炎に包まれた焼肉や、真っ赤な唐辛子(とうがらし)色に染まった食材。韓国料理には、刺激的で男性的なイメージを持っていませんか?でも、それだけではありません。 |
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朝鮮料理家 ジョン・キョンファさん ジョン 「韓国では、白、黒、赤、緑、黄色、この五色の色を食卓に整えると身体にもよいし、目にも美しいということで、これがとても大事にされていたんです。」 |
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韓国料理が見た目にも艶やかな背景には、ある伝統があります。それは韓国の宮廷料理。さまざまな食材に野菜の彩りを組み合わせた、カラフルな食卓です。 |
毎日食べる料理にも、色彩を愛(め)でる心が息づいています。色には、心や身体を潤す力が宿ると考えられてきたのです。今日は韓国家庭料理の美の世界へご案内しましょう。 |
壱のツボ キムチの彩りを愛(め)でる
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大阪市内に住む錦織さん一家の食卓にはたくさんのキムチが並びます。ネギ、ゴボウ、ナガイモ。キムチとは、「沈菜(チムチェ)」。 |
ちょっと見慣れないものもあります。赤くはないですが、実はこれもキムチなんです「水キムチ」。 |
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キムチ文化研究所 所長チェ・ソンウンさん チェ 「韓国のキムチと言ったら赤いものがメインだと思いますけど、本来は白いキムチがもともとのキムチだったんですよ。」 そもそもキムチは、白い漬け物でした。寒さが厳しい朝鮮半島では、冬の間、野菜を十分にとれません。そのため、塩漬けにして貯蔵したのです。 |
ところが16世紀になり朝鮮半島に真っ赤なトウガラシが入って来て白いキムチに革命を起こしました。白を誇ったキムチの世界に、深紅の美が生まれたのです。 |
今では、キムチの色彩はさまざま。白、赤、緑。歴史の中でキムチは無限の色や形を手に入れたのです。 |
ボートのような冬瓜(とうがん)の器。中に色とりどりのレンコンを浮かべて、まるでアートですね。 |
弐のツボ 高さと数がもてなしの美
韓国料理店へ行くと、まずはじめに色とりどりのおかずが出てきますよね。韓国の家庭では、キムチやナムルなどを、小さな皿に盛って、食卓をにぎわします。
たくさんの小皿を並べるのが、様式美なのです。 今日2つ目のツボ |
横浜市内のイ・フニルさんのお宅では、フニルさんのお父さんの命日にチェサ(祭祀)と呼ばれる法事が行われます。 |
国立民族学博物館 教授 朝倉敏夫さん 朝倉 「一般の家庭でもお祭りなどで高く盛るようになったのは、儒教というものが広まったからだと思います。儒教では親孝行が言われ、親孝行の気持ちを食物を高く積み上げるということで表現した、とも言われています。」 |
朝鮮半島の人たちは、命日には、料理を高く積み、それをたくさん並べて、先祖を敬います。ごちそうを積むことで、孝を積むことを表現するのです。 |
先祖から見て、手前に主菜、奥に小皿、一番遠くに果物が置かれ、食べる順番にも配慮しています。さらに配膳には、それぞれの家で伝えられているルールがあります。韓国の伝統儀式に詳しい、統国寺の住職、チェ・ムエさんに話を聞きました。 |
参のツボ 匙(さじ)がつくり出す偶然を味わう
韓国料理の食卓には、箸の隣に“スッカラ”と呼ばれる平たいスプーンが並べられます。 |
料理家の瀬尾幸子さんは、スッカラに魅せられ調理器具として愛用しています。特に、瀬尾さんのお気に入りは先が平らなアンティークのもの。味噌(みそ)汁を作る時にも使います。 瀬尾 「お味噌をね、鍋肌で溶かすのってお玉じゃできないのよね。この(スッカラの)薄さとこの平らな形だから出来る。」 そう、スッカラは混ぜるために平な形をしている、と言われます。 |
韓国料理レストランの料理長、小向実さんがつくる数々の美しい料理は、世界的にも評価を受けています。 |
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京都造形芸術大学 教授 松井利夫さん 松井 「一瞬にしてグチャグチャにしちゃう。それを食べることによって、一瞬にしてね、美しかったものを破壊と創造が同時に起こっているわけですよ。そういう食べ物だと思う、食べ物っていうか、食べ方なんかもしれない、ビビンバっていうのは。」 創造と破壊、そして調和。スッカラによるダイナミックな演出です。 |
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そんな美意識を体現する工芸もあります。韓国のパッチワーク、ポジャギです。ポジャギとは、チマチョゴリなどをつくった時の切れ端を、一枚の布に縫い合わせたのが始まりです。 |
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すべて手で縫い合わせますが、前もって図案は作りません。隣り合った布同士が生み出す色や柄のとり合わせの妙が魅力です。偶然が産む繊細にして、大胆な美しさ。どこか、ビビンバの美と響き合うような気がしませんか? |
時々、とても食べたくなるんですよね~韓国料理。
疲れていて元気を出したい時、あの辛さや刺激を求めてしまいます。
とうがらしを使った赤やオレンジ色の料理は、見ているだけで元気が出てきます。
韓国料理といえばキムチの赤、というイメージがありましたが、こんなにカラフルな世界だったなんて!
とうがんを使った水キムチの1品、本当にきれいでしたね。
そして、混ぜる文化だということを改めて認識しました。
ビビンバにパッピンス!今回のスタッフ制作日記も必見ですよ。
楽曲名 | アーティスト名 | 使われた場所 (番組開始後) |
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Moanin' | Art Blakey & The Jazz Messengers | 0分2秒 |
Marciac Fun | Wynton Marsalis | 1分34秒 |
What Game Shall We Play Today | Chick Corea & Gary Burton | 1分58秒 |
Just Friends | Charlie Parker | 3分7秒 |
Wail March | Sonny Rollins | 4分8秒 |
It Don't Mean A Thing | Thelonious Monk | 5分28秒 |
Bourbon Street Parade | Wynton Marsalis | 6分44秒 |
Tickle Toe | Lee Konitz | 7分57秒 |
Fat Bach and Greens | Christian McBride | 9分10秒 |
Sunset And The Mocking Bird | Akane Matsumoto | 11分2秒 |
Get With Itness | Duke Ellington Orchestra | 13分10秒 |
Naima | Tommy Flanagan | 13分57秒 |
My Song | Pat Metheny | 15分0秒 |
The Single Petal of a Rose | Duke Ellington Orchestra | 16分55秒 |
Endymion | Branford Marsalis | 19分55秒 |
Recado Bossa Nova | Zoot Sims | 21分18秒 |
Smoke Gets In Your Eyes | Bud Shank With Len Mercer Strings | 22分40秒 |
On Green Dolphin Street | Miles Davis | 23分58秒 |
Little One | Herbie Hancock | 25分16秒 |
Part 6 (23rd Psalm) | Duke EllingtonBlack feat. Mahalia Jackson | 26分50秒 |