松坂桃李さん

16歳の時に海外のパフォーマーを見て受けた衝撃を、海渡さんはそのまま大事に磨き続けて今も心に持っている。そのことが何よりもすごいと思いました。人間って何かを続けようとした時、一番の敵はだいたい“自分”で、面倒くさがる自分とか、やめちゃおうと思う自分とか、不安になっちゃう自分とか、最終的には自分の気持ちが邪魔をしてしまうことが多いと思うんです。最初に感じた衝撃や感動は、風化していってしまうんですよね…。でも海渡さんはここまでブレずに、積み重ねてやってきた。その精神面の強さに驚かされました。ここまで頑張れたのは、支えてくれたおばあちゃんの存在も大きかったのかもしれないですね。中学時代、いじめで元気をなくしてしまっていた孫が今はこんなに堂々とパフォーマンスを披露しているなんて、めちゃくちゃうれしいだろうと思います。きっとこの番組も録画して何度も見るんじゃないでしょうか(笑)。

海渡さんが個人レッスンをしていた男の子は、自閉症のためにコミュニケーションを取るのが苦手ということでしたが、いろんな技をマスターして、パフォーマンスを通して人とコミュニケーションを取ったり、友だちを作ったりできるようになるといいですね。中学生の頃つらい思いをした海渡さんだからこそ、「人とつながる」ことの大切さをよく知っていて、だからこそこの仕事を続けているのかもしれないなと思いました。

#009

パフォーマー団体代表


北方 海渡
Kaito Kitakata

放送: 2016年6月14日

今回の主人公は、ジャグリングやマジックなどの芸を披露するパフォーマー・北方海渡さん(27歳)。生まれ育った鹿児島でプロとして活動している。主な仕事は、商業施設のイベント出演や投げ銭の大道芸、企業会合の余興など、活躍の場は幅広い。

パフォーマンスとの出会いは、16歳のとき。
中学校でいじめにあい、心を閉ざしてしまった北方さんは親戚を頼り、ニューヨークへ単身渡米。そこで見たボールジャグリングに魅せられた。
大学の奇術同好会の門をたたき、修業を積み19歳でプロに。今では13人のパフォーマーを束ねる団体の代表を務め、イベントへの出演マネジメントも行っている。昨年からは、パフォーマンスの個人レッスンも始めた。
「芸はすべての人を笑顔にできる“魔法”。その世界をふるさとの人たちに届けたい」。
地方都市・鹿児島でパフォーマーとして生きる北方さんの人生デザインを見つめる。

1週間スケジュール

  • しごと
  • くらし
MON TUE WED THU FRI SAT SUN

7:00

8:00

9:00

10:00

11:00

12:00

13:00

14:00

15:00

16:00

17:00

18:00

19:00

20:00

21:00

22:00

23:00

0:00

1:00

2:00

睡眠

起床・身支度

営業活動

休憩

営業活動

移動・帰宅

請求書作成
企画書作成

食事
個人練習
入浴

睡眠

睡眠

起床・身支度

所属するパフォーマーのスケジュール調整・伝達

休憩

営業活動

移動・帰宅

請求書作成
企画書作成

食事
個人練習
入浴

演劇・サーカス・マジック

睡眠

睡眠

起床・身支度

移動・会場準備

休憩

勉強会
懇親会

入浴
ネットサーフィン

睡眠

睡眠

身支度

会場へ移動
打ち合わせ
出演準備

休憩

ステージ
撤収など

移動・帰宅

請求書や企画書作成

食事
個人練習
入浴

睡眠

睡眠

起床・身支度

所属するパフォーマーをイベント会場までアテンド

休憩

個人レッスン
生徒との歓談

移動・帰宅

ブログ更新

食事
個人練習
入浴

睡眠

睡眠

起床・身支度

メールチェック

会場へ移動
打ち合わせ
出演準備

休憩

大道芸
撤収など

移動・帰宅

ブログ更新
メールチェック

テレビゲーム
ネットサーフィン

食事
入浴

睡眠

睡眠

起床・身支度

メールチェック

会場へ移動
打ち合わせ
出演準備

休憩

大道芸

移動・帰宅

ブログ更新
メールチェック

後輩たちと食事

入浴

睡眠

13:30

営業活動

しごと

平日の日中はパフォーマー団体の営業活動。この日は地元のサッカーチームから、ファン向けのイベントへの出演依頼が。出演料と現場の設備などを確認しながら、適したパフォーマーを提案していく。

