今もブームが続く仏像。 |
それが魅力となって表れている「手」「衣のひだ」「光」という3つのポイントから、「目からウロコ」の鑑賞の秘けつをお伝えします。 |
壱のツボ 赤子の手に宿る無垢(むく)の心
京都を拠点に仏像作りを続ける仏師、江里康慧(えりこうけい)さん。 |
江里さんの作品を拝見すると… |
確かにその手はふっくらとしていて、赤子のよう。この特徴は、奈良・平安時代の昔から見られるものです。
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京都、神護寺(じんごじ)の国宝、薬師如来像。その手の甲を見ると、赤ちゃんの手のように、はちきれんばかりにふくらんでいるのがわかります。むっちりした手が、仏さまの雰囲気を柔和なものにしています。 |
新薬師寺の薬師如来像は、赤子の手の特徴をさらに細かくとらえています。つめが外側に反っているのです。 |
実はこれは赤ちゃんの指先の特徴。生まれたばかりの時、つめの多くは外側に伸びたり、反ったりしているのです。 |
仏像の手を赤子の手に似せる理由を、江里さんはこう説明しています。 江里 「人は皆生まれたときは無垢(むく)ですが、成人するに従ってさまざまな煩悩(ぼんのう)に染まってゆきます。おそらく昔の人も、その赤子の純粋さ無垢さに、仏の無の世界、空の世界を重ねてみたのではないでしょうか」 |
手の美しさで知られる聖林寺(しょうりんじ)の十一面観音像を見てみましょう。 |
指はすらりと伸びていますが、手のひらはふっくらと厚く、爪は外側に向いています。 力みのないやわらかな手つき。仏の手は、赤子のようなけがれのない心を表しているのです。 |
弐のツボ 衣文が放つ仏のエネルギー
奈良、室生寺(むろうじ)に安置された平安時代作の、釈迦如来像。 |
ところが下半身を見ると、力強く刻み込まれた幾筋もの衣のひだ(衣文)が、うねり、渦巻いています。衣全体が、エネルギーを発しているかのようです。 |
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仏像修復の専門家、山崎隆之さんは、衣文の役割をこう指摘しています。 山崎 「仏像においては、顔や手で表情を豊かに表現することはしません。そこで仏像の生命感、エネルギー、威力といったものは、衣文で示すのです」 仏像鑑賞二つ目のツボは、「衣文が放つ仏のエネルギー」 |
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室生寺の釈迦如来像の衣文には、彫り方にある工夫がなされています。 |
平安時代半ばに中国からもたらされた、清凉寺(せいりょうじ)の釈迦如来像。 |
細かく刻まれた衣文が大きく波打つさまは、仏の底知れぬ霊力を感じさせます。 |
対照的なのが、浄瑠璃寺(じょうるりじ)の阿弥陀如来像。衣は浅い彫りで薄く表されています。浮きあがるような軽やかさ。阿弥陀仏の住む極楽浄土の雰囲気をよく伝えています。 衣文は、仏の放つエネルギーを強弱自在に表現する重要な役割を担っているのです。 |
参のツボ 光で魅する 仏の演出
悟りを開いた仏さまの気高さを象徴するのが、光です。仏像が金色で表現されたり、背後に光背(こうはい)がとりつけられたりするのはそのため。 |
仏師たちは趣向を凝らし、光の表現を追求してきました。 |
鎌倉初期に作られた、光臺院(こうだいいん)の勢至菩薩(せいしぼさつ)像。その肌の輝き方は、柔らかです。この時代、「金泥(きんでい)塗り」という新しい金の表現が発展したのです。 |
金泥は、金ぱくに、にかわを少しずつ加えながら、指で時間をかけて練って作ります。こうすることで、金は微細な粒子になります。 |
金ぱくは光を強く反射しますが、金泥は粒状になった金が乱反射を起こすため、鈍い光り方をします。 |
肌の金色とともに光を表す重要な部分が、「光背」 |
兵庫県、浄土寺(じょうどじ)の阿弥陀三尊像。 |
仏像の「手」に注目したこと、今までありませんでした・・・。“子どもの手”を意識して作られているとあって、どの手もぷっくりとしていて思わず触りたくなってしまいました。この回のナレーション収録の日。コメントをみんなで考えていると、番組のチーフプロデューサーが「古野ちゃんの手も子どもの手みたいだね!」と一言。確かに!!自分の手をまじまじ見ると、甲は分厚く、指も関節が目立たないほど太くてプニプニしています。爪も反っているので、特徴が似ています・・・。うーん、子どもから大人への進化の途中ってことにしておきましょう。純粋な心を持ち続けたいものです。
楽曲名 | アーティスト名 |
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In A Mist | 中島ノブユキ |
Route 65 | 渡辺香津美 |
People Will Say We're In Love | Ted Rosenthal Trio |
It's Always Been You | Dave Koz |
Heart Shaped Box | Yaron Herman Trio |
Bird Song | 赤松敏弘 |
Emily | Francois Rabbath |
Afro Blue | Gary Burton |
ラッシュライフ | 菊地成孔 南博 |
Say La | Charnet Moffett |
Water Moon | 坪口昌恭 |
Ponta De Areia | Walter Lang Trio Elf |
Scrapple From The Apple | 川嶋哲郎カルテット |
Keep It Moving | Kris Bowers |
The Cost Of Living | Chris Minh Doky |
花曲 Kakyoku | 安田芙充央 |