京都市にあるカフェ「さらさ西陣」。壁一面に貼られたタイルが訪れた人たちの目を奪います。実はこのカフェ、銭湯を改装したもので、タイルは全て大正時代にデザインされたものです。 |
明治の初め、西洋の建築とともに日本にもたらされたタイル。その高い防水性や断熱性で、瞬く間に普及しました。今回は、精緻な作りとしゃれたデザインで西洋をしのぐとまでと言われるようになった、「日本のタイル」を鑑賞します。 |
壱のツボ タイルにはえるジャパニーズブルー
愛知県・瀬戸市にある、明治時代に建てられた邸宅。こちらに明治から大正にかけて人気を呼んだ「青と白」のタイルが残っています。こちら見覚えがありませんか? |
日本人が古くから愛してきた染め付けの色彩です。明治の人々は、日本人の暮らしにしっくりなじむ色彩美を、タイルにも表現したのです。 |
こうして、青を基調とした元祖日本のタイルが誕生しました。 |
やがて、青を際立てるためさらなる工夫がなされます。こちらは、江戸時代から瀬戸で作られてきた「石皿」。青い模様の傍らに、茶色があしらわれているのが特徴です。 |
瀬戸の職人たちは、これをタイルに生かしました。 |
寺田家のお風呂。茶色が混じってくることで、日本の伝統的な住宅の木材の色などに、より落ち着いた感じで、溶け込みやすい印象になりました。茶によって引き立てられた青。おしゃれでありながら、ホッと一息つける「和モダン」の味わいです。 |
弐のツボ 凹凸が生みだす和の華やぎ
鮮やかな色彩のタイル。大正時代になるとこんな華やかなものが流行しました。
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兵庫県立考古博物館学芸員 深井明比古さん 深井 「タイルに付加価値をつけるといいますか、もっと模様を立体的に表したいと。明治時代以来、西洋文化に追いつき追い越せと、切磋琢磨(せっさたくま)してきたんだと思います」 |
兵庫県淡路島では、日本で初めて凹凸タイルが作られていました。今も残る初期に作られたタイルにはその片りんを伺うことができます。 |
そもそも、淡路島では「珉平焼」といわれる、焼物が古くから盛んでした。得意としたのは、「型」を使った、立体感のある物。 |
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やがて、2枚の型でタイルの生地をプレスする新しい方法が開発されました。この技術により、タイルの生地が薄く均等になり、深い凹凸をつけても、焼ムラができずにすんだのです。 こうしてできたタイルを「エンボスタイル」といいます。 |
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型づくりの伝統と新しい技術が出会い、生み出されたエンボスタイル。 |
深い凹凸によって出来た、タイル表面の高低差によって、色彩のグラデュエーションが生まれ、味わい深い色の表現をもたらしたのです。 |
参のツボ 無数のタイルが生み出す贅沢(ぜいたく)空間贅沢
昭和5年に建てられた、兵庫県の甲子園会館。 |
ホテル時代にBARとして使われていた部屋の床には、さまざまな色や形のタイルがまるで、子供のいたずらのように、不規則に貼られています。ひとつひとつをよく見ると、欠けたものや、ひびが入ったものまで使われています。 |
この床を離れて見ると… |
この時代のタイルの最高傑作とされる作品、大阪市の綿業会館。当時、繁栄を誇った大阪の繊維業界の社交施設として建てられました。設計は、当時の新進気鋭の建築家渡辺節です。 |
渡辺は、会員たちが賓客(ひんきゃく)を招く特別な空間、談話室の壁に、繊維業界の建物にふさわしい装飾を施しました。およそ1000枚にも及ぶタイルによって、織物による壁掛け、タペストリーを表現したのです。 |
使われたタイルは、「窯変タイル」と呼ばれています。「窯変」とは、焼物の焼成中に起こる、釉薬のかかり具合や、炎の強さなどによって生まれるムラのこと。一つとして同じ色の物はありません。 |
大阪歴史博物館 学芸員 酒井一光さん。 酒井 「空間の中で初めて、このタイルが生きてくるんで、どこでも、というわけではなくて、むしろ遠く見た時の、面白味というか、ゆらぎがあるともうしますか、多様な表情を見せているのが魅力ではないかと思います」 |
これらのタイルを渡辺自らが一枚一枚貼付けていきました。 |
昭和モダンの時代に、日本が到達した、贅沢極まりない空間です。 |
子供の頃、母親と一緒にタイルに絵を描いたことを思い出しました。真っ白なタイルを買ってきて、わいわい話しながらスタンプや筆を使ってカラフルなお花を描きました。楽しかったなぁ。
番組内でご紹介したような立体的で華やかなタイルとはいかなくても、素朴で温かみがあるオリジナルのデザインのタイルは、数年前まで私の実家のキッチンを彩っていました。母とそのタイルを見ながら料理をし、いろいろなお菓子作りにもチャレンジしたんですよねー。
小さな正方形のタイルに、家族の思い出がたくさんつまっていることに気づきました。
楽曲名 | アーティスト名 |
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Lover | The Three Suns |
Mockin' Bird Hill | Patti Page |
Waltz For Debby | Kronos Quartet |
Kelly Blue | Wynton Kelly |
Blight Of The Fumble Bee | Paul Desmond / Gerry Mulligan |
Black And Tan Fantasy | Marcus Roberts |
Dear Lord | John Coltrane |
Ballin' The Jack | The Three Suns |
This Year's Kisses | Lester Young |
Back To My Home Town | Sonny Stitt |
Peace Memory | Pat Metheny |
NOS.8 | Chick Corea |
Milestones | Turtle String Quartet |
You Leave Me Breathless | Milt Jackson |
Penthouse Serenade | The Three Suns |
Happy-Go-Lucky-Rocal | Duke Ellington |
Hat And Beard | Eric Dolphy |
Unforgettable | Natalie Cole |
Plink,Plank,Plunk | The Three Suns |