あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.161 建築士

インタビュー
インタビュー
「デザインします!幸せな家」 ビルや住宅など、建物を設計するのが建築士。
今回の主人公は、都内の建築設計事務所で主に住宅の設計をする岡本美穂さん(28)。二級建築士の資格を持っています。
建築士は依頼主の要望や普段の暮らしぶりなどを聞いて設計します。日当たりなどの環境条件のほか、予算や法律の制限なども考えあわせ、何度も設計図を描いてプランを練り上げます。
今回、岡本さんが設計を依頼されたのは、夫婦と子どもの家族4人が暮らす家。ところが現地調査を進めていくと、敷地のほぼ中央に井戸があることがわかりました。
井戸を埋めるべきか、残すべきか・・・悩んだ末、岡本さんの出した結論は、なんと井戸を生かし、住宅のデザインに取り入れるというもの。はたして、どんな家の設計を依頼主に提案するのでしょう?そして、それは気に入ってもらえるのでしょうか?

あなたのライフスタイルにぴったりの、世界に1つの「理想の住まい」をつくります!

■建築士とは? ■建築士になるには?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

-----

◇建築士とは?  お客さんの依頼を受けて住宅やビルなど建築物を設計する仕事で、国家資格が必要です。図面を引くだけでなく、図面通りに工事が行われているかどうか確認するのも仕事のうちです。
 建築設計事務所で住宅の設計をする建築士の場合、仕事の流れは、たとえば以下のようになります。

依頼を受ける

お客さんからの依頼を受け、予算や間取りなどの要望やライフスタイルなどを聞き出します。

現地調査

建築予定地を調査し、日照、道路の交通量、周辺の環境や景観などを確かめます。さらに、その地域の法律上の制限も調べます。

基本設計(2ヶ月程度)

どんなイメージの建物にするかを考え、建物の形や部屋の配置などを図面にしていきます。使い勝手、デザイン性、日照や風通し、予算などを考えあわせて、ベストなプランを練り上げていきます。岡本さんのいる事務所では手書きで図面を引きますが、最近はパソコン(CAD)で設計するところも多くなっています。

実施設計(2〜3ヶ月)

基本設計案に依頼主のOKが出たら実施設計に入ります。地震などでも倒れないようにしっかりと構造の設計をし、さらにガスや水道の配管、壁や床の材質、照明器具やカーテンなど細かい部分まで依頼主と相談しながら決めていきます。

建築確認

設計した建物が法律(建築基準法)に適合していることを確認します。

工事監理(半年程度)

予算を見ながら工事業者(工務店や建設会社)を決め、工事が始まります。建築士は週1回程度、建築現場に行って図面通りに工事が行われているかどうかを確認します(これを工事監理といいます)。よい建築ができるように現場監督や職人さんなどとやりとりを重ね、問題があれば設計を変更することもあります。

引き渡し

依頼からほぼ1年で、完成した建物を依頼主に引き渡します。依頼主の思いや要望を受け止めて、さまざまなプロの人たちの手を借りながら、実際のカタチにするまで関わり続ける、オーケストラの指揮者のような役割ともいえるでしょう。
◇全国の状況・今の状況  全国で働く建築士には一級建築士、二級建築士、木造建築士があります。これらの資格を持つ人は全国でおよそ100万人もいます。その中には建築設計事務所で働く人もいますし、建設会社(ゼネコン)や住宅メーカーの社員として設計をする人、伝統的な木造建築を手がける大工や棟梁、それに建物の構造や電気など設備の設計を専門にしている人などもいます。

 戸建て住宅は、日本では以前は工務店が建てる木造住宅や、住宅メーカーによる建て売り住宅などが一般的でしたが、最近では自分のライフスタイルに合った住宅を求めて建築設計事務所に依頼する人が増えています。また美術館などの公共建築や大きなビルなどは、おもに建設会社や建築設計事務所が手がけています。
 景気がよい時にはたくさんの建物の建設が計画されるなど、建築の世界はどうしても経済に左右されます。 ◇ どんな人が向いているの?  建築士は、構造物を設計するという理工系的な側面とともに、デザインのセンスも必要です(そのため大学の工学部だけでなく、芸術大学にも建築学科があります)。また、ざん新なデザインを考える創造性だけでなく、ドアの取っ手や壁紙など細かい部分もおろそかにしない緻密さ、さらには依頼主や職人さんなどともやりとりするコミュニケーション力も大切です。そういう意味では、とても総合的で複雑な仕事です。

