![]() |
かつて日本には、「華族」と呼ばれた人々がいました。 |
![]() |
玄関を飾るステンドグラスは、カラフルで優雅なアールヌーボー調。 |
![]() |
華族とは、明治になって、天皇を補佐するために作られた特権階級。主に、公家や大名だった者、そして、国家に功績のあった者が授けられました。 |
壱のツボ 陛下に見せたい応接間
![]() |
岩崎邸といえば、豪勢な洋館が有名です。 内田 「洋館というのは接客空間。部屋で言うと応接間のような空間だった。そういうことが成立する過程で、天皇の行幸(ぎょうこう)がとても大きな役割を果たしたと推測してるんですね。」 |
![]() |
明治天皇は、政府の西洋化政策の先陣を切っていました。洋装、断髪といういで立ちで、日本各地を回り、たびたび、華族の邸宅を訪問してい ます。その天皇への最大のもてなしが、洋館でした。華族の洋館の起源には、天皇を迎え入れたいという願いがあったのです。 1つ目のツボは、 |
![]() |
明治維新最大の功労者の一人、西郷隆盛。 |
![]() |
フランス人が手掛けた洋館。当時としては最先端の技術が随所に盛り込まれています。 |
![]() |
歴史作家の桐野作人さんは、明治天皇と西郷の関係についてこう語ります。 桐野 「明治天皇は、兄隆盛を大好きだったということですね。相撲を一緒にとって明治天皇を投げ飛ばすことまでしているわけです。」 しかし、その隆盛は西南戦争を引き起こし、逆賊となってしまいます。その名誉回復がなされたのは、弟、従道の邸宅に天皇が行幸に訪れる、まさにその年でした。 |
![]() |
明治天皇が訪れた際、休憩されたとされる貴賓室。邸宅内でも特に豪華な作りで、暖炉は純白の磁器。 |
![]() |
それは、相撲。従道は庭に土俵を造り、力士を呼び寄せて相撲を見せたといいます。 桐野 「兄西郷隆盛との思い出を、明治天皇に思い起こしてもらいたい。そういう舞台設定として相撲が行われたんじゃないかと。」 華族たちが、行幸に込めた思い。それが、さまざまな洋館へと発展していきました。 |
弐のツボ 部屋が語る華麗な空間
![]() |
昭和のはじめ、1万3000坪という広大な敷地に、「東洋一」と謳(うた)われた大邸宅が完成します。 |
![]() |
邸宅を案内してくれるのは、前田家18代目当主、前田利祐(としやす)さん。少年時代を、この邸宅で過ごしました。 前田 「昔からここのことをご本邸ご本邸と言っていましてね。そういう意味ではいろんな思い出もありますけど。夢のごとき所に住んでたんじゃないかと思います。」 この邸宅は、今はなき華族の生活を知る生き証人でもあります。2つ目のツボは、 |
![]() |
利祐さんに、主だった部屋を案内してもらいましょう。まずは、家族の食堂。 前田 「敬語を使って会話してました。だいたい挨拶(あいさつ)はごきげんよう、あと恐れ入りますとか、 なんとかなさいますかとか。」 |
![]() |
隣の部屋は、大食堂。政財界や外国の要人を招き、華やかなパーティーが繰り広げられました。 前田 「この家は一切まきをたく暖炉はありませんでね。全館スチームの暖房です。」 |
![]() |
続いて窓をご覧ください。 |
![]() |
2階の、婦人室です。利為の妻は、菊子夫人。 |
![]() |
毎日、家庭教師を呼んでフランス語や日本画の勉強。夜には自らがデザインしたオリジナルの着物で貴賓をもてなすなど、優雅ながらも、とても忙しい日々を送っていました。 |
![]() |
しかし、この邸宅での暮らしは、戦争を期に終えんを迎えます。利為は、陸軍の軍人でした。 |
参のツボ 別邸は華族の理想郷
![]() |
最後は、華族の別邸をご紹介しましょう。 |
![]() |
この別邸の庭の特徴は、水の流れ。 |
![]() |
造園学に詳しい、鈴木誠さん。 鈴木 「激動の日本を生きていく、並大抵のストレスじゃないですよね。しかも出身は下級武士だったわけでしょ。そうするとそのストレスを何で解消したか。これが庭だったと思うんです。すばらしいユートピアみたいなね。そして彼の理想郷は、この萩だったんじゃないかと。」 客を意識した本邸と異なり、自分の夢を実現できるのが、別邸でした。 3つ目のツボは、 |
![]() |
最後の元老と呼ばれた公爵・西園寺公望(きんもち)。 |
![]() |
坐漁荘の特徴は、竹がいたるところに用いられていること。西園寺はとりわけ竹を好み、漢詩を詠む時などの号を「竹軒」(ちくけん)としていました。 |
![]() |
通常、竹を並べると、節があたって隙間ができます。そこで、一方の節の形に合わせて一つずつ、隙間なく並べられるよう、手作業で竹を削るのです。1日に完成させられるのは、3、4本程度だそうです。 横山 「それをこれだけの天井に貼ってるというのは、想像もつかないような手間暇をかけてるということだと想いますね。お風呂でしょ。おしゃれですね、だから。」 |
![]() |
坐漁荘の2階は、応接間。 |
華族の邸宅。どれも本当にすばらしいお屋敷で、うっとりしてしまいます。
当時の洋館って、重厚でエレガントでとても雰囲気がありますよね。
建てられた当時の華やかな社交の様子が目に浮かびます。
でも、ご主人はもちろん、奥様も忙しい毎日だったんですね~。
語学を勉強したり、着替えを何度もしてお客さんを迎えたり。
そうしながら、日本の新しい時代を切り開いていったのですね。
執事がいるような優雅な生活には憧れますが、なかなか大変そう。
私には務まりそうもない(笑)と思ったのでした。
こうした邸宅が今も残っていて、一般に開放され見ることが出来るというのがありがたいことですよね。
せめて、華族夫人の気分だけでも味わいに行ってみようっと♪
楽曲名 | アーティスト名 | 使われた場所 (番組開始後) |
---|---|---|
Moanin' | Art Blakey & The Jazz Messengers | 0分2秒 |
G line | Jacque Loussier | 0分34秒 |
Frensi | Artie Shaw & His Orchestra | 1分18秒 |
Variations on Goldberg's Theme And Dreams Variation 1 | Richard Stoltzman | 3分4秒 |
Opus No.1 | Tommy Dorsey & His Orchestra | 4分25秒 |
Emily | Francois Rabbath | 6分10秒 |
I've Got You Under My Skin | Stan Kenton | 7分42秒 |
Embraceable you | Zubin Mehta Dir. New York Philharmonic | 10分26秒 |
Stormy Weather | Art Tatum | 12分29秒 |
I'll Never Smile Again | Keely Smyth | 14分21秒 |
Ellen David | 南博トリオ | 17分35秒 |
Song To Gayle | Gary Burton, Chick Corea | 20分16秒 |
You | Pat Metheny Group | 21分52秒 |
New Doll | 坪口昌恭 | 23分8秒 |
Tenderly | Ben Webster | 24分52秒 |
The Same Hello, The Same Goodbye | Michael Feinstein | 26分21秒 |
I Can't Get Started | Stephane Grappeli | 16分40秒 |