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京都、豆腐に一家言ある町。 |
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東山の南禅寺。参道には、湯豆腐の店があちこちに。江戸時代から続く老舗の湯豆腐店もあります。 |
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豆腐専門誌の編集長の西尾さん。 西尾「京都は水の都と言われる、名水があちこちにある、南禅寺の近くの白川の水というのは非常にいい水。お豆腐というのは、7~8割は水。水の良さは、お豆腐にとって非常に重要。」 |
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京都が手塩にかけ育ててきた豆腐のお話を紹介します。 |
壱のツボ 白く はずんで 隙間あり
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入山貴之さんです。200年来、京都の町で代々豆腐を作ってきました。 入山「京都はね、木綿豆腐を白と通称で言う。われわれが見てるお豆腐の色は、真っ白では無い大豆の黄色みがかった色。純粋な白ではないけど、お豆腐の白と言えばあの白と―」 |
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木綿豆腐の最大の特徴は隙間。 入山「隙間が、炊いた時に味がしみ込みやすいような形になるんです。」 そう、京料理のお出汁(だし)も、この隙間にしみ込むんですね。 |
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朝4時。入山さんの豆腐作りが始まります。今も“おくどさん”と呼ばれる釜を使って、昔ながらの製法で豆腐を作っています。おくどさんの強い火力で短時間で炊くことで、風味が飛んでしまうのを防ぎます。 |
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入山さんが店で最初に作るのが絹ごし。凝固剤と寒天で固めます。寒天の用い方は、和菓子作りを応用した、京都ならではの技なのです。まさに京菓子のような繊細な舌触り、京美人の豆腐です。 |
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いよいよ看板の木綿豆腐を仕上げてゆきます。ここで豆乳に「にがり」を加えると、豆腐が固まりはじめます。しかし、なんと固まりはじめた豆腐を崩し、別の型に移します。実は、この工程こそが豆腐の隙間を作るのです。 |
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理想の弾力になっているか、布の上から触れて確認します。 入山「やわらかすぎるとお客さん困るんです。お箸でつかめないとダメ。かと言って固い固いお豆腐でも嫌がられるそういう風なプルプル具合でないとダメ―」 |
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朝4時に始めて、およそ5時間、入山さんの豆腐が完成しました。 |
弐のツボ 豆腐を彩って遊ぶ
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江戸時代後期に出版され、ベストセラーになったグルメ本「豆腐百珍」。 |
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田楽を再現してくださった福田浩さんです。 福田「ただのお豆腐ですが、いろんなものを加えたり、利用してこんなに、田楽が何種類もできるんですからね。お料理のバイブルみたいなものですね、豆腐百珍ていうのは。」 |
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福田「お豆腐を買いに来た奥さんたちが、おみその焦げる香り、お豆腐のおいしそうな色を見て、ひと串くらい食べるわけです・・・いわゆるファーストフードとして人気だった・・・」 田楽は、まるで、白い豆腐が色とりどりの着物を纏(まと)ったよう。目にも愉(たの)しい料理です。 |
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八坂神社。ここの南門で、あの弥二さん喜多さんも田楽にありつきます。 |
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今も、参道で田楽を商う店があります。当主の辻雅光さんが伝え聞いていわく・・・ 辻「今で言う夜店が境内一面に立ち並んで、お客さまを手前どもの店にひきつけるために、豆腐切りというパフォーマンスを赤前だれをした仲居さんがした―」 |
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こちらの木の芽田楽は、一風変わって、京風の白みそと山椒(さんしょう)、そして青菜を使って深い緑色を演出しています。炭火で焦がすことで、甘いみそと山椒の香ばしい香りが立ち上ります。また、表面の緑がこんがり色づき、織部焼のような侘(わ)びた風情を醸し出します。 |
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辻「もともと京都にあった甘味料の代用、白みそとお豆腐の出会いで見た目もちょっと焦げ目がついて、はんなりした、侘び寂びの田楽豆腐を目指しております。」 古都の旅路で、はんなり味わう田楽です。 |
