あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.205 臨床検査技師

インタビュー
インタビュー
「体の声を聴け」 病院で、検査を専門に行う臨床検査技師が今回の仕事。
世間を騒がせている新型インフルエンザの遺伝子検査を、医師と手分けして行っているのもこの人達です。
遺伝子、血液、尿、肺、神経・・・臨床検査技師が検査する分野は多岐にわたる中で、主人公、高知大学医学部付属病院勤務の平川 大悟さん(29)は、心臓の動きを検査する心臓エコーの技術を磨こうと日々、患者と向き合っています。
子どもの頃は、その大きな体を生かして、相撲取りになるのが夢だった平川さん。大怪我でその道を閉ざされ、臨床検査技師を目指すも、国家試験に3年連続失敗。やっとつかんだ技師の仕事ですが、医療現場の仕事は思った以上に厳しく、自身の無力さを思い知らされる毎日。患者の診療を陰で支える一人の若者の姿から、医療に携わる仕事のやり甲斐を伝えます。

患者にとって最適な医療を行えるかどうかは、検査結果の精度にかかっている。見逃すな、患者の体からのメッセージ。

■臨床検査技師とは? ■臨床検査技師になるには?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇臨床検査技師とは?  その名の通り、病院や保健所で、検査を専門で行う職業です。尿検査、血液検査など多くの人が一度は経験したことがある身近な検査から、「細胞診」、「心臓エコー」などちょっと聞き慣れない検査まで、医療に関係するさまざまな検査を行います。
 医師でも検査は行うことができるのですが、医療機器の高度化と医師不足が進む現代の医療において、医師は診療・治療に専念し、検査は、臨床検査技師が行う。餅は餅屋という考え方がスタンダードになっています。 ◇全国の状況・今の状況  医療業界の中でも特に技術や機械の発達が著しいのが検査の分野です。次から次へと新型機械が登場し、単純作業は、ほとんど機械がやってしまう時代。
 これから臨床検査技師に求められるのは、検査で得られたデータや画像をただ医師に返すだけでなく、そこから病気の兆候や体の異変を読み取り、医師に対して、別の検査を行うことを提言する力。医師と、医療について議論出来る能力だといいます。 ◇どんな人が向いているの?  臨床検査技師といっても、仕事の内容は多岐に渡るため、色々な資質を持った人が求められているようです。
 今回の主人公のように、患者さんに直接検査器具をとりつけて行う検査を専門とする場合、患者にとって辛い検査をうまくコミュニケーションをとりながら円滑にすすめる能力が必要です。人と直に関わる仕事をしたい人に向いているのではないかと思います。

 一方、血液や細菌、細胞など(=検体)を検査する部門では、基本的に患者さんと接する場面は多くありません。顕微鏡を通じて、一日中検体と向き合いながら、病気の原因や患者の状態を知る手がかりを探ります。「小さい頃は、理科の実験が好きだった。」という方も多くおり、研究者肌の人に向いているかもしれません。

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■臨床検査技師になるには? ■臨床検査技師とは?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇どうすれば臨床検査技師に?  臨床検査技師国家試験に合格しなければなりません。
 受験資格を得るには、
  1. 専門学科あるいは専攻課程のある4年生大学に入る
  2. 専門学科のある三年生の短期大学に入る
  3. 三年制の専修学校に入る。
以上のいずれかで専門的な教育を受けることが必要です。 平成19年度国家試験合格者数 3,004人
平成19年度国家試験合格率  74.7%
(臨床工学技士84.9% 診療放射線技師76.5%より若干低いようです。) ◇ステップアップの道すじ (平川さんの勤める高知大学医学部附属病院の場合)
  1. 血液検査、尿検査、心電図検査、肺機能検査など一通りの基本検査を学ぶ。大きな病院では当直なども行いながら病院のシステムを理解する。

  2. 多岐にわたる検査分野の中で、どの分野の専門性を高めたいか、決める。

  3. すすみたい分野の実務経験を積みながら、診療時間後には勉強を重ね、「超音波検査士」「細胞検査士」「輸血検査技師」などの資格取得を目指す。

  4. 次々と導入される新型機器の使い方を覚える。病院の中のどんな機械も使いこなせないとダメ。

  5. 検査結果を基に学会発表なども行う。現場で得られた情報を医療界全体に還元していくのも重要な任務です。

  6. 後輩の指導や大学から来る実習生の指導も行う。

  7. 経験を積んでくると、医師でも気付かないような異常に気付くケースがでてきます。些細な事でも積極的に医師に相談、場合によっては別の検査を行うことを提案できると、医師からも頼りにされるようになります。

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■ 収入・待遇は? ■臨床検査技師とは?■臨床検査技師になるには?■ 仕事の味

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◇収入のめやす  20~24才の臨床検査技師平均給与 230,970円(うち時間外24,841円) ◇臨床検査技師のある一日

平川さんの、ある一日
ある一日

◇生活サイクルと休日
 高知大学医学部附属病院検査部の場合、基本的に、土日が休み。月に、1〜2回当直勤務があります。

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■ 仕事の味 ■臨床検査技師とは?■臨床検査技師になるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ
1.医療のトップバッターとしての責任とやりがい。
 検査を行う臨床検査技師は、医師より先に患者の状態を知るポジションにあります。
 患者の診療は、技師の検査から。まさに、医療のトップバッターです。それだけに、患者の診療全体を左右する可能性がある責任の大きい職業です。

2.専門分野においては、医師の知識を凌ぐ
 検査技術が高度化する中、臨床検査技師は、専門性を磨いていくと、特定の分野では医師より経験値が高くなりえます。
 腹部エコー画像でわずか5mmの癌を発見する技術・心電図のわずかな乱れから心筋梗塞の予兆を察する技術などを身につければ、医師からも頼りになる存在になり、患者の医療に大きく貢献している実感がもてるといいます。 ◇苦さ
 病院につきものの、当直勤務。臨床検査技師の世界でもこれがなかなかヘビーです。
 平川さんが当直の際に行うのは、PSG(睡眠時無呼吸症候群)患者の徹夜検査。夜8時頃から翌朝まで、検査室で眠るPSG患者の睡眠時脳波を、検査室の外に設置されたモニターで監視し続けるというもの。10時間以上、睡魔と戦いながら、脳波グラフと睨めっこ。いつ呼吸が止まるかわからないので気が抜けません。

 また、夜中に患者がトイレに行きたいと言えば、電極が外れないように、トイレの入り口までエスコートしなければなりません。
 まだまだ若い平川さんでも、翌日は何もできないほどの疲労がたまるそうです。

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NHK日本放送協会