あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.92 農業機械セールスマン

インタビュー
インタビュー
「トラクターいかがですか?」 小さな芝刈機から500万円以上もする大型トラクターまで、
農家が扱う機械はさまざま。

今回の主人公は、北海道倶知安町(くっちゃんちょう)の農業機械メーカーで働くセールスマン、永井俊英さん(25歳)です。育てる作物や栽培方法、規模によって、最適な商品を提案していきます。
最小のコストで最大の利益をめざす農家にとって、農業機械セールスマンは大事なパートナー。しかし、大きな出費が伴うため、いつ、何を買うのか、慎重な判断が必要です。そのため、永井さんにとっては、農家のニーズを探り、経営状態を把握することは不可欠。田植えや除草など複数の作業が交錯する中、機械の修理や情報収集のため北海道の大地を走り回ります。
入社三年目。果たして農家を満足させる商品の「提案」はできるのか?永井さんに密着し、この仕事の魅力に迫ります。

農家の笑顔が仕事へのエネルギー。「あなたから買いたい」と言われるセールスマンを目指したい。

■ 農業機械セールスマンとは? ■ 農業機械セールスマンになるには?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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 農家を相手にトラクターなどの機械を接客販売するのが農業機械セールスマンの仕事です。
得意先の農家に出入りして必要な商品を販売するだけでなく、機械の定期メンテナンスや修理も行います。一台1000万円以上するものもある大型農業機械を買う“お得意さま”の心をつかむため、足繁く農家に通い、些細な要望でもすぐさま対応していきます。
 また最新の機械の情報を手に入れ、農家のニーズと繋げることも大事な仕事です。毎年続々と新商品が開発される農業用機械の世界。流通している機械の種類は700以上、細かく分けると1万を超えると言われています。農家の規模や内容、悩みを聞き出し、その農家に適した機械を提案していくことが、売り上げアップには欠かせません。
 農家の元へ走り回り、懐に飛び込む「営業力」と農業機械の最新「知識」。様々な要素が要求される仕事です。 ◇全国の状況・今の状況  全国で農業機械メーカーは大小併せて150社ほどあります。この中には、ごぼうなどの根菜の収穫機械や牛舎用排泄物処理機など小さくても独自の開発力と商品力をウリにしているメーカーもあります。
 消費者の「食」への関心の高まりや輸入野菜の増加、牛乳の消費量の低下など、近年、「農業」を取り巻く環境は劇的に変化しています。また原油価格の高騰で、農業機械の燃料代の上昇なども農家の経営に打撃を当たえる中、農家にはこれまで以上に「品質管理」や「コスト意識」が求められています。
 こうした農家の意識や経済状況の変化は、農業に関わるあらゆる機械を販売する農業セールスマンにとっては、大きな影響があり、がむしゃらに売り込むだけでなく農家の経営状態を考えた提案が重要になってきています。 ◇どんな人が向いてるの?  「人が好き」というのが第一条件。いくら農業と機械を扱う職業とは言え、商売の相手となるのは農家のみなさん。特にひとつの地域に根を張るように営業をしていく農業機械セールスマンは、農業や機械の知識以上に、仕事の大部分は、農家と接すること。日頃の情報収集、商談での商品の説明、アフターケアなど…仕事の内容は農家と機械を繋ぐあらゆることに広がります。
 そして一流の農業機械セールスマンはなにより、「話し上手」より「聞き上手」。農家の元へ足繁く何度も通う中で、野菜の育ち具合から家族の健康状態、そして設備投資の計画から機械の好みまで、あらゆる情報を聞き出してセールスのヒントを探ります。
 「人が好きな聞き上手」…これこそが農業機械セールスマンに大切な要素です。

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■ 農業機械セールスマンになるには? ■ 農業機械セールスマンとは?
■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇どうすれば農業機械セールスマンに?  全国に大小150社ほどある農業機械メーカーに就職するのが一般的です。 ◇ステップアップの道すじ  多くの農業機械メーカーでは、入社してから整備の技術を磨いた後、セールスマンになるケースが一般です。急な注文や修理の依頼に応えるためにも、機械に関する基礎知識は欠かせません。,br>  セールスマンとして一人前になるための、免許や資格は、特にありませんが、関連する資格に、国家資格である「農業機械整備技能士」があります。こうした整備の資格を持ち、営業の幅を広げるセールスマンもいます。
 しかし新人の農業機械セールスマンの多くは、まず、先輩セールスマンとともにある地域の農家を回り、徹底的に「顔を売る」ことから仕事を始めます。一度同じメーカーから機械を買って気に入れば、長年、同じメーカーの機械を使い続ける農家も多く、いかに「お得意さま」との人間関係を作っていくかがこの仕事では重要です。
 人間関係を作り、農家の計画や経営状態を把握し、いかに商品を提案するか?…地域に根を張り顧客を増やし売り上げを伸ばすことが、一人前のセールスマンへのステップアップとなります。

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■ 収入・待遇は? ■ 農業機械セールスマンとは?
■ 農業機械セールスマンになるには?■ 仕事の味

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◇収入のめやす  永井さんが勤める農業機械メーカーの場合、およそ18万円(大卒)。
 その他、成績により手当が出るケースもあります。 ◇農業機械セールスマンのある一日  主な仕事場は、支店外での営業活動。朝9時から夕方6時まで、一日に回る農家は15軒、多いときには営業車の走行距離は200キロになることもあります。
 種まきや田植え時期の春や収穫時期の秋は農家の繁忙期。急な注文や修理の依頼が殺到するため、仕事は早朝から深夜に及ぶこともあります。

永井さんのある一日(6月)
ある一日

◇生活サイクルと休日  休みは、週2日、土日休み。しかし春や秋の農繁期は、多忙。なかなか休めません。
 休みの日は、車好きの永井さんの場合、愛車の手入れやドライブ。実家の函館市も車で2時間と近いため、学生時代の仲間と一緒に過ごすことが多いと言います。

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■ 仕事の味 ■ 農業機械セールスマンとは?
■ 農業機械セールスマンになるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  高価な商品なだけに1年間かけての交渉はあたりまえ。しかし長期間かけて商品の特性を説明し、高価なトラクターやコンバインが売れることは何より嬉しいことです。
 しかしそれだけでなく、自分が提案した機械が農作業の役に立っている現場を見るのが一番の「やりがい」。「かゆいところに手が届いた」と農家から笑顔で言ってもらえることが、永井さんのエネルギーです。 ◇苦さ  農家を取り巻く状況が年々厳しきなる中、得意先の農家が経営に行き詰まり、倒産し、畑を手放すケースもあります。農家のパートナーとして、農作業や経営の効率化のプラスになれる提案をするのが農業機械セールスマンの仕事。そうした力になれなかったり、逆に自分が提案した機械を導入したことによって、経営を圧迫させてしまった場合などは、これ以上ショックなことはありません。
 しかしそうした苦い経験を踏まえて、積極的なアプローチだけでなく、農家のすべてを知り、厳しい環境を農家が生き抜く「手助け」を提案できるかが、農業機械セールスマンに求められています。

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NHK日本放送協会