一方、お寺での豆腐料理は・・・
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こちらは萬福寺。中国から伝来した禅僧ゆかりの精進料理をいただくことができます。 |
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中島和尚「この中国の精進料理、普茶(ふちゃ)料理は、もどき料理と言いましてね、本来お寺では出さない、また僧侶が食べないような、肉魚を使った料理、それを別の材料で、それを見立てて似たようなモノを作りましょうという・・・」 |
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一見、かまぼこに見えますが・・・実は、小麦粉などの衣で包んだ山芋。肉や魚が使えないため、考えられた料理がこのような「もどき料理」なのです。 |
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極めつきがこのうなぎのかば焼き!実はこれ豆腐なんです。 中島和尚「もどき料理を作るのに、加工がしやすいと言うので、お豆腐がいろんなものに使われた。」 禅寺に伝わる、とんちのきいた豆腐です。 |
参のツボ ときしらずに愉しむ
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京都の真ん中に、ひっそりとたたずむ旧家・杉本家。「質素倹約」を旨とした日々の献立・おばんざいにも豆腐が使われていました。 |
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料理研究家の杉本節子さん。 杉本「季節に関係なく使える食材というものも、1年の暮らしの中では必要になってくる。そんな時、お豆腐やお豆腐から作った食材は便利に使い回せる食材。」 |
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豆腐はもちろん、「揚げ」「がんもどき」「高野豆腐」「湯葉」などの食材には、ある名前がついています。 |
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杉本「“ときしらず”。季節、旬無く年中使える食材ということでときしらずという言い方をするんですけど。刻んだ湯葉とじゃこ、山椒の実で炊き上げれば、ごはんやお茶漬けにいい一品ができますね。」 “ときしらず”はおばんざいの影の主役。出汁のやわらかな色にもなじみます。 |
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200年以上前から杉本家に伝わる『歳中覚(さいちゅうおぼえ)』。年中行事や、日々の献立の決まりなどを記した備忘録です。そこにも豆腐を使った料理が登場します。 |
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12月の晦日(みそか)。この日、いただくのは「八杯豆腐(はちはいどうふ)」。豆腐をうどんのように細く切り、出汁6:しょうゆ1:酒1、合わせて8杯の汁をかけたものです。 |
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杉本「商家の質素倹約の“始末した料理”という風に言うんですけど、そうしたお料理をまとめ上げてくれる大事な食材がお豆腐。お豆腐が無くては、京都の台所はつとまらへんな~と思います。」 |
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色、形、味―さまざまな表情を持つ豆腐。京都の食卓を輝かせます。 |
楽曲名 | アーティスト名 | 使われた場所 (番組開始後) |
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Moanin' | Art Blakey & The Jazz Messengers | 0分2秒 |
Billy Goat Stomp | Wynton Marsalis | 2分22秒 |
The Way You Look Tonight | Paul Desmond & Gerry Mulligan | 3分0秒 |
Cinema Paradiso | Regina Carter | 4分37秒 |
In The Court Of King Oliver | Wynton Marsalis | 5分40秒 |
Waltz For Debby | Joey Calderazzo | 8分58秒 |
Why Was I Born | Jimmy Smith | 11分25秒 |
O Sole Mio | The Three Sounds | 12分57秒 |
The Big Top | Wynton Marsalis | 14分50秒 |
Humoresque | Art Tatum | 15分15秒 |
TV Time | Count Basie | 16分24秒 |
Pannonica | Thelonious Monk | 18分36秒 |
I'm an Old Cowhand | Sonny Rollins | 20分10秒 |
Reverie | Regina Carter | 22分47秒 |
Alice In Wonderland | Dave Brubeck & Paul Desmond | 24分57秒 |
Gabriel's Oboe | Chris Botti | 27分10秒 |