あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.52 航海士

インタビュー
インタビュー
「海原に道を切り開け」 海を駆け抜ける船旅。
航海士は、安全を確保するために目の前の状況を的確に判断し、船を目的地に確実に到着させる指揮をとる仕事です。
今回の主人公は、北九州〜大阪間を結ぶフェリー会社に勤め2年目の3等航海士、中村藤太さん(26歳)。乗り組んでいるのは、一度に1000人もの乗客を乗せる1万5千トンのフェリーです。船長の下、数人の航海士が乗り組み、交代で航路の監視「ワッチ」にあたります。
小さいころからの釣り好き。高校卒業後もアルバイトと釣り三昧の生活だった中村さん。友人の言葉をきっかけに水産大学校に進み、航海士の免許を取得しました。
この夏、中村さんは、日本有数の難所「明石海峡」航路の指揮を任されました。中村さんを指導するのはこの道40年以上のベテラン船長。船長にとっては中村さんと一緒の航海はこれが最後となります。狭い海峡で、船や島との距離のとりかた、漁船を追い抜くタイミング、適切な指示ができるかどうか・・・。「決してうろたえるな」という船長の声を受け、中村さんの初挑戦が始まります。

舵を右にきるか、左にきるか?的確な判断で、大海原に道を切り開く。

■ 航海士とは? ■ 航海士になるには?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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 簡単に言えば船の運転手。船を操船するひと。
 正確には船舶職員及び小型船舶操縦者法に基づき必要な海技資格を有し、船会社に雇用され、船長、一等航海士等の船舶職員として船舶に乗り組んでいる者をいいます。
 双眼鏡やレーダーを使って、自分の船や周辺の船の位置を確認し、潮の流れや船の量など海の状況に応じて安全な航海を指揮します。
◇全国の状況・今の状況  海運全体の事業者数は5160社、そこで働く航海士はおよそ7400人。
 その中で中村さんのように旅客船事業者数は947社で、航海士はおよそ1500人。海に囲まれた日本、日本の商船は全世界の海上輸送の15%を占めるが、日本の外国航路船員は毎年減少傾向にあります。賃金の安いアジアや東ヨーロッパの船員に取って代わられてきています。
◇どんな人が向いてるの?  中村さんは12日連続勤務の4日休みですが、外国航路船やマグロ漁船などは数ヶ月連続勤務ということも。その間、規律の厳しい生活やハードな労働をこなせる体力や忍耐力、そして誠実さが求められます。
 また船を指揮するときには安全のため冷静な判断力や臨機応変さが求められます。
 体力に自信があり、船の上での生活も大丈夫、そして安全にたいする責任感がある人におすすめします。

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■ 航海士になるには? ■ 航海士とは? ■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇どうすれば航海士に?  まず国家試験で海技士(航海)の資格を取らなければなりません。そのために全国に66箇所ある船舶職員養成施設にいって受験資格を取得するのが一般的です。船舶職員養成施設には中村さんの卒業した水産大学校などの水産系の学校のほか、東京海洋大学など商船系の学校があります。大学だけでなく商船高等専門学校も多くあります。それぞれの学校によって就職先に傾向があり、一般的に商船系の学校のほうが外国航路の航海士になりやすいといわれています。
 資格には1〜6級があり、船の大きさや航路、航海士の等級によって必要な資格のランクが変わってきます。学校卒業後に取れるのは最高3級。その後経験年数と試験でランクアップすることができます。資格をとりフェリー会社や海運会社、官公庁に勤めるのが一般的です。
◇ステップアップの道すじ
 航海士は船長、1等航海士、2等航海士、3等航海士と序列があります。それぞれの会社で経験年数と技術に応じて船長までステップアップしますが、その段階に必要な資格をもっていることが絶対条件です。
 仕事はステップアップするほど人を指揮することが多くなります。2等航海士になると荷役(トラックや車の積み込み)を仕切り、1等航海士(チョッサー)は航海士のスケジュール管理や船内のメンテナンス業務を仕切ります。船長はすべての総責任者です。

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■ 収入・待遇は? ■ 航海士とは?■ 航海士になるには?■ 仕事の味

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◇収入のめやす  中村さんの会社の場合、初任給基本給23万円。ほかに航海夜間手当、停泊夜間手当て、休日割り増しなど手当てなど諸手当が10万円程度つきます。
 船内で勤務しているときは自分の部屋が割り当てられそこで生活します。しかしトイレやお風呂は共同。食事はタダです。
◇航海士のある一日

中村さんの一日
ある一日

◇生活サイクルと休日  まず出港作業からスタート。夕方6時ごろから、出港準備をします。主な仕事はトラックや車の積み込み。そのあと出港作業をします。夜間の航海でのワッチは4時間交代。8時からワッチのときは出港後そのままワッチに入り、ワッチの最後に船内の巡検をして終了。その後は仮眠を取ります。翌日朝8時から入港作業をして1航海が終了します。ワッチは12日連続勤務で4日連続休み。

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■ 仕事の味 ■ 航海士とは?■ 航海士になるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  毎回毎回変わる海の状況で、船を安全に目的地にたどりつかせるのは大きなやりがい。自分の指揮一つで人命や大切な荷物を載せた巨大船が動くので、背負う責任も大きいですが・・・。その責任を果たすことにやりがいを感じられるかどうかが大切。
 ときどきイルカやスナメリと遭遇することも。
◇苦さ  不規則な生活。夜間の航海なのでまとまった睡眠はとりづらい。またワッチの時間もローテーションなので生活リズムの変化が激しいといえます。
 そして12日連続の勤務。12日間ずっと船の上なので、自分の家族やパートナーと会えない期間が長い。また大きな責任がかかっている仕事なので失敗が許されない緊張感がいつも貼り付いています。

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NHK日本放送協会