビ、おススメします。“夢はイルカと相思相愛。目指せ!水中のエンターテイナー!

■イルカトレーナーとは? ■イルカトレーナーになるには?■ 収入・待遇は? ■ 仕事の味

-----

◇イルカトレーナーとは?  水族館などのイルカショーに出演するイルカに、ジャンプや輪くぐりなどの演技訓練を行うのがイルカトレーナーです。お客さんに喜んでもらうショーのプログラムを考えたり、イルカと意思疎通を図りながら、水中で華麗なパフォーマンスを繰り広げ、ショーを作りあげていく仕事です。

 愛らしいイルカと過ごせるということで人気のある仕事ですが、華やかな面だけでなく、エサ作りやプールの清掃、水質管理なども仕事に含まれます。また命を預かる責任の重い仕事でもあり、毎日の健康管理はもちろん、イルカの微妙な変化やサインを見逃さないなど常に気を配らなければなりません。

 イルカとの関係を築くのもトレーナーにとっては重要な仕事。実はイルカは、従順なイヌよりも勝手気ままなネコに近い動物。人を見て、付き合いが浅かったり、“この人のココが嫌だ”と思うと、云うこと聞かなかったり、手を抜いたりすることもしばしばあります。時間をかけ触れあうことで、お互いを理解しあう関係を築く、心と心の会話が必要な繊細な仕事でもあります。 ◇全国の状況・今の状況  全国にある動物園は90、水族館は67ヶ所(2010年3月時点で日本動物園水族館協会に加盟している数)。その中でイルカショーを行っている施設は、およそ30カ所といわれています。
 近年は、少子化などで入園者が減るなか、イルカショーに工夫を凝らすなど、個性を打ちだそうとトレーナーたちはサービスの向上に努めています。

 イルカとふれあうイベントやウォッチングツアーも人気で、イルカの生態を楽しく解説する知識や話術、お客様をわくわくさせるエンターテインメント能力、自然保護を理解してもらうための専門知識もトレーナーに求められています。 ◇どんな人が向いているの?  イルカだけにとどまらず「動物好き」であることはいうまでもありません。さらにイルカトレーナーには、ショーを演じ、お客さんを惹きつけるエンターテイナーとしての素質も必要です。

 また、イルカの気持ちをよみながら調教するときや健康管理などで重要となる観察力、毎日数回のエサ作りやプール掃除など裏方仕事には、体力と根気も求められます。
 トレーナーが水中で演技をする場合は、遊泳力や潜水力も要求されます。

□↑トップへ戻る□

■イルカトレーナーになるには? ■イルカトレーナーとは?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

-----

◇どうすればイルカトレーナーに?  イルカトレーナーになるための特別な資格はありません。
 高校卒業後は、海洋ほ乳類の生態に関する知識を学べる専門学校や施設、生物・水産・畜産・海洋学などを学ぶ大学に進学するのが一般的です。
 職場でいかせる免許や資格としては、獣医師・潜水士・学芸員などがあります。

 イルカトレーナーに限った募集は少なく、一般的には水族館飼育員として採用されるケースが多いようです。募集時期も退職などによる欠員や新しい施設が出来るときなど不定期です。雇用形態も正職員から期限付きアルバイトまで、施設によってさまざまです。全国のどこで募集が行われるか、常にアンテナを広げ、情報を集める必要があります。 ◇ステップアップの道すじ  水族館のスタッフとして採用後、すぐにイルカを担当できる場合もありますが、他の動物の担当を何年か担当した後にようやくイルカを担当できる場合もあります。鹿島さんは、4ヶ月間パンダの飼育を担当し、その後アシカショー担当を半年経験しました。

 鹿島さんが勤める施設では、イルカ担当に配属されると、まずベテランのメイントレーナーの補助につき、イルカの扱い方・笛のふくタイミング・サインを出すタイミングを見て学びます。イルカとの信頼関係を築くには時間がかかるため、まずは一頭一頭の性格を把握することからはじめ、コミュニケーションを図りイルカとの距離を縮めていきます。

 ショーでは、まずは輪投げなど水に入らない技を担当。閉園後などの時間を利用して水中でイルカと演技する“水芸”と呼ばれる技を練習します。先輩トレーナーからのOKが出れば、晴れて水芸デビューとなります。
 野生のイルカをゼロから調教し、技を覚えさせてはじめて一人前のトレーナーといわれる世界。一人前になるには5年はかかるといいます。
 鹿島さんが勤める施設での、現役イルカトレーナーの最高齢は41歳。引退後は管理職などに就くことが多いそうです。

□↑トップへ戻る□

■ 収入・待遇は? ■イルカトレーナーとは?■イルカトレーナーになるには?■ 仕事の味

-----

◇収入のめやす  施設や雇用形態によって異なります。鹿島さんが勤め施設での初任給はおよそ17万円です。 ◇イルカトレーナーのある一日

◆ 鹿島さんの一日(2月・休日)
ある一日

◇生活サイクルと休日  閑散期の冬は、月に9日ほど休日が取れます。
 夏は夜にもショーがあるため非常に多忙、休日も少なくなります。

□↑トップへ戻る□

■ 仕事の味 ■イルカトレーナーとは?■イルカトレーナーになるには?■ 収入・待遇は?

-----

◇おいしさ  イルカが“遊ぼう”と自分に興味をしめしてくれた瞬間や、そのイルカたちと一つの演技に挑戦し、初めてできたときに心と心が触れたという生き物相手ならではの達成感を得られます。

 またお客さんがイルカの動きに目や心を奪われている姿を見るのは、とてもうれしいこと。お客さんからの「ありがとう」「楽しかった」という言葉が励みになり、努力やがんばりに繋がっていくと鹿島さんは話していました。 ◇苦さ  仕事を始めて鹿島さんが一番感じたギャップは、イルカが思ったよりいうことを聞いてくれない”ということでした。サインを出せばイルカは動いてくれると思っていたけど、やる気がないときや舐められて手抜きされることはしばしば。“他のトレーナーのいうことはきくのに、なんで私のときはしてくれないの!”と悔しい思いをしたこともたくさんあったそうです。
 今は、少しでも距離を縮めていけるように、空いた時間に会いに行ってスキンシップをとるなど、できるだけコミュニケーションをとり、自分を知ってもらおうと努力しています。

 また時には、担当するイルカの死も経験することになります。生き物の命を預かる仕事の重みを感じる瞬間でもあり、死亡の原因はなにか、客観的に調べる冷静さも必要になります。

□↑トップへ戻る□

NHK日本放送協会