あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑

no.33 楽器職人

インタビュー
インタビュー
「世界に響け!僕のクラリネット」 今回は、ハンドメイドで、精密な構造を持つ楽器を作り出す
楽器職人の仕事を紹介します。

主人公は、静岡県の大手楽器メーカーで、高級クラリネットの製作を始めて2年目の馬渕 明(まぶち あきら)さん(25歳)。200以上の部品から作られるクラリネットを、コンマ1ミリの精度を求めて組み立てています。馬渕さんは今回初めて、プロの演奏家のクラリネットを開発する仕事を任されました。プロが求める音色になるよう、設計者と二人三脚で新たなクラリネット作りに取り組みます。果たしてプロが認めるクラリネットは作れるのでしょうか…?
いい音色を求めて緻密な作業を繰り返す馬渕さんの姿を通して、楽器職人の仕事に迫ります。
■ 楽器職人になるには

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◇楽器職人の仕事

ハンドメイドのクラリネット作りとは?

馬渕さんの場合、設計者が書いた図面を元に、200以上に及ぶ部品を本体に組み付けていくのが仕事です。最初は、機械で大まかに加工された部品をヤスリで削り、寸法や見た目の美しさを調整することから始めます。プロ用の特注品になると、部品の長さや触り心地など、微妙な部分をそれぞれの演奏者の要求に応じて作っていきます。
各部品は、コンマ1ミリの違いで、音が隙間から逃げたり、雑音がするなど、音色や響きに影響します。一つひとつの部品を寸分違わず作り、組み立てていくことが重要な仕事です。

ハンドメイドの職場とは?

馬渕さんが働くのは、トランペットやフルートなど8種類の管楽器を、年間25万本生産している大手楽器メーカーの工場です。量産工場では、約450人が工程ごとに分業で楽器を作っている一方、馬渕さんは、「カスタム工房」と呼ばれるプロの特注品などを一人の職人が作り上げていく部署で働いています。現在、月に3本のペースで製作を行っています。
工房にいる40人の職人のうち、半数以上が20代、30代です。今後、海外メーカーと競合していくためにも、早くから実践の中で技術を身につけた若手の職人に期待が寄せられています。

一人前への条件は?

馬渕さんは、入社4年目にフルートの量産工場から現在の工房に配属となりました。クラリネット作りについて何も知識や技術はない中、先輩の指導を受けながらゼロから製作方法を身につけていきました。
クラリネット作りを任されるようになるまでの主な基礎訓練は、ヤスリを使って、金属の部品を曲線や角度をつけて自由に削る技術を身につけることです。その他、クラリネットを分解しては組み立てる訓練などを繰り返し行いました。最終的に、プロの要求に応えられるようなクラリネットを作るまでには10年以上かかるとも言われています。

待遇は?

馬渕さんの場合、毎日7:55〜16:45まで、間に2回、10分間の休憩をはさみながら働いています。また、初任給は15万4500円(高卒)です。
◇楽器職人になるには
  • 楽器を作るメーカーや工房に就職して、仕事をしながら技術を身につけるのが最も一般的です。国内には、楽器の総合メーカーや専業メーカーが90社以上あります。
  • ギターやバイオリンには、製作技術を学ぶ専門学校があります。
  • 楽器職人には、部品作りや組み立てなど、こつこつと地道な作業を積み重ねることが出来る根気や、音色とともに見た目が重視されるため、イメージを形にできる美的センスが求められます。必ずしも演奏経験は必要ありませんが、音色や演奏感の違いを理解していれば、楽器を作る上で役立ちます。
  • 楽器に関わる仕事はこのほかに、リペアマン(修理専門)やピアノの調律師などがあります。
  • 楽器によっては修理技術を学ぶ専門学校があります。


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