あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.153 弁護士

インタビュー
インタビュー
「いつでも依頼人のために」 離婚問題、遺産相続、交通事故…。
依頼人の利益や権利を守るために活躍する法律のプロフェッショナル、弁護士。

人々の生活の中で起こるさまざまなトラブルを、時には当事者の間を仲介し、時には法廷で争って、丸く収める「ザ・解決人」です。
愛媛県松山市の法律事務所で働くキャリア2年目の新米弁護士、岡林義幸さんが今回の主人公。岡林さんの一日は、事務所での法律相談から始まります。相談者からの情報を的確に聞き取って整理し、法律と照らし合わせて、解決への道すじを示していきます。
「一人で悩み続けてきた依頼人に、安心して眠れる日々を取り戻してあげたい」。依頼人のために奔走する岡林さんに密着します。

的確な法律アドバイスで、依頼人の悩みを解決。元気を取り戻した依頼人の笑顔を見るのが、一番の生きがい。

■弁護士とは? ■弁護士になるには?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇弁護士とは?  ひとことで言うと、依頼人の利益や権利を守る、法律問題のプロフェッショナル。
 弁護士法の条文中には、弁護士の使命とは「基本的人権を擁護し、社会正義を実現すること」と記載されています。

 その仕事は多岐に渡っています。刑事事件では、被告人の弁護人として。民事事件では、原告や被告の代理人として。少年事件では、付添人として、依頼人を全力でサポートします。また、法廷で主張や立証を行うだけでなく、司法書士や行政書士の仕事(登記など)のほか、人権擁護活動などにも積極的に関わっています。
 弁護士が扱う主な業務は次のとおりです。

★訴訟事件 … 民事訴訟・刑事訴訟・行政訴訟など、通常の裁判。
★非訟事件 … 民事の法律関係に関する事項について、裁判所が通常の訴訟手続によらず簡易な手続で処理し、公権的な判断をする事件のこと。借地非訟、商事非訟などがあります。
★行政上の不服申立事件 … 行政が行った行為や処分に対して不服がある場合に、審査請求・異議申し立て・再審査請求などを行う手続きのこと。
★調停事件・示談交渉事件… 示談交渉とは、当事者間の話し合いで和解を目指すこと。調停は、裁判所で調停委員などを介して行う話し合いのこと。どちらにも弁護士が間に入ることで、スムーズな解決をめざします。

 このように弁護士は、社会生活において不具合が起きて困っている人に対して、法律的に適切な対処方法や解決策をアドバイスし、元の健康な状態に戻そうとするわけですから、お医者さんと一緒ですよね。弁護士は別名「社会生活上の医師」とも呼ばれているんです。 ◇全国の状況・今の状況  弁護士の数は、全国で2万5,114人(平成20年2月1日現在)。法曹人口を増やそうという国の考えのもと徐々に増加しており、平成30年には現在の倍の5万人に増えると予想されています。

 平成18年度からは新司法試験が始まり、法科大学院を修了した人に、司法試験の受験資格が与えられることになりました(旧司法試験も平成23年まで併行実施)。これにより、司法試験自体の合格率は大幅に上がっています。しかし、弁護士就職難の時代が来るとも言われ、弁護士にはより高い専門性を身に付けることが求められています。 ◇ どんな人が向いているの?  弁護士の仕事は、情熱だけでは務まりません。弁護士のアドバイスは、依頼者にとっては人生を左右しかねない重みがあり、思いつきで相談に答えることは許されないからです。膨大な法律の知識と経験、そして根気が要求される仕事です。

 意外なことに、弁護士の仕事の大半が、裁判の訴状などの書類作りなど、地道な作業に費やされます。岡林さんも「映画やドラマに出てくるような、華やかな世界を想像していたけど、意外に地味な仕事でした」とポツリ。作る書類の量があまりに膨大なので、以前はパソコンのキーボード入力が苦手だった岡林さんも、今では手元を見ずに高速で打てるほどになりました。こうした地道な作業の積み重ねに耐えられる「根気強さ」が、法廷での勝利につながるのです。

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■弁護士になるには? ■弁護士とは?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇ どうすれば弁護士に?  弁護士になるには、まずは司法試験に合格しなければなりません。司法試験には現在、新司法試験と旧司法試験とがありますが、ここでは新司法試験を例に取って説明します。

