屋敷林は、日本各地の風の強い地域に見られます。 |
富山県砺波平野や島根県出雲平野など、点在する屋敷林が、その地方独特の景観を形づくってきました。 |
壱のツボ 風土が生んだ輪郭
出雲平野の屋敷林。 屋敷林鑑賞一つ目のツボは、 |
日本海に面した出雲平野は冬場、北西にある海から強い季節風が吹き抜ける、風の通り道。 |
築地松のある屋敷に住む瀬崎勝正さんです。四角く整えるのには、出雲の人々の知恵と美意識が隠されているといいます。 瀬崎 「屋敷構え、全体として家屋、築地松一体となった緊張感のある安定感のある美しさを出すためと言われています。」 |
出雲地方の民家では、ひさしや棟など屋根の色々な所に反りが入っています。築地松の形は、この反りを取り入れたもの。 |
瀬崎 「出雲大社の屋根とか、それから鳥居さんですね、あれがまた反りあがっております。私はそれを見ますと非常に凛(りん)とした、威厳のある美的景観、美しさを感じるという事でございます。」 日本中の神々が集うという出雲大社。反りのはいった屋根が醸しだす力強い美しさは、出雲の人々の誇りでした。 |
高さ10メートル、築地松の上で行われる陰手刈り(のうてごり)と呼ばれる作業。 |
防風林としての効果が保てるギリギリのところまですいていく熟練の技。まるでレースのカーテン越しに屋敷が透けて見えるかのようです。 |
弐のツボ 暮らし方が描いた小宇宙
屋敷林にも、内側から見て初めて分かる魅力があります仙台平野に点在する広大な屋敷林。イグネと呼ばれています。イグネとは住まいを守る垣根の意味。 |
一見雑木林のように見えるイグネ。しかし、木々の多くは計画的に配置されていると言います。 先祖代々、イグネに守られて暮らしてきた庄司喜豊さんです。 庄司 「イグネというのは、家を守るとか、生活を守ると、寒さとか暑さから守るそういう役割をしてる。」 屋敷林鑑賞、二つ目のツボ、 |
屋敷の外縁部。東、西、北側には、風を防ぐために、杉やひば、松などの常緑樹。その内側には、さまざまな果樹が植えられています。その果実からは、干し柿などの保存食が作られます。イグネの中だけで暮らしがなりたつよう、育まれてきた知恵です。 |
母屋の南側には、観賞用の樹木が植えられています。 |
屋敷の入口には、魔除けのヒイラギが植えられています。ヒイラギの木の内側は、小鳥たちの宿り木にもなっています。トゲ状の葉がタカやトンビなどから小鳥を守ってくれるのです。 庄司 「屋敷内にある小さな実の付いたものを食べてきて、ここに休むでしょう。休んでいるとフンをするんですよね。そのフンから種が出て来たのが、ここにずっとあるんですよ。」 |
ヒイラギの下には、サンショウやカクレミノ、ユズリハ。すべて、小鳥たちが運んできてくれたものです。いつの間にかゆずの木も育っていました。人が植えたヒイラギの木が、思いも掛けない変化に富んだ景観をもたらしてくれたのです。屋敷林の内側には、自然と人の暮らしが溶け合った小宇宙が広がっています。 |
参のツボ 屋敷に刻まれた木々の歳月
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仙台のイグネ、ここでは長い間、植林と伐採が行われイグネの木々は、代々屋敷を建て替える時に、木材として使われてきました。 |
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昭和42年、庄司さんの家を建てた時に使われたのは、杉の巨木10本、ケヤキ3本、その他20本近いイグネの木々。 屋敷林鑑賞、三つ目のツボ、 |
こちらは、福島市にある屋敷林。現在の家屋に建て替えられたのは、今から130年前。 |
床板には、玉杢(たまもく)と呼ばれる渦状の木目が浮かんでいます。これは、樹齢100年を超えるケヤキにまれに見られるもの。屋敷林の木が、人々の暮らす空間を彩っています。 |
大工の三浦藤夫さん。古民家の修復を数多く手掛けています。屋敷林の木を使った民家は丈夫で、しかも、美しいといいます。 三浦 「地元で育った木っていうのは、そこで一番あぶらがのって長持ちする。よそから持ってきた材料だと、どうしてもボケたりしますので、(ボケるっていうのは?)つやが出ない。ここの気候風土に合わなくて、一番気候風土に合っているのは、地元の木で使われた木。」 |
仙台のイグネ。屋敷林の木材を使って建てた庄司さんの家。玄関には、木々の中から樹齢200年のケヤキの木を選んで使いました。美しい木目で来客を迎えます。 |
同じ気候風土で育った木は、気温や湿度による、ゆがみや、ひび割れも、ほとんど起こしません。 |
先祖代々庄司家の暮らしに寄り添い育ってきた木は、屋敷の中に組み込まれ、さらに歳月を重ねてゆきます。 庄司 「まぁこれがうちの屋敷から切り倒した、木材だなぁという風にね毎日、先祖に感謝しながらね住んでおります。先祖は多分そのために植林だのしたと思いますけれどもね。」 |
木々の成長とともにゆっくりと時を刻んできた屋敷林。その美しさは、人と木がともに歩んできた歳月から放たれる輝きなのです。 |
朝、目覚めると聞こえてくるのはすがすがしい鳥の鳴き声。身支度を整えて庭を歩き、朝食用にと木の枝になっている果物をもぐ・・・。「屋敷林」に抱かれた暮らしをしていると、こんな生活ができるのですね!現実の私はというと・・・。毎朝、起こされるのはけたたましい鳥の鳴き声(電子音)。目覚まし時計のアラームを鳥の声にしているのですが、なかなか起きないので段々大きく、わめき声のように変わっていきます。やっと起き上がり、寝ぼけ眼で犬の散歩をし、拾うのは犬の下。理想とはかけ離れた朝です。それならばレモンの木かオリーブの木でも育てて、「屋敷林」に出てきたような“収穫の喜び”を味わうのはどうかしら?とも思いましたが、苗木から育てると収穫までに数年かかるそうで断念しました。(実が生るまで育てられないかもしれないので・・・)
屋敷林の暮らしは時間をかけ、ちゃんと手入れしているからこそ。すぐにまねできるものではありませんね。
楽曲名 | アーティスト名 |
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Everyone Says I Love You | 筒井康隆 |
James | Pat Metheny |
Soft Cookie Walts | 井上陽介 |
I've Got You Under My Skin | Jim Hall, Bill Evans |
Noa Noa | Andrea Pozza Trio |
Jordu | Clifford Brown, Max Roach |
Human Nature | Vijay Iyer |
Candy | Lee Morgan |
To Ease Your Sorrow | 嶋津健一トリオ |
A Bird on the Cloudy Sky | 小沼ようすけ |
Who Can I Turn To | Bill Evans |
My Prayer | Lionel Hampton |
He's Gone Away | Charlie Haden/Pat Metheny |
ジャズ大名~香港行きグスタフォ・カンパ号 | 筒井康隆 |
Friend And Lover | 小沼ようすけ |
Angel Wings | The Art Pepper Quintet |
Song For Angels | Karel Boehlee Trio |
I Surrender Dear | 筒井康隆 |