京都の路地に軒を連ねる木造家屋…。 |
現在、「町家」は市内に2万5千戸あまり残されているといいます。 |
壱のツボ 暗さの中で 自然の光を楽しめ
明治末期に建てられた商家の「町家」です。 |
家の中で外光が比較的多く当たるのは、通りに面した「見世の間」です。玄関のある「中の間」…。さらに、その隣の「台所(だいどこ)」など、奥に進むにつれ、薄暗くなります。 |
呉服商を営んでいる長江治男さんは、「京の町家」には、光を採り入れるためのさまざまなくふうがあると言います。 |
長江 「私どもの家は「表屋造り」という建て方で、店のほうが2階建てで、この玄関の部屋は平屋です。ですから、2階部分があいてますので、天窓を作り、明かりを採り入れ、商売しやすいようにしています。京都の家は何百年の歴史があって、暗いのをちょっとでも明るくするというそういう気持ちが、こういう家を建てたのです」 |
お客さんを迎え入れる「奥の間」を、ほんのり明るく照らすのは「庭」からの光です。 降り注いだ陽射しの反射が、「障子」を透かしてやわらかに広がります。 |
「庭」には、庭木(にわき)や石灯篭(とうろう)などが置かれ、深山幽谷(しんざんゆうこく)の世界が表されています。 |
弐のツボ 木組みが生み出す空間美を見上げよ
本来の風情を失った「町家」。 近年、もとの状態に再生する取り組みが進んでいます。 再生工事が完成間近の「町家」の内部を、見上げてみると、意外に広い「吹き抜け」に気づきます。 |
「町家」の再生を手がける 荒木勇さん。 荒木 「京町家は部屋が横に並んでいるのですが、通り庭のほうは、上下、縦の方向に空間が広がっているので、閉鎖された空間から開放的な空間に移っていく、それが魅力ですよね」 |
このお宅では「吹き抜け」をつぶしていたのを、今回、元の状態に戻しました。 |
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明治の初めに建てられた町家。大工の棟梁(とうりょう)の家だったので、「吹き抜け」も特に趣向を凝らしています。 |
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田中家の主(あるじ) 田中昇さん。 田中昇 「構造の美しさ、さらに、豪快さとか、壮大さを引き立ててるようなもんじゃないですかね」 |
長男の妻 田中ひとみさん。 田中ひとみ 「初めて入った時は、すごくびっくりしました。〈わ、すごい!〉っていう、町家のショルームに来たような感じがしました」 |
天井を少しでも高く見せるための「準棟纂冪」。 田中昇 「『俺(大工)の腕はこんな腕だよ』ということを見せているんじゃないですか」 |
「吹き抜け」には好みのアレンジを施すこともできます。 |
リクエストしたのは、台所を任されている岸本幸子さんです。 岸本 「毎朝、見上げてます、一番好きな所なんです。ステンドグラス作ったのも、古い物を古いままで使うよりも新しい物をちょっと入れていったほうがいいかなという感じで。ほかでは見られない雰囲気ですね」 「京の町家」を訪ねたら、上を見上げることも、お忘れなく。 |
参のツボ 夏を涼む 仕掛けあり
蒸し暑い京都の夏を、「京の町家」ではどう過ごすのでしょうか? |
障子の白さで、ほんのり明るかった室内が、「夏建具」に入れ替えることで、がらりと雰囲気を変えます。 |
昼間でも、木陰のように薄暗くなり、目にも涼やかな夏の装いに一変します。 |
秦家と親しい 伊原十喜子さん。 伊原 「扇風機の風とか、エアコンの風じゃない、ほど良い風が入ってきて、いいですね」 植松夕理さん。 植松 「生活と家が、切っても切れない、一緒になって動いていく感じが、すごくいいなと思います」 夕暮れ時の、室内にひんやりと沈む影…、夏の季節とはこうやって味わうもの。 |
衣服の衣替えはよく聞きますが、京の町家には「住まいの衣替え」があります。冬から春にかけて使っていたふすまや障子を外し、夏用の建具に入れ替えて部屋の雰囲気をガラリと変えるというもの。町家にお住まいの方が「(建具を変えると)今日から夏!とスイッチが切り替わる」とおっしゃっていましたが、蒸し暑い京都ならではの夏の迎え方です。建具を変えることで部屋の風通しを良くするだけでなく、視覚からも涼しさを感じようとするくふうがおもしろいなと思いました。冷暖房の設備が整った中で生活していると、「季節」に対して鈍感になってしまうのではないかと感じることがあります。クーラーをかけた部屋に長く居ると汗をかきませんし、外がどのくらい暑いのかも実感できません。薄着だと寒いので厚手のひざ掛けを使うこともある程です。年中過ごしやすい温度の中にいるのは快適ではありますが、最近は季節の移ろいを肌で実感できる暮らし方にひかれます。先人の知恵がたくさんつまった町家はそんな生活ができる住まいだと思いました。最後に、番組のラストに出てくる映像はとっても印象的でした。涼しげな風がくず布の暖簾(のれん)を揺らし部屋へ入ってくるという情景・・・。この映像を見たとき、あの畳の上で大の字になって思い切り手足を伸ばしたいなあと思いました。
楽曲名 | アーティスト名 |
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Dandy Randy | Paul Smith |
Creole Blues | Marcus Roberts |
But Not For Me | Miles davis |
Chanson Du Vieux Carre | Branford Marsalis & Harry Connick, Jr. |
My One And Only Love | Oscar Peterson |
All The Things You Are | Jim Hall & Pat Metheny |
You Leave Me Breathless | Milt Jackson |
Bags' Groove | Miles davis |
Recado Bossa Nova | Hank Mobley |
Gone, gone, gone | Miles Davis |
I'm An Old Cowhand | Sonny Rollins |
Waltz For Debby | John McLaughlin |
Have You Met Miss Jones? | Paul Smith |
Polovtsian Dance | Alex Riel |
Crystal Silence | Chick Corea |
My Romance | Tuck And Patti |
Kempy The Painter | Paul Smith |