あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.213 エコツアーガイド

インタビュー
インタビュー
「体感して!大自然の魅力」 手つかずの自然を楽しんでもらいながら、
それを守ることの大切さも伝えていく「エコツアー」。

地域資源を活かした新たな観光として、いま実施する会社が全国的に増えています。
今回の主人公は、沖縄本島北部でこの春からガイドになった上谷真理奈さん(23)。天然記念物のヤンバルクイナが生息する「やんばるの森」や広大なマングローブが広がるこの地域は、毎年たくさんの家族連れが訪れています。しかし観光客の増加に伴い、環境への影響が懸念されるようになり、新たなツアーを開拓する必要が出てきました。
この夏、上谷さんは新たなツアープログラムとして「シュノーケリング」を企画し、自ら調査を開始。果たして、お客の満足感と安全、そして環境の保全を両立するコースを作ることができるのでしょうか?
日々悩みながらエコツアーのあり方を模索する上谷さんの姿を紹介します。

あなたも私も大自然の一員その魅力 たくさんの人に伝えたい!

■エコツアーガイドとは? ■エコツアーガイドになるには?■ 収入・待遇は? ■ 仕事の味

-----

◇エコツアーガイドとは?  大自然の中にお客さんを案内する「エコツアーガイド」。
 その仕事には、さまざまな役割があります。生き物や植物に対する適切な知識でお客さんにその魅力を伝えること。お客さんに、楽しんでもらいながら自然を守っていくことの大切さに気づいてもらうこと。
 そして、自然保護と観光振興をどう共存していくかを考える地域のリーダーとなることも大事な役割です。 ◇全国の状況・今の状況  「エコツアー」という考え方が日本で広まってきたのはこの10年ほどです。そのため、「エコツアー」であるための明確な定義や、ガイドを行うために必要な資格はありません。
 日本エコツーリズム協会によれば、全国で現在24の地域でエコツーリズムを推進する団体があり、地域の自然を守るためのルール作りなどが行われています。先進的な地域としては沖縄や北海道、それに小笠原諸島などです。

 2008年に、環境省によって「エコツーリズム推進法」が制定・施行されました。国も新たな観光の形として注目しています。エコツアーの拡大に向けて、これから各地の取り組みをサポートしていくことになっています。 ◇どんな人が向いているの?  地元の人しかエコツアーガイドになれない?そんなことはありません。沖縄のエコツアー会社でも、千葉県出身の上谷さんのようなガイドがいます。
 上谷さんの会社の社長、島袋さんは「ガイドに一番大切なのはもてなす心」と話します。毎日、次から次へ来るお客さんと長時間を共にする職業です。疲れているときも笑顔は絶やせないため、「人に楽しんでもらうのが好き」という人が向いているのかもしれません。

□↑トップへ戻る□

■エコツアーガイドになるには? ■エコツアーガイドとは?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

-----

◇どうすればエコツアーガイドに?  エコツアーガイドになるための資格はありません。大学によっては、自然環境やエコツーリズムについて教える学科があります。その他、環境省や各地のエコツーリズム推進団体が開催している研修や講座に参加して、自然への知識やガイドの仕方を覚える人も多いようです。
 上谷さんの場合は、大学の授業を通じていまの会社にインターンシップ(職場体験)に来ました。その後、半年間のアルバイトを通じて社長に認められ、入社することになりました。
 上谷さんの様に、会社やNPOを直接訪ねて就職するほか、個人でガイドを行う選択肢もあります。 ◇ステップアップの道すじ  上谷さんの場合、入社後の3ヶ月は先輩ガイドに同行して、自然の知識やお客さんへの説明の仕方を学びました。ガイドの仕方は人それぞれです。一番大事なことは、お客さんが何を求め、どうすれば喜んで帰ってくれるかをしっかりと見極めることです。上谷さんは、子どもが多いときはクイズを出しながらツアーを進めたり、ビーチで拾った貝殻でペンダントを作ってあげたり工夫を凝らしていました。

 ツアーは1種類とは限りません。海の知識と山の知識、そして海と山がどうつながっているのか、自然の全体像を解説する知識も必要になってきます。上谷さんの場合は、山の知識はまだまだ未熟です。これから1年以上かけて、山のガイドが出来るように勉強していく予定です。

 新しいツアーを開拓することも大切です。地域の自然を把握し、お客さんの希望や動向、安全性、コストなどを総合的に考える必要があります。
 また、エコツアーガイドは、地域の自然をどう守っていくのかを考えるリーダーでもあります。複数の会社がガイドを行う上でのルール作りを行ったり、場合によっては、保全のために観光客の受け入れ人数の制限を決めることもあります。

□↑トップへ戻る□

■ 収入・待遇は? ■エコツアーガイドとは?■エコツアーガイドになるには?■ 仕事の味

-----

◇収入のめやす  エコツアーを行う団体には、主に会社とNPOがあります。NPOの場合は、自治体の補助金や企業の助成金を得ながら運営します。
 上谷さんの会社は有限会社。初任給は15万円です。その他、年に3回のボーナスがあります。 ◇エコツアーガイドのある一日

上谷さんの一日(8月20日 大潮)
ある一日

◇生活サイクルと休日  季節や天候、お客さんの数などによって仕事のスケジュールは変わってきます。上谷さんが行うカヌーでのマングローブ観察は、川の水位が上がる満潮の時だけ可能です。そのため、早朝と夕方の2回満潮になる大潮の時期は、まだ陽がのぼらないうちに出勤をし、夜遅くまで仕事をすることもしばしばです。
 休みの日数はシーズンによって異なります。観光客の多い夏休みや土日などはなかなか休みをとれません。通常は、月に6〜8日の休みがあるそうです。

□↑トップへ戻る□

■ 仕事の味 ■エコツアーガイドとは?■エコツアーガイドになるには?■ 収入・待遇は?

-----

◇おいしさ  一番うれしいのはやはり、お客さんが笑顔で帰って行くこと。また上谷さんの会社のHPには、お客さんが感想を書き込める掲示板があります。この数ヶ月で、上谷さんへのメッセージが急増中!ツアーが終った後、メッセージに返信する時間が楽しみだといいます。

 小さい頃から自然が大好きだった上谷さんは、365日、自然とふれあいながら生活ができるこの仕事に就けて幸せだと語ってくれました。今は、小さい子どもたちが少しでも自然に興味を持って欲しいと考えながら仕事をしています。 ◇苦さ  旅行客の多い夏休みは、次から次へとお客さんが訪れます。基本的にツアーは予約制ですが、飛び込みのお客さんにも対応することもあります。
 夏の沖縄は連日30度超。ツアーはほとんどが炎天下のため、体力的にはかなり辛い仕事です。帰宅後、ご飯も食べずに寝てしまうこともあるといいます。

□↑トップへ戻る□

NHK日本放送協会