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2009年 10月31日 土曜 午後10時〜10時43分

JAL再建 問われる新政権

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前原国土交通大臣は就任直後の9月25日、経営が悪化するJALを立て直すため、事業再生の専門家チームを送り込むと表明。専門家チームは、10月末を期限に再建策をまとめることになった。
JALはなぜ、経営が悪化したのか。経営企画室の赤井奉久元次長は、飛行機1キロを飛ばすのにあたり、運賃をいくら受け取っているか示したデータを見せてくれた。 JALはデルタ航空やシンガポール航空などより高く、世界で最高水準の運賃をもらっていた。赤井氏は「一番高い収入単価にもかかわらず、利益が出ないというのは、コストが高いためだ」と指摘する。
コストの4分の1を占める燃料費の削減が進まないのは、燃費の悪いジャンボ機を世界で一番多く使用しているためだ。資金繰りが苦しいという経理部門、座席数が減ることに懸念を示す営業部門、こうした主張に押され、経営陣が大胆な決定をせず、改革は先送りされてきたというのだ。

10月13日、専門家チームは金融機関に債権放棄の総額は口頭で2500億円規模に上ると説明した。銀行側は一方的に負担を押しつけるものだと猛反発。銀行にはJALに支援を繰り返してきたにもかかわらず、経営体質がいっこうに改善しなかったという根深い不信感があった。
JALの再建には公的資金の投入が不可欠になっていた。10月20日、前原大臣は専門家チームとともに都内のホテルで藤井財務大臣と会談。公的資金の投入に藤井大臣は慎重な姿勢を示した。大臣は「時間が切迫しているのは理解できる。結論は前原大臣と相談する」と40分ほどで席を立ち、結論は持ち越された。
公的資金投入に慎重な理由はJALの年金だ。JALは、基金を作って会社と社員が資金を積み立ててきた。基金は4.5%の利回りを約束しているが、運用成績が悪化し、3300億円の積み立て不足になっている。JALに公的資金を投入しても、この穴埋めに使われては国民の理解を得られないというのだ。JAL 問題を担当する峰崎財務副大臣は「企業年金に国の税金を投入して救っていくというのが本当に許されるのか。そこが最大のポイントだと見ている」と話す。
10月23日、前原大臣は官邸で鳩山総理大臣や関係閣僚と協議。前原大臣はこの席で「政府全体で取り組んでいかなくてはならない問題。結論は10月末。あと1週間程度だ」と訴えた。しかし、藤井大臣は、「財務省が積極的に動く仕組みではない」という姿勢を貫いた。席上、「企業再生支援機構も使える」という専門家チームの案が紹介された。支援機構は最大1兆6000億円の公的資金が活用できる。しかも、法律の裏付けを持って金融機関との調整にあたれる。政権の主要メンバーが集まったこの場で、公的資金の投入を視野に企業再生支援機構の活用という流れが決まった。

なぜJALは自ら改革できなかったのか。
ことし6月に開港した静岡空港。JALは札幌、福岡に1日あわせて4往復飛ばしてきたが、先日、撤退を検討していることを明らかにした。
ことし6月まで静岡県の知事を務めた石川嘉延氏。16年間の在任中、空港建設を推進。JALの誘致も実現した。「これからの時代の主流となる交通手段に容易にアクセスできるかは、地域にとって致命的に大事なことだ」と石川氏は空港の必要性を強調する。
静岡県が過去に作ったパンフレットには、年間で534万人が空港を利用すると書かれていた。当時の県の人口、360万人の1.5倍という大胆な数字だ。当時の県の担当課長は「空港整備計画に採用してもらうため、やや多めの数字でもこれはこれでいいのかなという風に思っていた」と振り返る。
石川前知事によれば、航空会社への就航要請で大きな後ろ盾になったのが国土交通省だったという。しかし、JAL社内では採算は厳しいという声が多かったとされる。それでも就航したのは、断り切れない理由があったと元社員は証言する。「JALは地元や国会議員など数々のしがらみの中で経営を続けてきた。断ることは言葉では簡単だが、断った後々に与える影響がある」。
多額の費用がかかる空港建設だが、静岡空港の場合は半分で済んだ。空港整備のために使われる財源の「空整特会」、空港整備特別会計があったからだ。静岡県が空港本体を作るのに必要だった490億円のうち、空整特会から245億円が支払われた。
この特別会計は、一般財源などに加え、全体の半分以上を航空会社が支払う空港使用料や航空機の燃料税でまかなっている。JALは毎年1000億円を空整特会につぎ込んできた。着陸料や燃料税がJALの経営を圧迫してきたのだ。

JALの再建はどうなるのか。喫緊の課題は資金繰りだ。企業再生支援機構によるJALへの支援決定は早くとも年明けと言われている。しかし、JALは今月下旬にも資金がショートする危機的な状況にある。この手当をどうするのか、まさに時間との戦いだ。

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