あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.123 スポーツトレーナー

インタビュー
インタビュー
「ケガも不安もふきとばせ!」 選手たちが最高のパフォーマンスを発揮できるように
トレーニングを指導するスポーツトレーナー。

セレッソ大阪・ユースチームのトレーナー・中山直人さん(27歳)は、トップチームでのプレーを目指す中高生74人を担当して3年目です。選手の運動能力を高めるため、そしてケガをしにくい体を作るため、全体のトレーニング計画を立てるのが基本的な仕事になります。
真価が問われるのは、選手がケガをした時。個別にリハビリのメニューを考え、つきっきりで回復を助けていきます。激しいポジション争いを繰り広げる選手たちにとって練習を休むことは大きなマイナスです。選手の将来を見すえながら、いかに納得させリハビリに専念させることができるか。選手の精神的支柱にもなることが、スポーツトレーナーには求められます。
中山さん自身もプロを目指すサッカー選手でした。足をケガした時にリハビリにずっとつきあってくれた人がいたことが今の仕事を目指すきっかけとなりました。「個々の選手の心と体にじっくり付き合えるのが醍醐味」。未来のJリーガーを育てようと奮闘するトレーナーの仕事を紹介します。

ケガで試合が遠ざかる…ピンチのとき スポーツトレーナーはいつもそばにいます。

■スポーツトレーナーとは? ■スポーツトレーナーになるには?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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 スポーツ選手の体が、最大限のプレーを発揮出来るように、体の調整をサポートする仕事です。
 スポーツトレーナーは、その人の専門分野や所属する団体によって仕事の内容が変わります。選手の記録アップや運動能力の向上を目指して、トレーニングのメニューを組み指導するトレーナー。または、栄養や水分摂取の調整、ストレッチなどの練習メニューを指導しながら、ケガをしにくい体に保つコンディション調整のトレーナー。そして、ケガをした選手が回復し競技に復帰するまで、治療やリハビリメニューを組み、指導するトレーナーなど、様々です。

 いずれにしても、体についての知識があり、さらに、その競技や、選手にあったトレーニングなどを組み上げるための緻密な計算など、肉体についての専門家として、勉強が必要になります。 ◇全国の状況・今の状況  財団法人、日本体育協会が認定するアスレティックトレーナーの資格保有者はおよそ900人(2007年3月現在)。そのうち、何らかの形でスポーツトレーナーの仕事に専門で就いている人はおよそ500人と見られています。

 プロ野球や、ゴルフの世界では、選手に専属のトレーナーが、選手の体について、何から何まで相談役として付きっ切りでケアすることもありますが、プロスポーツの少ない日本では、多くの場合、チームや団体、企業単位でトレーナーを雇っています。

 プロのほかに、企業、大学、高校などの部活でもスポーツトレーナーがいるチームもあり、主にケガをしたときの対処や、リハビリの指導を中心に、活躍しています。またリハビリを主に行うスポーツトレーナーは、医療機関にいることも多く、選手はそうした場所に通って、リハビリを指導してもらうこともあります。 ◇どんな人が向いてるの?  仕事で扱うのは、選手の体。トレーナーのミスが、選手生命を追いやることも…という厳しい世界です。常に、体のことについて知識を深めていく向学心や、選手の状態のわずかな異変も見逃さずに丁寧に対処できるきめ細やかさが必要です。

 また、選手ひとりひとりとコミュニケーションをとりながら向き合い、選手の体をケアしてゆくため、時には、ケガで精神的に落ち込んだ選手の心のケアが必要になります。まずは選手のために何ができるか、ということを第一に考えられることが大切です。

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■スポーツトレーナーになるには? ■スポーツトレーナーとは?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇どうすればスポーツトレーナーに?  スポーツトレーナーになるために必要な資格はありません。しかし、現在、スポーツトレーナーをしている人の多くは大学や専門学校で、学んだ後、体の治療、リハビリに関する民間資格や、国家資格を持っています。
 代表的なものは、日本体育協会の定める民間資格、アスレティックトレーナー(AT)。そして、国家資格としては、はり師、きゅう師、理学療法士、柔道整復師が上げられます。サッカーJリーグのトレーナーは8割以上が何らかの資格を持っています。
 また、スポーツ先進国のアメリカでCPT(Certified Personal Trainer)と呼ばれるトレーナー専門の民間資格を取得する人もいます。
 就職は、主に大学や専門学校にある求人情報などをもとに就職活動をする場合や、知人などをたどり、ネットワークを生かして、就職することが多いようです。 ◇ ステップアップの道すじ  スポーツトレーナーの実績は、選手や、所属するチームの監督やコーチなどの信頼によって評価されることが多いようです。特にケガの治療やリハビリを指導するトレーナーの実績は数字には表れにくいため、選手からの信頼が重要になります。治療などの技術だけではなく、精神的にも選手を支えてゆける力が、選手の信頼を勝ち取る重要なポイントです。

 番組の主人公、中山さんの場合、Jリーグのユースチームに所属しているため、Jリーグのトップチームと隣り合わせの環境で仕事をしています。ユースチームでの評価が、トップチームでの仕事につながる可能性もあります。また、そこでの評価が他のチームの目に止まることもあります。
 体に関する知識や、治療の技術は勉強を積み重ねることで身につきますが、選手から体を預けてもらうほど信頼されるには、何よりもコミュニケーションが大切だといいます。

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■ 収入・待遇は? ■スポーツトレーナーとは?■スポーツトレーナーになるには?■ 仕事の味

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◇収入のめやす  収入は所属する企業、団体によって異なります。
 求人情報が多く集まるスポーツトレーナー養成の専門学校の調べでは、初任給は20万円前後のところが多いということです。 ◇中山さんの一日(3月)

ある一日

◇生活サイクルと休日  合宿や、試合のある日を除いては、練習メニューの作成と、練習時間中のリハビリの指導にあたります。
 練習には、常に監督・コーチよりも早く来て、ケガをした選手の応急処置や選手が練習に参加できるかなどの判断をしなければなりません。帰りも、練習中に異常がなかったか、ケガがあれば応急処置を施して、他のスタッフよりも遅く帰ります。

 中山さんの場合は毎週月曜日が休日。日曜日に試合が行われることが多いので、翌日に体を休めます。ただし、試合で深刻なケガ人が出てしまった場合、休みを返上して病院の診察に付き添うこともあります。

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■ 仕事の味 ■スポーツトレーナーとは?■スポーツトレーナーになるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  ケガから回復した選手が復帰し生き生きと、プレーするとき、活躍したときが最大の喜びだといいます。
 特にユースチームで中学生、高校生を見ている中山さんは、つらいリハビリを乗り越え、選手が精神的に成長する面が見られるのが楽しみだそうです。 ◇苦さ  ケガが長引き、リハビリが続くと、選手は満足に練習もできず精神的に落ち込んでゆきます。自暴自棄になった選手が、「サッカーをやめようか」と考え始めるときが最もつらいときだといいます。
 そうしたことがないように、リハビリの間にできるだけ話をして、相談に乗るのも中山さんの役目です。リハビリがストレスになってくると、軽くボールをけらせたりして、気分転換をさせることもあるそうです。

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NHK日本放送協会