井上今里さん(28)は大阪を拠点にするメークアップアーティスト。お客さんは「女性に変身したい」という男性たちだ。ナチュラルメークを施し、ロングヘアのウィッグやワンピースなどの衣装を提供。最後に写真を撮影する。女性になりきった時間が終わると、彼らはメークを落として帰っていく。住所は非公開。誰にも知られずに女性になれる時間を提供するのが今里さんの仕事だ。店を2年前にオープンしてから、依頼は後を立たない。
メークの専門学校を卒業したものの、「女性向けのメークは欠点をカバーするためのもの」だと、前向きにとらえられずにいた今里さん。考えが変わったのは、友人にお笑い用の女装メークを頼まれたのがきっかけ。手法が確立されていない分野に興味を持った。SNSで女装したい人を募ると、彼女のもとには予想を超える依頼が集まった。そして男性を女性に変身させていくうちに、今里さんはメークの思わぬ力に気付いていく。
この冬、お店を訪れた3人の男性たち。メークを通して、彼らが得るもの、そして今里さんが得るものとは。

1週間スケジュール

  • しごと
  • くらし
MON TUE WED THU FRI SAT SUN

7:00

8:00

9:00

10:00

11:00

12:00

13:00

14:00

15:00

16:00

17:00

18:00

19:00

20:00

21:00

22:00

23:00

24:00

1:00

2:00

3:00

睡眠

起床・朝支度

移動

女装体験

ランチ

女装体験

移動

SNS更新

愛犬の散歩

夕飯

風呂

映画鑑賞

睡眠

睡眠

起床・朝支度

写真選び・送信

ランチ

コラボ企画打合せ

イベントの準備

移動

友人と夕飯

移動

風呂

メーク検定の勉強

睡眠

睡眠

起床・朝支度

移動

SNS更新

顔分析シート作成

ランチ

掃除・準備

メーク教室

片付け

SNS更新

移動

愛犬の散歩

夕飯の支度

夕飯

風呂

メーク練習

睡眠

睡眠

起床・朝支度

移動

掃除・準備

メーク教室

新聞社 取材

ランチ

女装体験

夕飯

女装体験

移動

風呂

睡眠

睡眠

起床・朝支度

愛犬の散歩

移動

コラボ企画
打合せ

ランチ

移動

アーティストの個展巡り

移動

愛犬の散歩

夕飯

風呂

メーク練習

睡眠

睡眠

起床・朝支度

移動

メーク道具
買いだし

ランチ

移動

メディア 取材

移動

女装バーで営業

移動

風呂

自由時間

睡眠

睡眠

起床・朝支度

移動

イベント登壇

移動

夕飯

愛犬の散歩

ブログ更新

HP運営

風呂

掃除

メーク検定の勉強

睡眠

11:00

女装体験

しごと

トピック1

女装体験は一回2~3時間。お店の場所は完全に非公開。予約を入れたお客さんにだけこっそり住所を教えている。事前に顔写真を送ってもらい、どんなメークが似合いそうか十分にイメトレして臨む。

×

16:00

メーク教室

しごと

トピック2

メーク教室は1回1時間。生徒さんがやりたいことを教える個別レッスン。この日は、モデルの桐谷美玲さんに似せる方法を伝授。

×

12:00

コラボ企画打合せ

しごと

トピック3

女装用のスカートやワンピースなどを製作しているデザイナーとコラボで商品を作ることに。しかし男性はどんなデザインを好むのか分からずちょっと苦戦。いくつかデザイン案を作り、お客さんの投票で人気の高かったものを商品化することに。

×

11:00

メーク道具買い出し

しごと

トピック4

店で使うメーク道具は、ブランドものから、舞台用品、100円コスメに至るまで様々。今里さんが自分で使ってみて納得したものを取り入れている。メーク用品を買いに行きにくいという女装家さんのために代行して買うことも。

×

10:00

イベント登壇

しごと

トピック5

女装を体験した男性たちの感想を多くの人に届けたいと、メークの実演をする機会が増えている。この日は初めて大手デパートでの実演。男女問わず、彼女のメーク術に見入っていた。

×

今回のU-29へメッセージ

松坂 桃李さん

番組ナレーター

松坂 桃李

人生って、思いもよらない縁で変わることもあるんですね。今里さんは、知り合いの方にお笑い用の女装メークを担当したことが、人生デザインの大きな転機になりました。「やる気スイッチ」は、自分でもどこにあるか想像もつかないものなんだと、今回もまた、しみじみと感じました。
俳優もメークをすることがありますが、僕にとってメークは「仕事ON」のモードにするためのスイッチのようなものです。今里さんのお店にやってくる方たちにとってのメークは、何かをリセットするためのスイッチなのかな、と思いました。一瞬、女性になって客観的に自分を見て、そしてまた男性に戻るのでしょうか。男性がこわいという彼女さんのために、メークを習っている方もいらっしゃいましたが、その優しさに、本当に感動しました。今里さんのお仕事は、いろんな方たちの、いろんな需要に、確かに応えていることを実感しました。
今里さんの技術も、すばらしいですね。ディレクターさんによると、本当はかなりメークしているとのこと。でも、そんな風には全く感じないナチュラルメークに見えるということは、技術力がとても高いということだと思います。もしかすると、映画の特殊メークの世界にも通じるかもしれませんね!でも、今里さんは、今の仕事に意味とやりがいを感じておられるようですので、女装メークでいろんな方の思いに応えていくのが一番いいのかもしれないですね。これからも是非がんばってください!

ディレクターMEMO

荒井 愛夕美

NHK大阪放送局
ディレクター2年目

荒井 愛夕美

この若さで自分の進む道を自ら切り開き、誰になんと言われようと、とにかく楽しく仕事をしている今里さん。くよくよ悩みがちな私にとって、きらきら輝いた憧れの存在でした。でも、そんな今里さんも「初めは親しい友人や家族にすら、この仕事をしてることを言えなかった」そうです。そういえば、そもそも今里さんがメークを始めたのは、“周囲からどう見られているか”を気にし過ぎていたからでした・・。そんな今里さんの考えが180度変わったのは6年前。SNSで女装メークをしたい人を探していたときに出会った一人の男性が、「自分を信頼して全て委ねてくれた」のがきっかけでした。周りの100の目よりもこの人のために頑張りたいという気持ちが、今里さんの原動力になっているんだと感じます。

今回の撮影中、ドキュメンタリー制作が初めての私に、今里さんが「荒井さんを信じているから、全て託します。」と言って下さいました。こんなに熱い想いが込み上げてきたのは初めてでした。

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