12:30

勉強会

しごと

北方さんが発案し、4月からスタートした勉強会。鹿児島、宮崎のパフォーマーたちが「客寄せ」や「つかみ」、「キャラクターづくり」など演出論を講義。ただ学ぶだけでなく、地域のパフォーマーたちの横のつながりも強めたいと考えている。

8:30

身支度

くらし

たくさんの道具の中から、その日の演目で使うものを見繕う。積まれた道具の中には小中学校でのパフォーマンスや講演、ワークショップで使う資材、初めて買ったボールもある。道具一つ一つに思い出があり、なかなか捨てられないのだそう。

17:30

ブログ更新

しごと

メールのチェックやブログの更新、ツイッターは欠かせない。ステージの告知や、ファンとの交流を行っている。今やパフォーマーもインターネットを駆使する時代。

23:00

食事

くらし

「たまには料理することもありますよ」。と語る北方さん。ただ、最近はもっぱら後輩たちとの外食や、コンビニで食事を済ますことが多いのだとか。

13:00

大道芸

しごと

「投げ銭」で収入を得る大道芸。道行くお客さんを引きつけ、最後まで飽きさせることなくその場にとどめる。パフォーマーとしての実力が試されるシビアな現場だ。

シゴト選びのヒントキャリアコンサルタントによるしごと解説

大浦さん

転職サービス「DODA」

キャリアコンサルタント

大浦 征也

オオウラ セイヤ

エンタメでコミュニケーションスキルが身につく

事務所代表も務めることで個人の練習時間が減ってしまうでしょうが、収益基盤がしっかりする、雑務が効率化される、芸人どうしのつながりができてイベントを仕掛けやすくなるなどの側面もあります。5年後、10年後には20代に注力したことが後々のキャリアに影響します。長い目で見て、今は何にウエイトを置くのかを考えるとよいと思います。

それとは別に、北方さんの個人レッスンでは子どもだけでなく大人(社会人)も大道芸を学んでいるそうですが、面白いトレンドですね。ほかにも手品やミュージカルなども大人の習い事として人気があるとか。こうした習い事は趣味として楽しむことが目的だと思いますが、そのつもりはないとしても仕事のシーンにも生きてくるのではないでしょうか。目の前の観客の反応によって芸の見せ方をとっさに微調整するなど、最高のパフォーマンスに近づこうとする過程で、言葉に頼らないコミュニケーションスキルが身につきそうです。

転職サービス会社が行った調査では、ビジネスパーソンが考える[仕事に必要・身につけたいスキル]の第1位は、英語力やPCスキルを押さえてコミュニケーション力でした。コミュニケーション力を身につけるのは実は大変で、ビジネススクールなどでディベートを学ぶ人もいますが、エンタメ系の習い事が意外に有効かもしれないですね。

ディレクターMEMO

秋吉 修司

NHKプラネット九州
ディレクター10年目

秋吉 修司

プロのパフォーマーとは何か?という私の問いに「納税したらプロじゃないんですか?」と答えた北方さん。ああ、なるほどなと思うとともに、しっかりしている人だなと感じたのが第一印象でした。

16歳で初めて見たパフォーマンスに自分の生きる道を見出してから、およそ10年。普段の着るもの、食べるものはこだわらず、部屋にはものすごい数の道具やサーカス、マジックのDVD。話をしているときでも、常にコインやカードに触れ続けている・・・金髪の派手な外見とは異なり、どこまでストイックなのでしょう。

実は、あっ!というような超絶技巧技があるわけではないのですが(それでも素人には難しい)、歯に衣着せぬトーク、たとえ技が失敗してもコミカルなアドリブでショーを本筋へもどす。「僕は技術派じゃなくて演出派です」と話すとおり、わかりやすい技でお客さんを楽しませる。長くパフォーマーを続けるためにはカッコよさではなく、愛されるキャラクター作りが重要なのだそうです。

プロになってから、ちゃんと食べることができるようになったのは、ここ3年のこと。それまでの収入は今の3分の1ほどしかありませんでした。でも、将来は商売敵に成りえるかもしれない後輩への指導も、「いいんじゃないですか?」と請け負います。

精力的に活動をし続ける北方さんから、あるとき「自信満々に見えますか?本当は虚勢ですよ」という言葉が返ってきました。確かに、若くして団体を立ち上げ、自ら商業施設や代理店に営業をかけ仕事をとる。常に走り続けることで不安な心を押さえつけているように見えます。

「誰かが振り振り向いてくれるかもしれないから」という、たった一つの思いが、北方さんを突き動かしています。

芯まで「仕事(パフォーマー)」にどっぷりな北方さんの姿に、私の仕事人としての姿勢を問われたような気がしました。これからの活躍を期待しています。

Page Top