あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.43 パティシエ

インタビュー
インタビュー
「ケーキの向こうに笑顔が見たい」 苺のショートケーキ、カスタードたっぷりのシュークリーム、
季節のフルーツを使ったタルト。

パティシエの手から生み出されるお菓子には、食べる人を幸せな気持ちにする魔法がかけられているよう。ただしその仕事はお菓子のようには甘くはありません。1日中立ちっぱなし、重い道具や材料を運ぶ重労働、そして手は火傷だらけ・・・。
今回の主人公は、小学生の頃からの夢を実現し、高松市内のケーキ屋に就職して2年目の庄野絵里さん(23歳)。
この春から、ケーキの生地を作る「仕込み」と呼ばれる作業を任されました。 今回、庄野さんは、ふっくらと焼き上げるのが難しいといわれる“ビスキー”と呼ばれる生地づくりに挑戦。一度失敗し、先輩にそれぞれの材料の混ぜ方や合わせ方を一から指導を受けます。
いつかはお客さんの喜ぶ笑顔をみたいと朝から晩まで材料との格闘を続ける庄野さんの仕事を通して、パティシエの仕事に迫ります。

■ パティシエとは? ■ パティシエになるには?■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇パティシエとは?  さまざまなSweets(スイーツ)を作りだし、食べた人を sweets(スイーツ)な気持ちにさせるパティシエ。
 パティシエとはフランス語でお菓子職人という意味です。洋菓子やデザート作りの技術を基本行程から専門的にマスターした人の総称です。
 洋菓子の材料は、他の料理に比べて圧倒的に少なく、基本的には小麦粉・卵・砂糖・バター。この4つの材料の入れる量とタイミングを変えることで、パイ、シュークリーム、タルト、クッキーetc、さまざまなお菓子を作り出すことができます。その ため正確なレシピが求められる世界です。
オリジナルの想像力が必須とされそうな世界ですが、4つの材料の性質を知り尽くし、使いこなせた上で、初めて凝ったデザインや新しい材料を加えて、オリジナルのものを作り出すことのできる奥深い世界なのです。
◇全国の状況・今の状況

活躍の場はたくさんある!

 パティシエとして“お菓子作りを一生の仕事とする”という時にまず頭に浮かぶのは、やはり街のケーキ屋さんでしょう。
 しかし、その他にもいろいろな営業形態の仕事場が登場しています。例えば、大手のチェーン洋菓子店やホテル、レストランといった職場もあれば、お菓子の教室のインストラクターや、マスコミで活躍するフードコーディネーターという仕事もあります。
 いずれにしてもパティシエとしての能力さえあれば、仕事の可能性は無限大に広がっていきます。ある程度経験を積み技術と知識を身につければ独立開業も可能です。そのためには、店舗の経営やマーケティングなどに関する知識も必要になってきます。
 最近では、ホテルだけでなく、レストランや個人店にもウエディングケーキやバースディケーキなど、二人だけのオリジナルのものを作ってほしいと、個別に注文してくる人も増えています。客の要望にどれだけ応えることができるか、パティシエの腕の見せ所です。
◇どんな人が向いてるの?

体力には自信あり!

 ケーキ作りの現場は体力的にきつい職場です。番組で紹介した庄野さんも、一日中、中腰で生地をまぜあわせたり、30キロもある小麦粉の袋を担いだり、大きなボウルを片手でもったり。
 最近では機械化も進んでいますが、こだわりをもつ店ほど手作業が多いという話をききました。とにかく一にも二にも体が資本です。

理数系もけっこう得意

 実は、お菓子作りは理論的な思考が大切な仕事です。素材同士の微妙な配合や入れるタイミングによって、できあがりが大きく変わってきます。
 粉、卵、バター、砂糖といった少ない素材の科学的性質や配合の関係を理論的に理解して、それを応用していく理数系思考回路も必要とされます。

どちらかと言えばコツコツ型です。

 パティシエの一日は工房に始まり、工房におわります。つまり、一日中工房の中でコツコツとケーキを作り続けるため、一カ所にじっとしていられない人や、黙々と同じ作業を続けるのがイヤな人には結構辛い仕事かもしれません。単調な作業に絶えきれずにやめていく人も多いという世界です。

自分にしかないオリジナルの世界を表現することが好き。

 これだけは譲れないという強いこだわりを持っている。味はもちろん、見た目の美しさもお菓子作りの重要なポイント。一流のパティシエを目指すなら、味への探求心や情熱はもちろん、高い美的センスも必要です。
 かつては菓子製造の職場はほとんどが男性でしたが、最近は女性の活躍も目立ちます。


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■ パティシエになるには? ■ パティシエとは? ■ 収入・待遇は?■ 仕事の味

