大谷石は栃木県宇都宮市で採れる石です。大谷石は江戸時代から建築資材として使われ始めました。加工しやすく値段も安いため高度経済成長期に各地に広がりました。 |
最近では、おしゃれなインテリアとしても注目を集めています。
石川 「仕事とか外出から帰って来た時玄関に大谷石があると落ち着きますね。温かいというか、ぬくもりがあるような・・・」 |
大谷石は数々の名建築も生み出してきました。大谷石が使われているこの教会では、西洋のロマネスク様式に不思議とマッチしています。 |
カトリック松が峰教会の祭司、御崎ザビエルさんは言います。
ザビエル 「柔らかい石ですね、それから色も、やさしい色ですね。心が静かになりますね」 日本の暮らしに溶け込み、和風、洋風、色んな美を表現できる石、「大谷石」。今回はこの不思議な石の魅力を探ります。 |
壱のツボ みそが醸し出す温もり
大谷石はおよそ1200万年前、火山が噴火した時の灰が降り積もってできた凝灰岩です。大谷石の特徴である「みそ」の穴とは一体何なのでしょうか。 |
こちらは掘り出される前の石。穴はありません。目立つのは黒っぽいシミ。これは火山灰に紛れ込んだ、木の破片などの不純物だといいます。このシミがやがて「みそ」になるのです。 |
こちらはなんと、大谷石の巨大な一枚岩をくりぬいて作った建物。まず内側を見てみましょう。壁には削った時のまま一面に、シミが点在しています。 |
一方、外側は穴だらけ。柔らかいシミの部分が、風雨にさらされ、洗い流されたのです。大谷石独特の「みそ」の穴はこうして出来ました。 |
大谷石を、顕微鏡でのぞいてみましょう。目には見えない無数の隙間でいっぱいです。大谷石は、このように多孔質であるため、とても風化しやすいのです。 |
弐のツボ 和を引き立てる名脇役
伝統的な蔵は土や木で造られますが、こちらは全て大谷石でできています。真ん中の柱の様な部分は、伊勢神宮に見られる棟持柱(むなもちばしら)を表しています。通常、木を使う部分を全て、大谷石で表現しています。 |
大谷石の建築を研究してきた岡田義治さん。大谷石は日本風の建築デザインに見事に調和すると言います。 岡田 「白米のごはんだと思ってるんですけど、どんなおかずとでも調和できる。合う。おかずの副食品を引き立たせてくれる。非常に良い日本人に合う生活や感覚というのがあることが大谷石の材質感だと思います」 二つ目のツボは、 |
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東京にある日本民藝館。暮らしの中のありふれた道具に美を見出した柳宗悦が建てました。その一角に柳がほれこみ宇都宮から移築した門があります。そこには、大谷石で「和」が巧みに表現されています。 |
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まずは屋根。瓦ではなく、大谷石が乗せられています。雨水の流れる溝を削っただけの直線的なフォルム。 |
しかし、冷たい印象はないと岡田さんは言います。
岡田 「柔らかい石ですからこういう角をきちっと取っても、やはりこういうギザギザした丸面が出てしまうと。そういうシャープさにはない温もりっていうのがあると思いますね」 大谷石によって洗練された中にも温かみのある和の美しさがもたらされています。 |
次に、ご覧頂きたいのは、壁。大谷石のなまこ壁です。独特の薄茶色の色合いによって、土壁のような温もりが生まれます。 |
柳宗悦は、大谷石について次のような文章を残しています。 |
参のツボ フランク・ロイド・ライトに学ぶ
大正12年、近代日本が生んだ名建築帝国ホテル。現在は愛知県の明治村に移され、保存されています。この建物は20世紀を代表するアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトが設計しました。壁や柱など、至る所に大谷石が使われています。ライトはなぜ、大谷石を好んだのでしょうか。
三つ目のツボは、 |
帝国ホテルが移築される時、破損した彫刻を復元した石工、渡辺哲夫さん。
作業を通して、ライトが大谷石を選んだ理由を考えました。
渡辺 「光らない石なのに光って見える。一寸オーバーかもしれないけど私たち削ってみると少しつやがあるんですよ。ライトさんそういう所に着目したのでは?」 |
光を当てることによって、生み出される大谷石独特の表情。渡辺さんは、それを「つや」と呼びます。 渡辺 「このへんは艶があるって一般的に言われてるんですけど、これが相当効いている。手作業のなしえる技ですよね」 柔らかい大谷石だからこそ刻まれる、細かい削り跡。その陰影が、独特の「つや」となって輝くのです。 |
日本を代表する建築家・隈研吾さんも、ライトから大谷石の魅力を教えられました。 隈 「ライトは多孔質な穴に惹かれていて更に石にいろんな刻みを付ける。そうすることによって多孔質性を更に引き出そうとした。装飾によって大谷石の持ってる柔らかさとか土っぽさがより際立つ」 |
複雑に刻み込むことで、大谷石の「穴」は、より際立ちます。ライトはこうして、石の素顔を引き出したのでないか。隈さんは、そう考えます。
隈 「他の石はそんなに正直に自分をさらけ出すような感じはしない。石は石としてお高く止まっているって感じがするけど、大谷石はここまでさらけ出しちゃっていいのかな?」 |
この建物は、隈さんがライトに触発されて古い大谷石を再利用した建物をてがけました。
隈 「ライトは刻みとか線によって大谷石の多孔質性っていうのを強調したけれど、僕は大谷石自身に大きな穴をうがって壁全体を多孔質にしたい。壁全体が光によって違う顔を見せるそんな壁を見せたかった」 |
ライトが教えてくれた大谷石の魅力は、新たな建築の中に受け継がれているのです。 |
石なのに柔らかい雰囲気と温かい印象を与える“大谷石”。番組の中でこの石をインテリア(照明)に使っている方がいらっしゃいました。私はナレーションを充てながら、「わ~、すてき!!」と心の中で叫んでいました。間接照明が好きなので、量販店などでシンプルな照明を見つけると買い集めています。
数えてみると、1部屋に小さな照明器具が7個ほど・・・。全て点灯すると間接照明ではなくなるので、気分に応じて点けたり、消したりしています。番組に出てきた大谷石のインテリアは“照明”にもなるし、小さな“サイドテーブル”にもなりそうですね!
楽曲名 | アーティスト名 |
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Six Appeal | Charlie Christian |
My Shining Hour | Christian McBride, Javon Jackson |
Skating In Central Park | 秋吉敏子 |
Alone Together | David Hazeltine |
Washington Square Park | Anat Cohen |
Old Devil Moon | Milt Jackson |
Jitterbug Waltz | Stephane Grappelli & Toots Thielemans |
As Long As I Live | Charlie Christian |
Casa Do Tom | Walter Lang Trio Elf |
Bella Notte | 寺井尚子 |
Here's That Rainy Day | Joe Pass |
Ein Gedi | Yaron Harman Trio |
The Sun And The Moon | Wynton Marsalis |
Do You Know What It Means To Miss New | Fabrizio Bosso |
The Cost Of Living | Chris Minh Doky |
Maine To Maine | Dominique Fillon |