 しかし何より大切なのは、建築やモノ作りが好きであることや、人間の暮らしの営みへの興味関心でしょう。子どもの頃に砂浜でお城を造るのが好きだった人、理想の家を考えるのが楽しいという人、旅先などでも建築物や民家が気になる人、そして「使う人に喜んでもらえる良い建築とは何だろう」という思いを持ち続けられる人が向いているといえるでしょう。

□↑トップへ戻る□

■建築士になるには? ■建築士とは?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

-----

◇ どうすれば建築士に?  建築士の国家試験は、学歴や実務経験などの受験資格が細かく決められています。
 たとえば二級建築士の試験を受けるには、大学・短大・高専の建築学科を卒業するか、7年以上実務経験を積むなどすることが必要です。
 「資格を取る前にどうやって経験を積むの?」と思うかもしれませんが、たとえば大工として働いたり、建築設計事務所や工務店で設計補助の仕事したりすることなどが実務経験とされます。
 平成19年の二級建築士試験の合格率は19.7%、一級建築士試験は8.0%でした。 ◇ ステップアップの道すじ  二級建築士や木造建築士は設計できる建築物の規模などに制限がありますが、一級建築士の資格を取ればどんな建築物も設計することができます。

 自分の設計事務所をかまえてアーティストのように建築作品を手がける人は「建築家」と呼ばれます。安藤忠雄や磯崎新、隈研吾など日本の建築家は近年とくに世界的に評価が高く、海外での大きなプロジェクトでも活躍しています。そうした「建築家」をめざす人たちは大学や大学院で専門的に建築学を学び、有名建築家の設計事務所などで修行を積んだ後、独立して自分の設計事務所を開くのが一般的です。

 依頼に応じて設計するだけでなく、時には公共建築などの設計案の公募(コンペ)に参加して腕をみがいたりもします。しかし、だれからも認められるような建築家になるのは容易ではありません。

□↑トップへ戻る□

■ 収入・待遇は? ■建築士とは?■建築士になるには?■ 仕事の味

-----

◇収入のめやす  大手の建設会社や住宅メーカー、建築設計事務所など就職先によって収入は大きく異なります。 ◇建築士のある一日

岡本さんの一日
ある一日

◇生活サイクルと休日  岡本さんの場合、基本的に土日と祝日が休みですが、忙しい時には休日出勤もあります。常に3〜4件の仕事をかかえており、それぞれ基本設計や実施設計、工事監理などが平行して進んでいるため、なかなかまとまった休みがとれません。
 休みの日には好きな絵を描いたり、ときには話題の建築を見に地方に足を伸ばしたりもします。

□↑トップへ戻る□

■ 仕事の味 ■建築士とは?■建築士になるには?■ 収入・待遇は?

-----

◇おいしさ  依頼主と対話しながら建築物をデザインするのは、クリエイティブで楽しい仕事です。特に、頭の中でイメージしていた建物が、多くの人の手を経て実際に現実のものになり、依頼主に喜んでもらえるのは何よりもうれしいこと。
 また、独立して自分で設計事務所を開き、人々に愛され続けるような歴史に残る建築物を造れる(かもしれない)のも、建築士ならではの醍醐味です。 ◇苦さ  夢のある仕事ですが、仕事のやりがいと待遇や安定性などを両立させるのがなかなか難しいのも事実です。最近、耐震強度の偽装問題で建築確認の手続きが厳格化され、建築士の作業量がさらに増えて仕事がきつくなっているという声もあります。
 また、依頼があっての仕事ですし、予算など厳しい条件の中で設計するので、いつも思うような仕事ができるとも限りません。

 岡本さんは、仕事にはやりがいを感じているものの、仕事に追われてしまって充電する時間がないのが悩みだそうです。それと、作り手としてそろそろ自分なりのデザインの独自性を打ち出していきたいものの、なかなかその方向性が見いだせないという課題も抱えています。
 仕事を始めた頃は計算ミスで材木を無駄にしてしまったこともあり、自分の引く一本の線の重みを痛感するといいます。

□↑トップへ戻る□

NHK日本放送協会