あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.82 医師

インタビュー
インタビュー
「すべては患者のために」
今回紹介する仕事は医師。
この3月に2年間の臨床研修を終え、宮崎の大学病院で新たに内科医としてのスタートを切った彦坂ともみさん(26才)が主人公です。「家族の命は自分で守りたい」という思いから医師を志した彦坂さん。「患者の不安に何でも応えられる医師」を目標としています。
しかし実際の医療現場で病気と向き合い、患者と接していくのは想像以上に難しいことの連続。正確な診断をするためたくさんの知識や技術を身に付けるだけでなく、患者の気持ちを汲み取る力も必要とされる世界です。
今回、受け持った一人の入院患者の治療を通して、新米医師・彦坂さんの仕事を描きます。

一人でも多くの人を救いたい。病気やケガを治す喜び。そして何よりも患者の笑顔がパワーの源。

■ 医師とは? ■ 医師になるには?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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 厚生労働省管轄の国家資格で、医学に基づいた傷病の予防、診療および公衆衛生の普及を行う医療従事者。
 仕事を大別すると、番組で紹介した彦坂さんのように、実際に人々に接し、病気の予防、相談、検査、治療、リハビリテーション等を行う臨床医師と、病気の原因を追求するため病理解剖を行ったり、生理・薬理などの研究に専念する医師、の2つに分けられます。
 “人の命を預かる仕事“という社会的な責任と強い倫理観をしっかりと自覚することが求められる職業です。 ◇全国の状況・今の状況  医師として働く人の数は全国でおよそ27万人。女性の数は全体で4万人ほど。20代では女性が3人に1人の割合、最近、女性の進出が目立っています。働く場所としては、一般の公立病院や民間病院(12万人)、診療所(9万3千人)、大学病院(4万3千人)などがあります。
 診療科によって医師の数に大きな偏りがあることが今問題となっています。医師の不足が目立つのは、小児科、産婦人科、麻酔科など。特に落ち込みが大きいのが産婦人科。2年間で医師の数が4.3%減少しています。
※数字は、厚生労働省2004年調べ ◇どんな人が向いてるの?  この仕事に向いているのは、何といっても、医師としての社会的な使命感をもてる人でしょう。患者のために、臨床と勉強に取り組む努力を続けていけるかどうか。日々、進歩していく医療の世界に追いついていくための勉強も欠かせません。そして、どんな医者になりたいかという信念や夢も大事でしょう。
また、患者のちょっとした体調の変化でも見落とさない注意力、観察力があり、どんなときでも冷静に判断し、行動できる人。 他の医師や看護師などチーム医療の現場でのチームワークや、患者に的確に説明し不安を取り除くためのコミュニケーションがとれる人。・・・医師に求められるものは多いかも。
 とにかく、毎日毎日、さまざまな患者と接するのは、精神的にも、肉体的にもタフさが求められます。ハードな仕事であるため、自らが健康で、元気であることはなにより大切です。
■ 医師になるには? ■ 医師とは?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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 大学の医学部で正規の医学過程(6年間)を修めて卒業したあと、厚生労働省が行う医師国家試験に合格し、医師免許を取得しなければなりません。
 医師国家試験の過去10年の合格率は、80〜90%。厚生労働省の調べでは、毎年7000〜8000人が医師国家試験に合格しています。 ◇ステップアップの道すじ  医師免許を取得した後、診療に従事しようとする医師は、最低2年間の臨床研修を受けなければなりません。医師の臨床研修は平成16年4月から必修となりました。 臨床研修について
 研修は、各大学病院または厚生労働省が指定する一般病院などで受けられます。
 平成17年度のデータによると、大学病院、一般病院それぞれの研修医の数は3702人、3824人とほぼ同数。

 研修の期間中は必ず指導医が付きます。初めの1年間で、内科 外科 救急部門(麻酔科を含む)の3つを回ります。内科は6ヶ月以上経験するのが望ましいとされています。2年目では、小児科 産婦人科 精神科 地域保健・医療の4つを体験します。研修期間はそれぞれの科目について少なくとも1ヶ月以上です。この7つの科を経験した後は、希望する診療科での研修を受けることができます。
 各科を短期間ずつ回る研修では、医師として幅広く学べるという利点があり、専門の診療科に偏らない知識と技術を身に付けることができます。反面、専門とする科を初めから決めている医師にとっては、その専門の研修期間が以前に比べて短くなってしまうということもあります。
 2年間の必修研修を終えた後は、希望する専門の科で働きます。彦坂さんのように、出身大学の大学病院の医局(教授を中心とした、同一診療科の医師たちのグループ)に入り、大学病院で勤務する場合のほか、一般病院で就職する場合もあります。

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■ 収入・待遇は? ■ 医師とは?■ 医師になるには?■ 仕事の味

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◇収入のめやす  彦坂さんの初任給は30万円ほどです。
 病院によっては賞与のある所とない所があり、収入も様々です。 ◇医師のある一日

彦坂さんの病棟での一日(4月)
ある一日

◇生活サイクルと休日  彦坂さんのような病院の勤務医は非常に忙しく、当直勤務や深夜の呼び出しがあります。
 勤務は土日が休みとなります。ただ、担当の入院患者の病状によっては、土日も傍に付いていなければならない場合も多く、簡単に休日が取れない仕事であることは確かです。

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■ 仕事の味 ■ 医師とは?■ 医師になるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  自分が治療を施すことで、病気やケガによる患者の苦しみを取り除いてあげられることは、何にも変えがたい医師の喜びです。仕事がきつくても、回復して帰っていく患者の笑顔や、患者からのお礼の言葉、手紙が医師の心の支えになります。 ◇苦さ  治療がうまくいかないことや、患者の命を救えないこともあります。重い病気を抱える患者やその家族に告知をしなければならない局面にも立たされます。医師がぶつかる高い壁です。
 彦坂さんも過去、難病を患い治る見通しが立たない少年に、治療についての深い話をすることができなかった経験があります。患者の気持ちにどう向き合うか。医師のほとんどが直面する大きな課題です。

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NHK日本放送協会