 新司法試験を受けるためには、法科大学院(ロースクール)を修了する必要があります。法科大学院とは「法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナル・スクール」で、修業期間は2年(法学既修者コース)と3年(法学未修者コース)の2通りがあります。
 この法科大学院で専門知識を学び修了した後、いざ司法試験に挑戦!というわけです。

 そして司法試験に合格すると、1年あまりの「司法修習」という研修生活に入ります。
 この間に、裁判所や法律事務所などで実務を学び、「裁判官」「検察官」「弁護士」の3つから、進みたい道を決めるのです。

 さらに、司法修習には卒業試験があり、これをパスしないと、弁護士資格を取得することができません。弁護士になるためには、試験、試験、試験…の連続です。だからこそ、初めて弁護士バッジを胸に着けたときの感激は、一生ものなんだそうです。 ◇ ステップアップの道すじ  さまざまな分野での経験を積んだ後、独立して事務所を開業するケースが一般的です。
 裁判官や検察官は「国家公務員」のため定年退職がありますが、弁護士の場合は、定年が決められていないため、気力と体力がある限りは続けられる仕事です。ですから、裁判官や検察官が、定年後に弁護士になるケースも多く見られます。

 また、経験を積んだ弁護士が裁判官となる「弁護士任官」という制度もあり、弁護士から裁判官への道も開けています。

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■ 収入・待遇は? ■弁護士とは?■弁護士になるには?■ 仕事の味

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◇収入のめやす  初任給のめやすは年収600万円と言われていますが、司法制度改革によって弁護士が増加するのに伴い、この数値は下がっていくと見られています。
 収入は所属する事務所によって大きく異なります。

 岡林さんのように、市民を対象とした事務所で働いている弁護士は、通称「町弁」と呼ばれています。弁護士の収入内訳で主なものが、依頼人から支払われる「弁護士報酬」です。この弁護士報酬は、地域によっても、事件によっても異なるので、事務所の専門分野や、取り扱う事件数などによって、弁護士の収入も当然変わってきます。弁護士過疎地域などでは、新米弁護士でも複数の事件を抱えることも多いため、高収入が見込めると言われています。

 また、弁護士の中でも特に収入が高いと言われているのが、「渉外弁護士」です。大企業や外資系の企業を相手に、企業の中で起きた諸問題を解決する業務に当たる人を指します。そのため渉外弁護士は「法廷に立たない弁護士」とも言われています。渉外弁護士は高収入が期待でき、大手企業が相手であれば初任給は1000万円を超えるとも言われています。 ◇弁護士のある一日

岡林さんの一日(1月)
ある一日

◇生活サイクルと休日  依頼人の悩みを一手に引き受ける、弁護士の仕事。当然、ストレスは溜まります。
 そこで岡林さんが心がけているのは、オンとオフの切り替えをしっかりとすること。
 週末には同期の弁護士の家で飲み会を開いたり、連休には旅行に出かけたり、事務所のボス・薦田弁護士とテニスをしたりと、常にリフレッシュを心がけています。この気持ちの切り替えがあるからこそ、いい仕事ができるんだそうです。

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■ 仕事の味 ■弁護士とは?■弁護士になるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  昔から、人と接するのが好きだったという岡林さん。弁護士の仕事は、依頼人と直接ふれあい、悩みも喜びも共有できる、いわば人情の世界。無事に事件が解決し、依頼人の笑顔を見るときが、一番のやりがいを感じるときだそうです。
 そんな岡林さん、過去に担当した依頼人から届いた年賀状やお礼の手紙を、大切にファイルしていました。 ◇苦さ  岡林さんは現在、40件もの案件を抱えています。すべて同時進行で処理していかねばならず、同じ日に裁判が2つ入ることもあります。裁判の前には、書類作りをしたり戦略を立てたりするため、徹夜になることも。
 それだけ周到に準備して挑んだ裁判でも、力及ばず負けてしまうこともあり、依頼人の役に立てなかったときが一番つらいそうです。岡林さん、そんな日は、ビールを飲んでその苦さを味わうそうです…。

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NHK日本放送協会