あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.100 レンジャー

インタビュー
インタビュー
「この地球(ほし)を守れ!」 乱開発や、密猟、外来生物・・・。
ピンチに陥っている日本の自然を守るのが、
自然保護官、通称「レンジャー」の仕事です。

今回の主人公はレンジャーになって4年目の澤邦之さん(27)。沖縄・那覇の自然環境事務所に勤務して、沖縄の自然を 守るべく奮闘しています。
澤さんが担当しているのは「外来生物対策」。いま沖縄では、ハブ退治のために100年前にインドから持ち込まれた外来生物マングースが大繁殖。ヤンバルクイナなど、世界でも沖縄にしかいない貴重な生き物の生息地を脅かしています。
絶滅寸前のヤンバルクイナを守るため、いかにマングースを駆除するか、澤さんは日々頭を悩ませています。沖縄の貴重な生き物たちに、平穏な暮らしもたらすことが出来るのか。若きレンジャーの奮闘を追いました。

今、こうしている間に、絶滅している生き物がいるかも。気は抜けないし、手も抜けない。

■ レンジャーとは? ■ レンジャーになるには?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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 環境省の職員で、「自然保護官」として任命された人々のことを言います。
 仕事は、肩書きの通り、ずばり「自然保護」。具体的には、国立公園の管理や、環境に関係する法律の運用、希少生物の保護・増殖事業など多岐に渡ります。
 「現場」である大自然の中での業務は意外に少なく、自然保護のための法律の手続き(許認可業務)、それにともなう数多くの書類作成も大きなウェイトを占めています。また、担当によっては、現場の最新状況を知るための勉強や、対策を練るための情報収集も大事な「仕事」です。 ◇全国の状況・今の状況  レンジャーの職場は、国立公園などを中心に全国およそ100ヶ所。
 東京の環境省に加えて、全国の地方環境事務所、自然環境事務所、自然保護官事務所、さらに、「生物多様性センター」などの出先機関などがその職場です。
 最近では、各地で自然とのふれあいを促進するイベントを行うなど、その業務の幅は広がりつつあります。ただ自然を守るのではなく、多くの人々に関心を持ってもらって、自然と人をつなげることも、自然保護につながるのです。 ◇どんな人が向いてるの?  「自然が好き」なことはもちろんですが、それ以上に、「自然のために働く」という意志が必要です。
 レンジャーがもっとも多くの時間を過ごすのは自然とはかけ離れた「室内」です。法律手続きのための書類作りや、新しい事業を始める際の挨拶回り、資料作りなどなど・・・。こういった、自然を守るための「デスクワーク」こそが、レンジャーの仕事の本質とも言えます。
 澤さんも、マングースの捕獲事業を進めるためにデータをまとめ、分析をして、その資料を作ったり、捕獲に関わる人たちの意見を聞いて回ったりと多くの時間を事務所のある那覇で過ごします。
「実際の山に登るよりも、書類の山に登ることの方が多いのです」(澤さん)。

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■ レンジャーになるには? ■ レンジャーとは?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇どうすればレンジャーに?  環境省に、 I 種自然系技官もしくは II 種自然系技官の職員として採用されると、レンジャーとなることが出来ます。林野庁の職員が出向することも。

  I 種自然系技官になるには国家・種試験区分「農学・」に合格しなければなりません。
 受験に際して学歴は問われませんが、22歳から33歳までの年齢制限があります。
 1次試験では、マークシート方式の(1)一般教養試験(2)専門試験があり「農学III」の専門試験は、森林環境学などの12科目から3科目を選んで回答することになっています。
 この1次試験に合格すると、(1)論文(2)記述式専門試験(3)面接からなる2次試験に進み、これを突破し、かつ、環境省に採用されるとレンジャーです。

  II 種自然系技官の年齢制限は22歳から29歳まで。
 1次試験として(1)マークシートの教養試験(2)「林学」「土木」「農学」のマークシートと論文、そして(3)一般の小論文を課せられています。これに受かると、2次試験として、面接試験があり、これを突破した上で、環境省に採用されるとレンジャーです。

 なお、試験資格、科目などは変更があります。

◇ステップアップの道すじ  レンジャーは、それぞれ担当が分かれています。例えば、那覇自然環境事務所では、澤さんの「外来生物対策」にはじまり、ヤンバルクイナの保護増殖事業、サンゴ礁の再生事業、鳥獣保護、公園管理などなど、各人が各分野でのスペシャリストを目指しています。
 澤さんも、県内のマングース対策に関わる人との関係をしっかり築き、情報が集まるようにするなど、沖縄のマングース対策のスペシャリストとなるべく、日々努力を重ねています。

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■ 収入・待遇は? ■ レンジャーとは?■ レンジャーになるには?■ 仕事の味

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◇収入のめやす  環境省レンジャーは、国家公務員の給与体系に準じています。
 I 種自然系技官として環境省に採用されてレンジャーになった場合初任給は、およそ18万円。 ◇レンジャーのある一日

澤さんのある一日
ある一日

◇生活サイクルと休日  自然相手の仕事のため、様々な「シーズン」があります。
 例えば、沖縄では秋口にかけて、天然記念物のヤンバルテナガコガネが幼虫から成虫になる時期を迎えます。それを狙った密猟者が現れるため、澤さん達はその時期にパトロールを実施するのです。自然は、人間のペースでは動いてくれません。
 休日は、担当業務や、勤務地にもよりますが、澤さんの場合はカレンダー通りのことが多いとのことです。山に出かけて、自分が那覇の机の上で進めている事業の現場をみたり、趣味の写真を撮ったりと自然の中で過ごしています。

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■ 仕事の味 ■ レンジャーとは?■ レンジャーになるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  日本の自然を守りたい、という熱い想いを抱えた同志とたくさん出会うことが出来ます。
 澤さんは、仕事を通じて、ヤンバルクイナの保護活動に取り組む獣医さんや大学教授などと深いつながりを築いてきました。
 沖縄には「転勤」で来た澤さんですが、“やんばる”の最新情報をこうした長年取り組んできた専門家たちと話し合うことが出来るのは、何よりの財産です。そこで、たっぷり刺激を受けて、自然保護に向けた新たなエネルギーを蓄えていきます。 ◇苦さ  担当する業務によっては、常に、「絶滅の恐怖」と戦うことになります。
 澤さんは、「自分が担当している間にヤンバルクイナが絶滅したら・・・と思うと、とても怖い」と話していました。自然は、1度失ったら2度と元には戻りません。自然保護を職業にすることは、とても重い責任を持っています。
 もちろん、「だからこそ、やりがいがある」というのも澤さんの言葉です。

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NHK日本放送協会