あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.107 助産師

インタビュー
インタビュー
「あなたに会いたくて」 もうすぐ、新しい命との対面。
高橋幸子(たかはしさちこ)さん(29)は助産師になって7年目。助産院で先輩の助産師とともに、お産に立ち会っています。
母親から自分が生まれたときの思い出話をよく聞いていた高橋さん。ずっと側についてくれていた助産師さんのエピソードが、助産師を目指すきっかけになりました。
「自分もお母さんの気持ちに寄り添える助産師になりたい」。看護学校、助産師養成所で勉強を重ね、看護師、助産師の国家試験に合格、助産師として歩み始めました。
今回、高橋さんが立ち会うのは、初めての出産を控えた夫婦。お母さんはお父さんにも立ち会ってもらい、生まれた赤ちゃんを抱いてほしいと考えています。高橋さんは、家族の希望をかなえ、無事に赤ちゃんをその胸に届けるまで、さまざまな不安を抱えるお母さんの気持ちを受け止めながら、日々奮闘しています。
命の誕生はもうすぐ。さぁ 赤ちゃん、生まれておいで。

生まれた赤ちゃんと対面した瞬間の、お母さんの最高の笑顔。命の誕生の現場は毎日がドラマです。

■ 助産師とは? ■ 助産師になるには?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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 厚生労働省管轄の国家資格で、お母さんの産む力を引き出し、赤ちゃんが無事に生まれるように支えていく仕事です。帝王切開や薬物投与など、医療行為は医師にしかできませんが、健康で経過の順調なお母さんの自然分娩は、助産師のみの立ち会いで行うことができます。
 助産師として、妊娠中のお母さんの過ごし方や、出産の進行のしかたなど、検診や講習会などを通して指導したり、相談にのったりもします。実際の出産においては、親子の状況を常に見極めながら、お母さんを励まし、赤ちゃんが無事に生まれるまでナビゲートします。赤ちゃんが生まれた後は、お母さんと赤ちゃんの健康状態をチェックしながら、授乳の方法、おむつの当て方を教えるなど、育児のスタートをサポートします。
 現在では、不妊や更年期障害の相談、小・中学校へ出張して性教育授業を行うなど、その仕事の範囲は広がっています。 ◇全国の状況・今の状況  今、全国的に産科医が不足し、分娩を扱う病院や診療所が減っています。これまでは、ほとんどの出産に医師が立ち会い、負担が大きいことが問題になっていたことから、今後は、順調なお母さんの出産は助産師が主体となり、リスクのある出産や緊急時は医師が対応する形で連携しながら、日本のお産を支えていこうという動きも出てきています。

 高橋さんが勤務しているのは、助産師のみでお産を扱っている助産院。手術や薬物投与が必要な際には対応できませんが、助産師がきめ細かく相談にのり、丁寧なケアが受けられる点などが、お母さんたちに支持されています。

 その良さを病院内でも活かそうと、「院内助産院」や「助産師外来」といった新しいシステムの導入も始まっています。これは、基本的には助産師が妊娠・出産・産後まで継続的にケアし、経過によっては医師が対応するというもの。同じ病院内にあることから、医師とのより緊密な連携をとりながら、ひとりひとりのお母さんにあったお産をサポートすることを目指しています。

 国をあげての体制作りが求められる中で、助産師の重要性はますます高まっています。
◇どんな人が向いてるの?  命に関わる仕事なので、強い責任感が求められます。知識や技術を身につける努力は常に必要です。また、お産は何十時間も続くことがあるので、忍耐力もなくてはなりません。もちろん体力も。
 お母さんや家族にとって、出産は人生の一大事。不安や心配の内容も多様です。

 ひとりひとり違うお母さんに合わせて、柔軟に対応し、親身になってサポートすること。何よりも助産師が大事にしなければならないのは、相手を思いやる心、命を尊く思う心です。

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■ 助産師になるには? ■ 助産師とは?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇どうすれば助産師に?  助産師になるには、まず看護師の資格を持っていることが条件になります。
 看護師養成所や短大・大学などで3年間、助産師養成所や短大・大学などで1年間学び(10件の出産の立ち会い実習も含む)、看護師国家試験に合格した上で助産師国家試験を受験、合格してなるのが一般的です。
 その後、病院・診療所・助産院など、個別の就職試験を受け、勤務します。 ◇ステップアップの道すじ  検診や出産介助など、先輩の仕事を見たり、先輩についてもらいながら、実際に経験を積んでいきます。医療の知識や技術を習得する努力はもちろんのこと、どのようにお母さんに接していけば、不安を解消し、前向きな気持ちで出産にのぞんでもらうことができるのか、日々の仕事の中で学んでいきます。

 お母さんや家族の個性はそれぞれ。うまく意思が伝わらないこともあります。出産の進行も教科書通りに行くことばかりではありません。助産師は、毎日お母さんや赤ちゃんと向き合いながら学び続けることで、信頼される助産師へと成長していくのです。

 助産師には開業権があるので、経験を積んだ後、助産院を開業する人もいます。ほかにも自宅へ出張して出産の介助を行ったり、母乳ケアや乳幼児ケアに当たるなど、活躍の場は広く、生涯現役の仕事です。

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■ 収入・待遇は? ■ 助産師とは?■ 助産師になるには?■ 仕事の味

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◇収入のめやす  高橋さんの助産院では、初任給が17万円ほど。
 個々の病院や診療所、助産院によってまちまちです。基本給のほかに、出産に立ち会うと手当がつくところがほとんどのようです。 ◇助産師のある一日

高橋さんの一日(出産立ち会いのない日)
ある一日

◇生活サイクルと休日  お産はいつ何時あるか、またどのくらいかかるか、わかりません。そのときどきで対応するため、高橋さんのような助産院の場合、勤務日や勤務時間は不規則です。(病院では、交代制で勤務時間や休日が決まっているところがほとんどのようです。)
 お産が長引いたり、重なったりすると、徹夜に近い状態が続くこともあります。逆にお産がないときは休んだり、早めに帰宅したりします。出産後、お母さんと赤ちゃんは1週間ほど入院するのですが、入院している人がいる場合は、交代で泊まり込みます。

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■ 仕事の味 ■ 助産師とは?■ 助産師になるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  命の誕生の現場に立ち会い、生まれたばかりの赤ちゃんと、家族の笑顔に出会えることは、何にもかえがたい喜びです。

 また関わった赤ちゃんが大きくなって訪ねてきてくれるときは、まるで自分の子どもが成長したかのようにうれしい瞬間。長く続けることで、もうひとつの家族のような存在が増えていくのがこの仕事の醍醐味です。 ◇苦さ  妊娠・出産は、すべてがうまくいくばかりではありません。不妊・流産、死産‥つらい思いをするお母さんや家族にどう向き合うか、助産師は真摯に考えていかねばなりません。
 また、勤務日や勤務時間が希望通りにいかないことも多く、プライベートでは我慢しなければならない部分もあるということです。

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NHK日本放送協会