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全国で膨大な数が作られてきた、風景写真の絵はがき。
観光名所や、近代化の中で変ぼうする都市の姿が、絵はがきに収められました。
これらは、コロタイプという方法によって印刷されています。 |
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コロタイプの絵はがきを数多く扱う古書店店主の永森譲さん。
永森「コロタイプのよさは鮮明さがすごい、質感が出てきて、非常にものがリアルに見えるのが魅力だと思います。」 |
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コロタイプ印刷の絵はがきと、大正時代の新聞写真を比べてみましょう。
まず新聞の写真を拡大してみると、色の濃淡が点で表現されているため、人の顔など細部はよみとれません。 |
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対して、コロタイプの絵はがきは・・・。
写真の上では数ミリほどしかない看板の文字や、時計の針が指す数字までもが読み取れます。
そこで、二つ目のツボは、
「コロタイプが記録するリアルな明治」 |
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コロタイプ印刷は、なぜ写真を細部まで再現できるのでしょうか?
その秘密は、光に反応する薬剤とゼラチンを混ぜた液体にあります。
ガラスの表面にこのゼラチンを引いて固めます。 |
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およそ80年前に撮影された写真のネガを元にコロタイプ印刷を試みました。
ネガを重ねて紫外線を当てると、光の当たる部分だけ、ゼラチンに混ぜられた薬剤が反応します。
こうしてネガから直接起した版は、細かな部分や質感までリアルに再現できるのです。 |
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80年前の祇園祭がコロタイプ印刷でよみがえりました。
山鉾(やまぼこ)の豪華な飾り、見物に集まった群衆の姿が、鮮明に記録されています。
その一部を拡大してみると・・・ |
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黒いこうもり傘から真っ白な制服まで、微妙な濃淡が表現されています。 |
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コロタイプの絵はがきには、こんなものも。
一枚一枚手作業で色が塗られています。
カラー写真がなかった明治時代、色を再現するために、さかんに行われました。
特に手彩色の芸者の写真は外国人に喜ばれ、輸出もされていました。 |
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手彩色絵はがきのコレクター大澤紀人さん。
地元横浜の移り変わりを、絵はがきを使ってたどっています。 |
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おしゃれな商店街として知られる元町。
明治時代、居留地に暮らす外国人たちが集まる街でした。 |
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その一角に「ポスタルカード」という看板を掲げる店。
どうやら絵はがきが売られているようです。
大澤「絵はがき屋さんの店先なんですけど、ここには手彩色の美人絵はがき。ウィンドウガラスの向こうに、よく見ればわかります」 |
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別の絵はがきでは、図柄まで見てとれました。
一枚一枚、鮮やかに色がつけられています。
コロタイプ印刷の精密な画像と、鮮やかな手彩色は、明治の街並みを克明に伝えてきました。
街のけん騒は、今なお絵はがきの中から聞こえてきます。 |