あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.136  農業サラリーマン

インタビュー
インタビュー
「ハッピー マイ ライフ」 農作物の生産から販売までを担う会社「農業生産法人」。
今回紹介するのは、そこで働く「農業サラリーマン」。新潟県妙高市(みょうこうし)に住む前田裕太(まえだゆうた)さん(22)です。
裕太さんは、市内の農業生産法人に去年就職。有機栽培米やねぎの生産を担当しています。夏場は米作りにとって正念場。雑草や病害虫、日照りなど様々なトラブルが田んぼを襲います。
番組では、田んぼを守ろうと奮闘する裕太さんに密着します。また今回、裕太さんは米を売り込む営業にも初挑戦します。
「何事にも中途半端だった自分が、農業をする中で変わっていった」と話す裕太さん。同世代の仲間達に支えられながら成長する裕太さんの夏を見つめました。

手をかけた分だけ 伸びる稲 ささやかだけど日々実感できる成長。

■農業サラリーマンとは? ■農業サラリーマンになるには?
■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇農業サラリーマンが働く「農業生産法人」とは?  ひとことで言えば、「農業生産法人」は農作物を扱う会社。これまで日本の農業を担ってきたのは、小規模に生産を行う「個人農家」でした。これに対し「農業生産法人」は組織として大規模に生産をすることで効率的に収益を上げようという新しい農業形態です。

 では、その農地はどこから手に入れるか?「農業生産法人」は高齢化で農業を続けるのが困難になった人や生産の規模を縮小したい農家などから土地を買ったり、借りたりします。その農地で米や野菜、果物、花卉など、様々な農産物を生産するのです。 ◇農業サラリーマンとは?  農業サラリーマンとは、「農業生産法人」に勤める社員のことをいい、その仕事は、米や野菜の生産から、営業、広報まで、多岐にわたります。「サラリーマン」の言葉が示す通り、基本的に就業形態は普通の企業と変わりありません。有給休暇があり、月給制、もちろん、残業代もしっかり計算されます。

 求められる能力は、農作業をこなす体力だけでなく、作った農作物の販路を拡大するための企画力、土地を借りるための交渉力なども必要です。
 農業サラリーマンの中には、会社で農作業の技術や農業経営を学んだあと、将来は独立したいと考えている人もいます。 ◇全国の状況・今の状況  「農業生産法人」は、全国におよそ9千社(平成19年4月現在)、10万人以上が働いています。この10年間、毎年増加。去年1年間だけでも、1千社以上の「農業生産法人」が誕生しました。今、国が後押しを強めていることもあり、農業生産法人は追い風を受けています。

 しかし、こんな面もあります。「農業生産法人」を設立する経営者の多くは、「元個人農家」。営業面に携わったことが無い人が大半を占めます。農作物を大量に作っても売る方法がみつからないなど、営業面での問題を抱えているところも少なくありません。多くの「農業生産法人」は、国の助成を受けて成り立っているというのが現状です。

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 求人を出している農業生産法人に直接申し込みを行う他、各地にある新規就農相談センター、社団法人日本農業法人協会など、農業生産法人をとりまとめる全国組織に相談、紹介してもらうことができます。
 また、こうした組織では、インターンシップなどの研修プログラムを用意しており、将来農業に係わる仕事を目指す人に対し、研修先となる農業生産法人をコーディネートしてくれます。こうした研修先から、就職口を見つける人もいます。

 さらに各県には、公立の農業大学校があり、農業の基礎について2年間学んだ後、学校から就職先を紹介してもらうこともできます。 ◇どんな人が向いてるの?  番組の中で、社長が「真っ白なままで入ってきて欲しい」と語るように、求められる力を挙げるとしたら、それは「継続できる力」です。
 米作りの場合、種を蒔いてから収穫するまで、最低7ヶ月を必要とします。結果が出るまで長く、また、台風や洪水といった自然災害によって、努力が無に帰すこともあります。こうした不測の事態もしっかりと受け止め、その上で、地道な努力を継続できる人が向いているということかもしれません。 ◇ ステップアップの道すじ  農業生産法人ごとに、異なる育成システムをとっており、これが典型的というものがあるわけではありません。一例として裕太さんの「農業生産法人」を紹介します。

 裕太さんの会社では、生産部、営業部、商品部、総務部があり、個人が希望する部でキャリアを積みます。生産部を希望した裕太さんは、1年目は見習い。2年目は、一定の農地を責任持って生産管理します。3年目以上になると、米作りに加え、ネギやキュウリなど、野菜の生産も行い、5年目以上になると、部長として部全体の生産管理を任されます。

 最終的には、独立し自身の農業生産法人を立ち上げることもできます。その場合、農地と農作業を行うための機械、人員を揃える他、どのような計画で農業経営を行うか書かれた計画書を“自治体”に提出する必要があります。

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■ 収入・待遇は? ■農業サラリーマンとは?
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◇収入のめやす  多くの農業法人の場合、初任給は14万円〜18万円の所が多いようです。
 裕太さんの農業生産法人の場合は16万円、その他年2回のボーナスがあります。 ◇農業サラリーマンのある一日

裕太さんの一日(8月)
ある一日

◇生活サイクルと休日  自然相手の仕事のため、季節や天気によって、仕事の内容が変わります。長いスパンで見ると、4月〜5月の田植えと、9月〜10月の稲刈りの時期は特に忙しく、土日出勤になる場合もあります。
また、裕太さんの会社の場合、基本的な勤務時間は午前8時半〜午後5時半ですが、夏場35℃を超える日は、涼しい朝と夕方に分けて勤務を行うなど、サラリーマンとはいえ、臨機応変にシフトを敷いています。

 休みは毎週日曜と、隔週の土曜。裕太さんの趣味は古着を探すことで、休みになると市街地にあるショップへと出かけます。

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■ 仕事の味 ■農業サラリーマンとは?
■農業サラリーマンになるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  種を蒔いてから、消費者の手元に届くまで、全て自分の手で行うことができます。時には、商品を手にした消費者から手紙が届くこともあり、自分の手でものを作り出す喜びを実感することができます。

 また、農業生産法人自体まだ発展途上の職業です。営業面でのアイディアが採用され、チャレンジが成功した時などは、生産とはまた違った達成感を感じることができます。 ◇苦さ  農業は、昔に比べると機械化が進み、労働量はかなり軽減されました。しかし、草取りや、水管理など、まだ機械化できない作業が残り、肉体労働が欠かせません。草だらけの田んぼを一日中はいずり回る苦労は並大抵ではなく、さらに、苦労が必ずしも報われるというわけではありません。
 裕太さんも、手塩に掛けて育ててきた田んぼ1枚を、病気で全滅させてしまったというような苦い経験があります。

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NHK日本放送協会