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◇どうすればパティシエに?  ケーキ屋・ホテルなどに就職する、もしくは、調理師専門学校や製菓専門学校などで一通りの基礎的技術を学ぶことができます。本格的な味を目指したいと、フランスなどヨーロッパで修行を積む人もいます。
 一つの店で長く働くよりも、いろんな店を渡り歩く人が多いのもこの世界の特徴。お店によって味も違うため、多くの味・レシピを吸収して、いつかは自分の店を開きたいと独立を考える人も多くいます。最近ではカフェも増え、オリジナルの手作りケーキを出せるカフェを開きたいという人も増えています。
◇ステップアップの道すじ  パティシエの場合は、店の形態や人数の大小はあるものの、作業によっていくつかのパートに分けられているのが普通です。
 例えば各種のパイ生地や発酵生地を作る人、それを焼く人、仕上げをする人など、作業の流れに従ってそれぞれの仕事が独立したポジションにあります。
本場フランスではそれぞれのパートごとにシェフがいて完全分業制になっていることが多いようですが、日本では、一人で複数の作業をこなさなくてはならないこともあります。
 また逆に大手メーカーの場合はパティシエ部門の他にチョコレート、アイスクリームなどの部門を設けている場合もあります。
  1. 接客・・最近では販売・接客を経験してから製造に入るケースが増えています。直接、接することで客が求める味はどんなものなのか、今何が好まれているのかなどを知る有効な手段にもなります。
    また、ここでの経験が製造に入ってからの励みになったりもします。お客さんの喜んでいる姿を見る、それは、パティシエになった喜びを感じることができる瞬間かもしれません。
  2. オーブン担当・・生地を焼き上げるパート。製品が何十種類にも及ぶためすべての生地の性質、温度、焼き加減などを把握していなければなりません。
  3. 生地担当・・すべての製品の生地を作る重要なパート。キャリアと正確な技術が要求されます。
  4. 仕上げ担当・・クリームなどを作り、それらと焼き上がった生地を使ってお菓子を組み立て、仕上げていきます。技術はもちろん、デコレーションのセンスも必要とされるパートです。
  5. シェフ・パティシエ・・すべてのお菓子の組み立てから仕上げまでの総責任者。メニューの決定から仕事の管理までと、その役割は広くあります。普段は他のパートのパティシエと一緒に仕事をすすめます。個人のお店の場合はオーナー自身が兼任することが多いようです。
  6. (資金を貯めて、独立して自分の店をもつ。)
◇資格 パティシエになるには特別な資格は必要ありませんが、就職や独立を目指しているのであれば、お菓子やパンを製造・販売する際の公衆衛生や安全性に関わる国家資格を取得しておくとよいでしょう。自分の実力を知る目安にもなりますし、技術を証明するためにも役立ちます。

取得しておくと有利な「製菓衛生士」

複雑なお菓子作りの技術と食品添加物など衛生面の管理のノウハウを持つ証明です。製菓衛生士は製菓衛生士法に基づいて、各都道府県が国家試験を行い、おいしく、しかも安全なお菓子を作るための知識や技術を備えていると認められた者に与えられる資格です。

取得しておくとスキルの証明に「菓子製造技能士」

洋菓子部門・和菓子部門とも食品一般、菓子一般、関係法規、安全衛生などの学科試験と、それぞれの実技試験が行われます。取得には実務経験が必要なため、実際に働いている人が主で、年齢層も幅広いです。

お菓子屋さんを開業するなら必須「食品衛生責任者」

食中毒を防ぐため、食品の安全を確保するための食品関係事業者には不可欠の資格です。各都道府県の衛生局等あるいは保健所が主催となる講習会を受講すれば取得できます。


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■ 収入・待遇は? ■ パティシエとは?■ パティシエになるには?■ 仕事の味

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◇収入  庄野さんのお店の場合、初任給15万円程度。 ◇パティシエのある一日  庄野さんの仕事はほとんどが、一日中工房内での活動になります。
 イベントなどの時期によって忙しさが左右されます。特に10〜3月頃は忙しい時期で、クリスマス、年末年始、バレンタインデーはとりわけ注文も多く、残業になることもあります。
ある一日
◇生活サイクルと休日
 休みは4週6日。休みの日はゆっくり休んでいるのかと思いきや、取材をしたほとんどのパティシエは、休日も県内・県外へと出かけて人気のケーキ屋をまわるそうです。
 お店で、自分が仕込んだものや新作など毎日試食していても、休みの日でもケーキを食べないとなんだか落ち着かないという庄野さん。普通にケーキを食べても、「このスポンジはどうやって作るんだろう」「このクリームは何が入っているんだろう?」と追求したくなり、普通にケーキが食べられなくなった!?と言っていました。

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■ 仕事の味 ■ パティシエとは?■ パティシエになるには?■ 収入・待遇は?

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◇おいしさ  常にお客さんの求めるものは変わっていく、そのため作り手側もさまざまなアイデアを出し合い、あの手この手を使って新しい商品を出そうとしています。
 季節限定のケーキ、定番商品の改良など、日々、商品開発や改良を行っています。その際に大切になるのが「試食」。パティシエたちは常に最先端のおいしさを味わっています。パティシエたちの舌が、客の舌のいわばバロメーター。多くの舌にとって「おいしい」かどうかの大切な鍵となるこの試食は、納得がいくまで何度も行われます。
 自分で作っていなくても、これはどんな新しい材料を使っているのか、フルーツをどんな風に活かしているのかと考えて、食べることも大切な勉強になるそうです。
◇苦さ  念願のプロになれた!と思っても、実際は毎日同じものを、同じように作ることの繰り返し。この単調な作業に絶えきれずにやめていってしまう人もいるという世界です。
 でも、この「毎日同じものを作る」ということが実はとっても大事なことなのです。特に仕込みなど、生地を仕上げる段階を見極めるのは自分の感覚が頼りになります。生地の色つやや固さを見て覚え、生地に直接手をいれて混ぜ合わせながら最終的な生地の固さを決めていきます。
 これがまさに職人技。季節によって、材料の温度や湿度、道具の温度にまで気をつかわなければならないため、微妙なバランスが難しいのです。これを習得するためには、一にも二にも何回も仕込むしかない!というのが多くの先輩パティシエたちの言葉でした。何回も何回も・・・毎日、この繰り返しで同じ味を作り続けられてこそ、プロのパティシエなんです。
 何十年もやっているベテランの方達が口を揃えておっしゃっていました。「それだけに極めようとすれば、奥深く、楽しい世界!」・・・なのだそうです。

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NHK日本放送協会