NHK

鑑賞マニュアル美の壺

これまでの放送

file156 「富士山」

日本一の山、富士山。
古くから日本人はその美しい姿に魅了されてきました。

山梨県で生まれ育った勝俣 武(かつまた たけし)さんと有名な富士山を見に行きます。

朝日が山頂を照らし段々と赤く染まっていく「紅富士」

湖面に映る逆さ富士は波の影響が少ない場所でないと見ることができません。

「大好きな富士山だからこそ一番良い表情をとらえたい」という勝俣さん。

壱のツボ 自分だけの富嶽一景(ふがくいっけい)を探す

ところ変わって東京。
富士山展望研究家の田代 博(たしろ ひろし)さんは都会から見える姿など富士山のおもしろい見え方を探求しています。

こちらは橋脚富士。
ちょうど橋脚の間から富士山が見えています。

そして田代さんが夢中になっているという
「ダイヤモンド富士」に案内してもらいました。

朝日や夕日が山頂にかかったとき、逆光で輝く現象。
これをダイヤモンド富士といいます。
日本一の山、富士山と雄大な太陽が織り成す、まさに瞬間の芸術です。

一つ目のツボは、
「自分だけの富嶽一景を探す」

富士山は多くの画家のモチーフになってきました。

弐のツボ 画家の心で富士山を見る

富士山を情熱的に描き続けている洋画家の絹谷幸二さん。


絹谷 「富士山という私以上のものがつくった造形物と自分が描く造形物を対じさせたい」

今回、絹谷さんのアトリエで富士山を即興で表現していただきました。


絹谷さんが描いた富士山の手前を横切る巨大な龍(りゅう)はこの世界を祝福しているかのようです。

画家の心がこもった富士の絵姿。じっと見れば何かを語りかけてくれるはずです。

二つ目のツボは、
「画家の心で富士山を見る」

参のツボ 富士山は遠くにありて思うもの


こちらは、富士塚(ふじづか)といい、富士山を真似、土や岩を積み上げ作ったものです。
こうした富士塚は関東一円に300個以上もあるそうです。


江戸時代以降、富士山に登り、身を清める“富士講(ふじこう)”という信仰が庶民の間に広まりました。


しかし実際の富士山の土を踏めたのは限られた人たちだけ。

実際に行くことはできないけれどなんとか富士山に登りたい。そうした思いが生み出したものが富士塚だったのです。

こちらはとある富士講がご神体として作った富士山のミニチュア。

ガラスの球体の中に置かれているのは富士の祭神、木花開耶姫(このはなさくやひめ)。
りんとした表情が富士山を敬う心を感じさせます。

アーティストの有坂蓉子さんは信仰が生んだ力強い形に感銘を受け富士山をモチーフにした作品を作り続けています。

こちらは、昔、荒ぶる火山であった富士山をイメージしたオブジェ。
富士山をかたどったさまざまな造形には遠く離れた富士へのいけいの念がこめられてきたのです。

富士山を信仰する人々の心はこんなところにも生き続けています。
ご存じ、銭湯の壁に描かれた富士山。
かなたにある霊峰富士の清水に活力をもらいたい。
銭湯の富士山にはそんな思いがこめられているのです。

最後にこんなエピソードを。
アメリカ・ワシントン州にある富士山に良く似た山、レーニヤ山。
明治時代日本人移民たちが「タコマ富士」と親しみ、心の支えとしていました。

どんなに遠くに離れていても、常に人々の心にあった富士山。やはり日本一の山です。

三つ目のツボは、
「富士山は遠くにありて思うもの」


古野晶子アナウンサーの今週のコラム

九州・福岡出身の私にとって「富士山」は“関東の象徴=憧れの山”です。東京へ向かう新幹線から生まれて初めて見た姿は、今でも強く印象に残っています。青い空に、粉砂糖を振りかけたような真っ白な山頂の雪。青と白が作り出す見事なコントラストに心を奪われ、美しい裾野はどこまで続いているのだろうかと、顔を窓ガラスに押し付けて見ていたものです。
そんな眺めているだけだった富士山に、去年の夏、初めて行ってきました!取材だったので五合目まで車で行き、そこから六合目の途中まで歩くという短い山登りでした。しかし、遠くから見ているのと、実際に登るのとでは大違い・・・。頂上まで登るわけでは無くても、とても大変な道のりでした。山道にはこぶし大の石がごろごろ落ちていて歩きにくく、頭上からは強い日差しが照りつけて体力をどんどん奪っていきます。ふらつきながらも一歩一歩上を目指しました。あのときの私には7合目までも行くことはできなかったと思います。「富士山」への畏敬(いけい)の念を改めて抱いた経験でした。
見る場所、人それぞれに、さまざまな表情を見せてくれる富士山。今年の夏にもういちど挑戦し、憧れの富士山の頂上から景色を眺めてみたいと思っています。

今週の音楽

楽曲名 アーティスト名
 slapstick-hotdogs  Aleš Březina(アレシュ・ブジェジナ)
 Djungledance Magnus Lindgren
 Alice in wonderland David Hazeltin Trio
 April in Paris Thad Jones
 So danço samba Jazzlife Sextet
 Giant steps (part1) 宮川純
 Dolphin dance 赤松敏弘 
 Fables of faubus Charles Mingus
 Time after time 中西俊博
 St 熊谷ヤスマサ
 Musette Catalana モンジュー
 Night and day 井上陽介
 Jelly Roll Charles Mingus
 Samba De Orfeu Anat Cohen & The Anzic Orchestra
 Little B's poem Bobby Hutcherson
 Bird calls Charles Mingus
 Where are you ? Christian McBride
 ふじの山 ひばり児童合唱団

このページの一番上へ

トップページへ